都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」 練馬区立美術館
練馬区立美術館
「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」
7/3〜9/4

練馬区立美術館で開催中の「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」を見てきました。
アニメや漫画で知られる作家、しりあがり寿。近年は「回転」をテーマとした現代美術のインスタレーションも制作しています。
美術館では初の個展だそうです。そしてタイトルに回転とあるように、ありとあらゆるものが回転していました。
一部の映像作品を除き、撮影が可能でした。(動画不可)

「エレキな春」(表紙イラスト) 1985年7月 ほか
まずは順に沿って1階です。イラストや漫画の原画の展示が続きます。デビューを飾ったのは1985年です。当時の「エレキな春」の表紙イラストが出ていました。

「御前しりとり合戦」(読みきり) 平凡パンチ 1986年3月10日号
原画が緻密なのには感心しました。平凡パンチに掲載された「御前しりとり合戦」や少年サンデーの「流星課長」も面白い。ギャグとパロディー。ともに80年代の作品です。懐かしく思う方もいるのではないでしょうか。

下:「箱舟」(最終話) クイックジャパン第30号 2000年4月
「箱舟」と題した一枚に目がとまりました。立ち並ぶのビル群です。大都会のおそらくは繁華街を描いています。ただし道路には瓦礫が散乱し、宙にはもはや魂を失ったような人が上下になって舞っています。瓦礫の上にあるのが一隻の箱舟です。さも宇宙船が着陸したように降りていました。

「地球防衛家のヒトビト」 朝日新聞夕刊 2002年〜
現在も朝日新聞の夕刊に連載されているのが「地球防衛家のヒトビト」です。連載開始は2002年。既に15年近くも続いています。ネタはほぼ時事です。ちょうど東日本大震災から1〜2ヶ月後の作品が展示されていました。防衛家の人々は震災後、「出動中」として救援ボランティアに駆けつけています。
2階へあがりましょう。ここからが回転です。まさしく回転に次ぐ回転。世界は全て回転で成り立っているのでしょうか。あらゆるものがただ淡々とひたすらに回転しています。

「回転宣言」 2016年7月 しりあがり寿
「回転にこそ未来がある」と高らかにうたう「回転宣言」を筆頭に回転するのはヤカン。宣言においてしりあがりは「回ることによりヤカンは芸術となる」と述べています。

「回転派のアトリエ」 2013〜2014年
「回転派のアトリエ」では、絵画に彫刻にスケッチ箱などが回転。写真では分かりにくいかもしれませんが、ともかく壁の絵画もグルグルと回っているのです。

「まわる歴史」 「人形」 ほか 2016年
しりあがりの回転にかける熱意は並大抵ではありません。自身の所有物でしょうか。たとえば人形です。「タンザニアで買わされた」と記しています。さらに小学校時代に貰ったという賞状やファミコンのドラクエ3のカセットまであります。もちろん全て回転しているわけです。果てには監視員用の椅子まで回っていました。思わず座りたくなってしまいます。

「回転体は行進する ダルマの夢を視る」 2014年
さらに奥の展示室ではだるまが華麗なまでに回転。皆、半ば思い思い、顔をあちこちに向けてはぐるぐると回っています。だるまさんが転んだならぬ、だるまさんが回ったということなのでしょうか。どのように受け止めれば良いのか戸惑うほどでした。

「回る白昼夢」 2016年
「回る白昼夢」で回転するのはしりあがりの生活の痕跡なのかもしれません。レシートやボンド、トイレットペーパーにタオル、軍手、携帯電話に名刺、フリスク、メモ書き、プリンかヨーグルトのカップほか、様々な日用品がいずれも回転しています。
先のだるまの赤に対比させたのでしょうか。全てではないにしろ、いずれも白が際立っているのも特徴です。食べ散らかしたかのようなカップ麺の入れ物。日用品というよりゴミと言っても良いかもしれません。それらを一つ一つ、言わば生命でも吹き込むかの如く、丁寧に回転させています。

「ゆるめ〜しょん」 2007〜2014年
ラストの「回転道場」なる映像は笑いなしに見られません。全20分です。老師に扮するのはしりあがり自身。弟子たちに回転の極意を教えています。真剣な表情で回転を極めようする様はまさしく滑稽です。にやにやしながら見入ってしまいました。

観覧の際は目が回らないようにご注意下さい。9月4日まで開催されています。
「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」 練馬区立美術館
会期:7月3日(日)~9月4日(日)
休館:月曜日。但し7月18日(月祝)は開館。翌19日(火)は休館。
時間:10:00~18:00 *入館は閉館の30分前まで
料金:大人800(600)円、大・高校生・65~74歳600(500)円、中学生以下・75歳以上無料
*( )は20名以上の団体料金。
*ぐるっとパス利用で300円。
住所:練馬区貫井1-36-16
交通:西武池袋線中村橋駅より徒歩3分。
「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」
7/3〜9/4

