窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

サテライト宮城を見学

2010年11月04日 | その他


  もし宮城県にある株式会社スヤマ村田工場さんにお邪魔していなければ、恐らく一生縁がなかった場所だろうと思いますが、同工場の敷地内にあるサテライト宮城を見学させていただきました。



  サテライト宮城というのは、競輪の場外車券売場のことです。競輪はおろか、ギャンブルそのものに縁のなかった僕は当日まで何の衛星だろうと本気で思っていました。お話によれば、この仙台市から車でおよそ1時間ほどの施設、日本全国に60程度あるという場外車券売場の中で最も美しい所なのだそうです。



  他を知りませんので比べるべくもありませんが、手作りパンを提供するレストランが併設されていたりして、確かにイメージとは違い明るく、きれいです。



  2階の特別室はこんな感じです。



  一応、元競輪選手の方から競輪の超入門について講義がありました。正直なところ、お話を伺っても全く理解できず。



  ところが、資料を片手に何レースか見ていると何となく分かってくるのが不思議なところです。例えばクリケットのような馴染みのないスポーツでも、見ているうちに自然と理解し始めるのと似ています。

  一つ学んだのは、これ以上知ろうとすると性格上きっとのめりこむであろうということ。相手が人間だけに驚くほど色々な読みがあり、実に奥が深いんだということが分かる程度には穴の淵から底を覗き込んだ気がします。

  得がたい経験をしました。

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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白石温麺(しろいしううめん)②

2010年11月03日 | その他
  さて、以下は白石蔵王駅構内にある「温麺の館」の説明によります。

  前回ご説明したように、殖産興業の一つとして奨励された手延べ温麺は家内工業で行われ、働き手3人、助手(すけて)2人の5名で一日34kg~45kgの小麦を使い生産されたようです。素麺と同じで、冬場に作られた方が上質とされました。寒中吹きすさぶ蔵王おろしや白石の水なども製麺には適していたと思われます。



  塩水づくり。写真手前、「竹つき」と呼ばれる温麺屑を桶に半分くらいいれ、水に一晩浸します。翌朝水を抜き、塩水を加えてかき混ぜます。この時の塩分濃度は塩1.8ℓに対し、水7.2ℓ~9ℓということです。



  粉ねり。粉と塩水を1:1で練ります。その後、濡れ布巾をかけて3時間半ほどねかせます。その後、「つらなおし」といってもう一度練り、再びねかせます。



  踏のし。ねり板の上に練った粉をのせ、菅畳(すがじょう)という藺草で作った筵のようなものをかぶせて足で踏みます。粉を返してのし棒でのばし、さらに足で踏みます。再びのし棒で厚さ2.4cm程度にのばします。



  包丁切り。のばした粉を幅2.4cm間隔で切ります。2.4cm四方、長さ1.2m程度のひも状の麺生地ができあがります。



  大巻。麺生地に粉を振り、とぐろを巻くようにして鉢の中に納めます。さらに濡れ布巾をかけねかせます。



  小巻。向かって右手の挙方(あげかた)が角状の麺生地をつなぎ合わせ、中央の人が粉を振りかけながらこれを縒り、左手の巻方がそれを再びとぐろ状に鉢の中へ納めます。濡れ布巾をしてさらにねかせます。



  温麺ない(竿かけ)。竿竹の端に「ひし」と呼ばれる道具をはさみ、片方の竹に、送り手から送られてきたひも状の麺生地の端をつけます。それを縄をなうようにして、均一な太さになるようにしながら竿竹の間に八の字を描くようにかけて行きます。竿竹の向きを変え、さらにかけ、室に入れます。



  あや分け。二本の竿竹を室の中に差して固定し、粉を振りかけながら中央から両端へさするようにして麺をのばします。のばしたら二本の竿竹をそろえ、二つ折りにして室の中へ入れます。



