窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

マグロ船に教わった、組織活性術

2014年10月11日 | 講演メモ


  10月10日、株式会社ネクストスタンダード代表取締役社長、齊藤正明さんの講演を拝聴する機会がありました。「日本一のマグロ船に教わった!組織を元気にする仕事術」というテーマでしたが、ご本人は元々漁師ではなく、水産物の鮮度保持剤を研究する技術者だったそうです。それが仕事の関係で、当時日本一の売上げを誇ったマグロ船へ乗船することとなり、そこで苛酷な環境の中で組織のモチベーションを保ち、部下の能力を伸ばしていく仕事術を目の当たりにしたということでした。

  マグロ船というのは、一度出港すると40日~50日はずっと海の上。否が応でも全長わずか20mと電車一両分程度の船に9名の乗組員が一緒に過ごさなければなりません。しかも、全長150kmもある延縄を海に流し、マグロを釣る、一日12時間にも及ぶ重労働が20日間連続で続くそうです。しかも、決して高いとは言えない報酬の中で、船長はどうやって漁師たちのモチベーションを保ち、チームワークを保っているのか?

  齊藤さんが船長から教わったという様々な事柄の中で、最初に印象に残ったことがありました。それは、朝起きてから今までに良かったと思えることを10秒間でいくつ思いつくことができるか、というものです。これが5個以下だと、船長いわく「釣り上げられてから初めて身に起きた不幸に気づくマグロと同じ」なのだそうです。即ち、日頃から当たり前のことにどれだけ有難味を感じ、感謝できるかということ。海に不慣れな齊藤さんは43日の航海中、実に40日間船酔いに苦しめられたそうですが、船長から「それだけ苦しい思いをすれば、上陸した時、地面が動かないということだけで感謝できるようになる」と言われたそうです。因みに、僕はこの時ひとつも思いつくことができませんでした。



  心に残ったことの二つ目。組織には多かれ少なかれ仕事のできる人もいれば、できない人もいると思います。しかし、船長いわく「たった9人でやらなければならない過酷なマグロ漁。海の上に出たら、どんなに未熟な者でも何かの役に立つようにしなければできない。」ということでした。そのために、一人ひとりのできることに目を向け、自信をつけさせてあげることが大切なのだそうです。例えば、まだ体ができていない若手に対しては、「力仕事に不向き」から「身軽な作業に向いているのではないか?」と発想を転換し、本人に居場所を見出してあげるのだそうです。当たり前のようでなかなかできないことだと感心しました。

  三つ目は、乗組員の立場からのお話。前述の通り、マグロ漁は危険かつ重労働にも関わらず、その報酬は決して高いとはいえないそうです。普通の会社務めの方が割に合うはずなのに、若手の乗組員はなぜあえてマグロ船に乗り、自発的に動いているのか?その問いに対する若手乗組員の答えは、「船長のような人間になりたいから」というものだったそうです。即ち、船長自身が若手乗組員たちにとって手の届く目標、憧れになっている。船長の仕事とは、①周りを元気にし、②能力を伸ばしてやり、③結果として売上を上げることだということです。

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繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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2 コメント

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コメントありがとうございます (窪田 恭史)
2014-10-14 10:11:36
齋藤様

先日は貴重なご講演誠にありがとうございました。
ここには書ききれない、様々な学びがあり時間があっという間に経過してしまいました。

今後別方面でご講演をお願いしたいと思いました。
詳細決まりましたらご連絡させていただきますので、
どうぞよろしくお願い申し上げます。
返信する
Unknown (マグロ船 齊藤 正明)
2014-10-13 08:24:06
記事、ありがとうございます!
返信する

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