新年あけましておめでとうございます。12月は立て続けに出張が入った関係もあり、全くブログを更新できませんでした。本日はアメリカン・フットボールの日本一を決める「RICE BOWL」が行われましたが、こちらはそれに先つ12月16日に行われた、社会人リーグの頂上決戦、「JAPAN X BOWL」の記事です。昨年に続き2年連続の観戦となりました。
決勝の舞台に立ったのは、オービック・シーガルズ(2010年-2013年)以来の4連覇を目指す、富士通フロンティアーズと2015年以来のX BOWL制覇を目指す、パナソニック・インパルスです。因みに、前回パナソニックが優勝した時には、その後のRICE BOWLの観戦に行きました。
1Q、富士通のキックオフ、パナソニック陣16ヤード付近から試合開始。WR頓花選手へのパスやRBミッチェル選手のランなどで、パナソニックはテンポよくファーストダウンを更新しますが、ハーフウェイライン付近で富士通ディフェンスに食い止められます。フォースダウンのパントで、富士通陣10ヤード付近で攻守交替。
富士通は、序盤から緩急自在のラン、レシーブもできる、RBグラント選手に徹底的にボールを集め、次々とファーストダウンを更新。しかし、富士通陣45ヤード付近からパナソニックDFが頑張り、富士通の攻撃を食い止めます。1Qは概ねパナソニックのDFが良かった印象がありました。
8分50秒、パナソニックはQB高木選手からRB藤本選手へ約20ヤードのロングパスを狙いますが、失敗。逆に富士通は11分30秒、フォースダウンで6ヤードを残してタイムアウト。ギャンブルで行くと思いましたが案の定、QB高木選手からWR中村選手へ、38ヤードのロングパスが通り、タッチダウン。スーパープレイで富士通が先制します。ゴールも決まり、0vs7。
しかし2Q開始1分29秒、今度はパナソニックが、敵陣40ヤード付近でのファーストダウン10。QBローレンス選手からWR頓花選手へ38ヤードのロングパス。これをキャッチした頓花選手が15ヤード走り切ってタッチダウン。K/P佐伯選手のキックも決まり、同点に追いつきます。7vs7。負けじとスーパープレイが飛び出しました。
得点後、パナソニックはリターンをさせにくくするスクイズキック。ところがボールを拾ったWR高津佐選手が約40ヤードものラン。一気にエンドゾーンまで残り31ヤードに迫ります。そして富士通のセカンドダウン8。
またもQB高木選手からWR中村選手への29ヤードのパスが通り、タッチダウン。K/P西村選手のキックも決まり、7vs14。
2分16秒。テンポよくファーストダウンを更新したパナソニックは、エンドゾーンまであと19ヤードと迫り、セカンドダウン10。QBローレンス選手が自ら持ちこみ、7ヤードほどゲインしたかに見えましたが、パナソニックOFにホールディングの反則。10ヤード罰退となり、セカンドダウン20となってしまいます。RBミッチェル選手のランも止められ、サードダウン20。WR高木選手のランで5ヤードほど前進したところで、パナソニックは当然ですがキックを選択。これが決まり、3点を追加。10vs14。
11分3秒。富士通はパナソニック陣19ヤード付近まで迫り、ファーストダウン10。RBグラント選手がDF辻選手のタックルを飛び越えてかわす、華麗なステップで前進。DL梶原選手がRBグラント選手をつかみ、グラント選手がファンブル、これをDLモトゥ選手がリカバーしたように見えました。インスタントリプレイの結果、判定通りファンブル、リカバー。これがダウンだったら終了直前にタッチダウンの可能性は極めて高かっただけに、大きなプレイでした。前半は10vs14、ここ数年では経験のない僅差で折り返します。
ハーフタイムショーは、恒例のXリーグチアリーダー180名によるパフォーマンスと、スペシャルゲストはMIYAVIさん。スラッピングという、エレキギターをピックを使わずに演奏する方らしいです。
因みにこの試合の観客は19,984人。昨年よりは5,473人ほど少ない数でした。
3Q。開始早々、パナソニックDFが頑張ります。キックオフからのリターンで、富士通が自陣25ヤードからのファーストダウン10。RBグラント選手のランでファーストダウンを更新し、自陣39ヤードから再びファーストダウン10。ここでQB高木選手はRBグラント選手へのパスフェイクを挟んでロングパスを伺いますが、DLモトゥ選手がプレッシャーをかけ、DL梶原選手がサック。富士通は自陣29ヤードからセカンドダウン20。ここでQB高木選手のロングパスをDB小池選手が富士通陣40ヤード付近でインターセプト。何とそのまま走り切ってタッチダウン。いわゆるピック6(インターセプト・タッチダウン)で逆転します。ゴールも決まり、17vs14。