  あや入れ。縁側の鴨居からかけたつけ糸の輪に竿竹の一方をかけ、片方をだし台の糸の輪にかけます。端をさすりながら押し下げると、麺が150cm位にのびます。さらに繰り返し、180cm程度にのばします。



  乾燥。かけ場のかけ糸の輪に竿竹の一方をかけ、下の竿竹を引っ張ると麺が195cm位にのびます。さらにあや入れをして乾燥させると210cm位になります。



  切断・検査・計量・包装。温麺を8.4cm程度に切り揃え、検品を行い、一束160gに計量して包装します。250束を一箱に入れ、馬に4箱ずつ積んで米沢や福島などに出荷されました。



  御前温麺。伊達や片倉の藩主に献上された、高級品です。長さは33cm位あります。

  最初の塩水づくりは朝5時過ぎに始まり、乾燥に至るのが午後4時頃だそうです。大変手間がかかり、かつ技能を要する仕事であることが分かります。

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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白石温麺(しろいしううめん)①

2010年11月02日 | 食べ歩きデータベース


  初めて宮城県白石市を訪れる機会がありましたので、名産「白石温麺」を食べてみることにしました。在来線白石駅周辺には温麺のお店がたくさんあるようなのですが、今回はそちらに足を運ぶ時間がありませんでした。



  下車した東北新幹線白石蔵王駅周辺に、温麺のお店は少なく、駅前のホテル内にある「この花」さんで山菜温麺を注文しました。

  温麺は江戸時代にこの地を治めていた片倉氏が殖産興業のために温麺作りを奨励し、福島や山形などにさかんに出荷されたようです。味も作りも素麺に似ていますが、素麺と違い、小麦と塩だけで製麺し、油を使わないことから、消化に良いのが特徴です。



  確かに消化は良いようで、4時間後にはお腹が空き、駅の立ち食いそば屋さんでもう一杯、あんかけ温麺を食べました。

  さて、温麺ですが、一説には鈴木味右ェ門という孝行息子が胃弱の父のために消化が良く滋養に富んだ食べ物はないかと苦心していたところ、ある僧から油を一切使わない麺の製法を教わり、それを父に食べさせました。その甲斐あって父親は快方に向かい、片倉の殿様は鈴木味右ェ門の孝行をほめ、「温かい心の麺」ということで温麺と名づけられたそうです。

  個人的な推測ですが、この頃に温麦(あつむぎ)や冷麦(ひやむぎ)などを総称してうどん(饂飩)と呼ぶようになったことから、温麺というのはこの饂飩が転じた一方言なのではないかと思います。



  いずれにしても、そのようわけで温麺はかならずしも温かい麺というわけではなく、冷たいつけ麺で食べてもやはり温麺といいます。

  さて、白石蔵王駅の構内に「温麺の館」という無料の展示室があります。次回はその展示をたどりつつ、伝統的な温麺の製法を追ってみたいと思います。

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

この花

宮城県白石市旭町1-2-1 パレスリゾート白石蔵王 1F



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2010年10月アクセスランキング

2010年11月01日 | 人気記事ランキング
  2010年10月にアクセスの多かった記事、ベスト10です。

  おかげさまで、「「よみがえり」が、かながわリサイクル製品に認定されました」が圧倒的な首位を占めました。ありがとうございます。

  10月はほとんどを九州の話題が占めましたが、アクセスの方はといいますと、比較的リサイクルや仕事に関する話題が上位にきました。有難い事です。

1 「よみがえり」が、かながわリサイクル製品に認定されました
2 江戸の古着屋
3 海鮮料理 魚春ととや
4 有限会社 正華 工場直売所「好」
5 エコノミーとエコロジーの語源
6 信玄餅の「桔梗屋」、工場見学
7 キックオフパーティーを開催しました
8 NHK「古着は世界をめぐる」を観て
8 第1回YMSを開催しました
8 秦野の蕎麦~あわ家頌庵

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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