練馬区立美術館で開催中の「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」を見てきました。
アニメや漫画で知られる作家、しりあがり寿。近年は「回転」をテーマとした現代美術のインスタレーションも制作しています。
美術館では初の個展だそうです。そしてタイトルに回転とあるように、ありとあらゆるものが回転していました。
一部の映像作品を除き、撮影が可能でした。(動画不可)

「エレキな春」(表紙イラスト) 1985年7月 ほか
まずは順に沿って1階です。イラストや漫画の原画の展示が続きます。デビューを飾ったのは1985年です。当時の「エレキな春」の表紙イラストが出ていました。

「御前しりとり合戦」(読みきり) 平凡パンチ 1986年3月10日号
原画が緻密なのには感心しました。平凡パンチに掲載された「御前しりとり合戦」や少年サンデーの「流星課長」も面白い。ギャグとパロディー。ともに80年代の作品です。懐かしく思う方もいるのではないでしょうか。

下:「箱舟」(最終話) クイックジャパン第30号 2000年4月
「箱舟」と題した一枚に目がとまりました。立ち並ぶのビル群です。大都会のおそらくは繁華街を描いています。ただし道路には瓦礫が散乱し、宙にはもはや魂を失ったような人が上下になって舞っています。瓦礫の上にあるのが一隻の箱舟です。さも宇宙船が着陸したように降りていました。

「地球防衛家のヒトビト」 朝日新聞夕刊 2002年〜
現在も朝日新聞の夕刊に連載されているのが「地球防衛家のヒトビト」です。連載開始は2002年。既に15年近くも続いています。ネタはほぼ時事です。ちょうど東日本大震災から1〜2ヶ月後の作品が展示されていました。防衛家の人々は震災後、「出動中」として救援ボランティアに駆けつけています。
2階へあがりましょう。ここからが回転です。まさしく回転に次ぐ回転。世界は全て回転で成り立っているのでしょうか。あらゆるものがただ淡々とひたすらに回転しています。

「回転宣言」 2016年7月 しりあがり寿
「回転にこそ未来がある」と高らかにうたう「回転宣言」を筆頭に回転するのはヤカン。宣言においてしりあがりは「回ることによりヤカンは芸術となる」と述べています。

「回転派のアトリエ」 2013〜2014年
「回転派のアトリエ」では、絵画に彫刻にスケッチ箱などが回転。写真では分かりにくいかもしれませんが、ともかく壁の絵画もグルグルと回っているのです。

「まわる歴史」 「人形」 ほか 2016年
しりあがりの回転にかける熱意は並大抵ではありません。自身の所有物でしょうか。たとえば人形です。「タンザニアで買わされた」と記しています。さらに小学校時代に貰ったという賞状やファミコンのドラクエ3のカセットまであります。もちろん全て回転しているわけです。果てには監視員用の椅子まで回っていました。思わず座りたくなってしまいます。

「回転体は行進する ダルマの夢を視る」 2014年
さらに奥の展示室ではだるまが華麗なまでに回転。皆、半ば思い思い、顔をあちこちに向けてはぐるぐると回っています。だるまさんが転んだならぬ、だるまさんが回ったということなのでしょうか。どのように受け止めれば良いのか戸惑うほどでした。

「回る白昼夢」 2016年
「回る白昼夢」で回転するのはしりあがりの生活の痕跡なのかもしれません。レシートやボンド、トイレットペーパーにタオル、軍手、携帯電話に名刺、フリスク、メモ書き、プリンかヨーグルトのカップほか、様々な日用品がいずれも回転しています。
先のだるまの赤に対比させたのでしょうか。全てではないにしろ、いずれも白が際立っているのも特徴です。食べ散らかしたかのようなカップ麺の入れ物。日用品というよりゴミと言っても良いかもしれません。それらを一つ一つ、言わば生命でも吹き込むかの如く、丁寧に回転させています。

「ゆるめ〜しょん」 2007〜2014年
ラストの「回転道場」なる映像は笑いなしに見られません。全20分です。老師に扮するのはしりあがり自身。弟子たちに回転の極意を教えています。真剣な表情で回転を極めようする様はまさしく滑稽です。にやにやしながら見入ってしまいました。

観覧の際は目が回らないようにご注意下さい。9月4日まで開催されています。
「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」 練馬区立美術館
会期:7月3日(日)~9月4日(日)
休館:月曜日。但し7月18日(月祝)は開館。翌19日(火)は休館。
時間:10:00~18:00 *入館は閉館の30分前まで
料金:大人800(600)円、大・高校生・65~74歳600(500)円、中学生以下・75歳以上無料
*( )は20名以上の団体料金。
*ぐるっとパス利用で300円。
住所:練馬区貫井1-36-16
交通:西武池袋線中村橋駅より徒歩3分。
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