恐らく久留米に降りるのは初めてなのではないかと思いますが、5月30日、1804年(文化元年)創業の鰻の老舗、田中鰻屋さんに行ってきました。こちらのお店の創業者である清右衛門は、久留米藩主有馬頼貴の御膳寮奉仕、すなわちお殿様のために蒲焼を焼く役を務めた方なのだそうです。
お店もいつ頃の建物なのか分かりませんが、襖絵なども立派でなかなか趣があります。
名物は上の写真の「せいろ蒸し」。久留米から筑後川を下ると、どじょうや鰻で有名な柳川がありますが、そこと同じく、たれで味付けした茶色いご飯に、鰻の蒲焼と錦糸たまごをのせ、蒸籠で蒸します。一般に柳川発祥と言われていますが、久留米よりやや南西に位置する大善寺というところが元祖ではないかと伺いました。
前回ご紹介した近江八幡のひつまぶしとは対照的に、仕上げに蒸してあるため、全体が柔らかくふっくらと仕上がっています。九州なので、味付けは甘め。鰻は地方によって製法も食べ方もそれぞれで、楽しいですね。当初底が浅いと感じましたが、食べ終わるとそこそこボリュームがあります。肝吸い付き。
蒲焼元祖 田中鰻屋
福岡県久留米市中央町15-32
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした