都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「Continuous Temporality 野村在/赤石隆明」 gallery COEXIST-TOKYO
gallery COEXIST-TOKYO
「Continuous Temporalityー持続する、仮設ー野村在/赤石隆明」
7/12-8/3

gallery COEXIST-TOKYOで開催中の「Continuous Temporalityー持続する、仮設 野村在/赤石隆明」を見て来ました。
ともに写真で表現にしながらも、「写真家という枠に収まらない」(ギャラリーサイトより)という2名のアーティスト、野村在と赤石隆明。
私がこの展示を見に行く切っ掛けになったのは野村在が出展していたこと。というのも昨年、清澄のアルマスギャラリーで個展を見た際、どこか惹かれるものを感じていたからです。
「野村在ーadditional fugitive 増刷する刹那」 アルマスギャラリー(はろるど)
さてその際に「物質のとある現象を彫刻として捉えた写真」と書きましたが、今回はどうでしょうか。写真2点と立体2点。注目の写真のサイズはかなり大きい。縦横一方は2メートルを超えている。そして一見するところ、作風もアルマスの時とはやや異なっているようにも思えます。

野村在 展示風景
アルマス出品作では少量の液体の落ちる様をさも彫刻に「見立てて」(この表現は適切ではないかもしれません。)写真に落とし込んだ野村、今回は一転してスケールが大きい。テニスコートです。真っ暗闇を背景に広がるコート。中央にはネットが張られている。言葉で表せばただそれだけに過ぎませんが、よく見ると、あることに気がつきました。

野村在「Floartable objects(tennis court)」 1830×2750mm ラムダプリント
ずばりネットがポール共々浮いているのです。
もう一点の写真にも目を向けてみましょう。同じく背景は闇です。右奥には小屋が見える。真っ平らで広い空間、そこに堆く積み上げられた白い物体。表面はゴツゴツしているようにも映ります。はじめは石の塊かと思いました。
種明かしをしてしまうとこの物体は雪。つまり除雪してかき集められた雪の山なのです。そして浮かぶテニスのネットの謎は何なのか。聞いて驚きました。実は写真の外に人がいてロープなりで引っ張って浮かせていたのだとか。そしてともに暗いのは全く明かりがない場所というわけではなく、例えばスタジアムのライトのような強い光源を用いて撮影した結果、ようは意図的に背景を飛ばして見せているというわけなのです。(ただし夜ではあるそうです。)
雪が雪らしからぬ物体として見えること。そしてテニスのネットが宙に浮いた瞬間の姿やかたち。それらはひょっとするとアルマスで見た液体が液体らしからぬもの、言わば現象が何らかの彫刻として見えたことに通じるのかもしれません。変化する物体の意外性を捉えていく野村の視点、また一つ興味深く思えました。

赤石隆明 展示風景
なお展示は赤石隆明との二人展。ガレキをモチーフにしたオブジェも目を引く。アプローチこそ異なりますが、被写体を本来ある形とは別のものとして立ち上げる点に関しては、野村に共通する面もあるかもしれません。

コエグジストは現代美術館から木場駅方面に向かった途中にあるギャラリー。清澄からは少し距離がありますが、もちろん歩けます。美術館帰りの際にも立ち寄られては如何でしょうか。
8月3日まで開催されています。
「Continuous Temporalityー持続する、仮設ー野村在/赤石隆明」 gallery COEXIST-TOKYO(@coexist_tokyo)
会期:7月12日(土)~8月3日(日)
休廊:毎週月曜日。
時間:11:00~19:00
住所:江東区木場3-18-17
交通:東京メトロ東西線木場駅3番出口から徒歩6分。
「Continuous Temporalityー持続する、仮設ー野村在/赤石隆明」
7/12-8/3

gallery COEXIST-TOKYOで開催中の「Continuous Temporalityー持続する、仮設 野村在/赤石隆明」を見て来ました。
ともに写真で表現にしながらも、「写真家という枠に収まらない」(ギャラリーサイトより)という2名のアーティスト、野村在と赤石隆明。
私がこの展示を見に行く切っ掛けになったのは野村在が出展していたこと。というのも昨年、清澄のアルマスギャラリーで個展を見た際、どこか惹かれるものを感じていたからです。
「野村在ーadditional fugitive 増刷する刹那」 アルマスギャラリー(はろるど)
さてその際に「物質のとある現象を彫刻として捉えた写真」と書きましたが、今回はどうでしょうか。写真2点と立体2点。注目の写真のサイズはかなり大きい。縦横一方は2メートルを超えている。そして一見するところ、作風もアルマスの時とはやや異なっているようにも思えます。

野村在 展示風景
アルマス出品作では少量の液体の落ちる様をさも彫刻に「見立てて」(この表現は適切ではないかもしれません。)写真に落とし込んだ野村、今回は一転してスケールが大きい。テニスコートです。真っ暗闇を背景に広がるコート。中央にはネットが張られている。言葉で表せばただそれだけに過ぎませんが、よく見ると、あることに気がつきました。

野村在「Floartable objects(tennis court)」 1830×2750mm ラムダプリント
ずばりネットがポール共々浮いているのです。
もう一点の写真にも目を向けてみましょう。同じく背景は闇です。右奥には小屋が見える。真っ平らで広い空間、そこに堆く積み上げられた白い物体。表面はゴツゴツしているようにも映ります。はじめは石の塊かと思いました。
種明かしをしてしまうとこの物体は雪。つまり除雪してかき集められた雪の山なのです。そして浮かぶテニスのネットの謎は何なのか。聞いて驚きました。実は写真の外に人がいてロープなりで引っ張って浮かせていたのだとか。そしてともに暗いのは全く明かりがない場所というわけではなく、例えばスタジアムのライトのような強い光源を用いて撮影した結果、ようは意図的に背景を飛ばして見せているというわけなのです。(ただし夜ではあるそうです。)
雪が雪らしからぬ物体として見えること。そしてテニスのネットが宙に浮いた瞬間の姿やかたち。それらはひょっとするとアルマスで見た液体が液体らしからぬもの、言わば現象が何らかの彫刻として見えたことに通じるのかもしれません。変化する物体の意外性を捉えていく野村の視点、また一つ興味深く思えました。

赤石隆明 展示風景
なお展示は赤石隆明との二人展。ガレキをモチーフにしたオブジェも目を引く。アプローチこそ異なりますが、被写体を本来ある形とは別のものとして立ち上げる点に関しては、野村に共通する面もあるかもしれません。

コエグジストは現代美術館から木場駅方面に向かった途中にあるギャラリー。清澄からは少し距離がありますが、もちろん歩けます。美術館帰りの際にも立ち寄られては如何でしょうか。
8月3日まで開催されています。
「Continuous Temporalityー持続する、仮設ー野村在/赤石隆明」 gallery COEXIST-TOKYO(@coexist_tokyo)
会期:7月12日(土)~8月3日(日)
休廊:毎週月曜日。
時間:11:00~19:00
住所:江東区木場3-18-17
交通:東京メトロ東西線木場駅3番出口から徒歩6分。
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