その後もパナソニックは再三ディフェンスが良く凌ぎました。8分43秒。パナソニック、敵陣47ヤードからのフォースダウン1。フォースダウンギャンブルを試み、ファーストダウン更新。非常にもったいなかったなと思うのは、敵陣38ヤードからのファーストダウン10で、フォルス・スタートの反則。その後、サードダウン6まで戻すと、QBローレンス選手からのスクリーン・パスを受けたRBミッチェル選手が約30ヤードを走り切ります。結果論ですが、先ほどの罰退がなければタッチダウンだったかもしれません。さらには、残り2分を切り、エンドゾーンまであと3ヤードと迫ったところでまたもフォルス・スタート。5ヤードの罰退となり、結局フィールドゴールの3点どまり。20vs14。これが試合の流れを変えてしまったと思います。
そして何と、3Q終了まであと14秒となった富士通、自陣25ヤードからの攻撃。QB高木選手からのパスを受けたRBグラント選手が、相手DFの真ん中を切り裂き、そのまま75ヤードを走り切ってタッチダウン。パナソニックがタッチダウンを取り切れなかった後の一瞬のエアポケットのような間を突いた、あっという間の出来事でした。ゴールも決まり、再び富士通が逆転。20vs21、1点差で4Qにもつれ込む、数字の上では大接戦でしたが、試合の流れは大きく富士通に傾いていました。ターニングポイントはやはり、8分43秒のフォルス・スタートにあったと思います。
4Q、パナソニックは自陣27ヤードの最初の攻撃機会から、富士通DFのラッシュが少し甘くなったところをパスでテンポよくファーストダウンを重ね、敵陣23ヤードからのフォースダウン4。ここで再逆転のフィールドゴールを狙いますが、失敗。
その後、富士通はRBグラント選手にボールを集め、前進。2分57秒、敵陣45ヤードからのファーストダウン10で、パナソニックDFがレシーバーに対するホールディングにより、オートマチックファーストダウン。何ともったいない反則…。富士通はさらにランで前進、エンドゾーンまで9ヤードと迫る、サードダウン6の局面を迎えます。6分23秒、ここで富士通がチーム・タイムアウト、タッチダウンを獲りに行きます。ところが、QB高木選手からRBグラント選手へパスが通る前にイエロー・フラッグ。パスを受けたRBグラント選手は、LB林選手をハンドオフ、さらにはDB秋山選手の頭の上を飛び越え、タッチダウンしたかに見えましたが、直前にファンブル。しかしボールをWR若松選手がリカバー。インスタントリプレイの結果、タッチダウンが認められました。ゴールも決まり、20vs28、残りは後5分27秒です。非常に大きなプレイでした。
それでもなお諦めないパナソニックは、スクリーン・パスを繰り返しながら前進。試合時間残り4分となりパナソニック、ハーフウェイライン付近からのファーストダウン10。そこからQBローレンス選手は、WRダニエル選手へ50ヤード近い超ロングパス。しかし、これをDBアディヤミ選手が見事なディフェンス・パスカバー。
それでも敵陣45ヤードからのサードダウン7で、QBローレンス選手が自ら走りこみ、そのままWR頓花選手へ42ヤードのロングパス。これが見事に決まります。そしてエンドゾーンまで残り3ヤード。セカンドダウン2となって、QBローレンス選手からパスを受けたRBミッチェル選手がまっすぐ走りこんでタッチダウン。これで26vs28。
当然、パナソニックは2ポイントコンバージョンを試みますが、失敗。試合時間は残り2分40秒。
残り1分29秒、富士通のフォースダウンのパントで攻撃権はパナソニックへ。6年前のRICE BOWL、残り1分半で立命館大学の7年ぶり学生勝利の夢を砕いたパナソニック。あの時は3点差、今度は同じ1分半で逆に2点差で追う立場。そして残り57秒となり、自陣49ヤードからのサードダウン3。とにかくファーストダウンを更新すれば、一か八か逆転のフィールドゴールを狙える圏内に入ってきます。
ところがここで痛恨のフォルス・スタート。その上、5ヤード罰退した後、またしてもフォルス・スタート。合計10ヤード罰退という信じられないプレイで、サードダウン12。パナソニックの完全な自滅でした、DLアーナー選手はこの日何度同じ反則を犯したのか…。この試合、富士通が反則による罰退がゼロだったのに対し、パナソニックは8回、合計45ヤードでした。
点差だけで言えば、2点差というのは、18vs16だった1999年のアサヒビールvs鹿島(現リクシル)以来の接戦でした。パンソニックに不要な反則があんなに多くなければ、と悔いは残りますが、それでもOF、DF共に富士通の方が点差以上にパナソニックを上回っていました。
しかし、最後まで手に汗握る試合を見せてもらいました。4連覇という偉大な記録を達成した富士通フロンティアーズ、おめでとうございます!
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした