都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「Retrace Our Stepsーある日人々が消えた町」 シャネル・ネクサス・ホール
シャネル・ネクサス・ホール
「Retrace Our Stepsーある日人々が消えた町 カルロス・アイエスタ+ギヨーム・ブレッション写真展」
6/24~7/24

2011年の東日本大震災に伴う原発事故により、今もなお立ち入りの出来ない地域が残る福島県。そうした避難区域を度々訪ねては写真に記録するアーティストがいます。
パリを拠点に制作を続けるカルロス・アイエスタと、震災の2か月前に東京へ移住してきたパリ生まれのギョーム・ブレッションです。
2人は2009年よりユニットとして活動。震災後は福島県に入り、ともに被災地域を撮り続けました。
会場の入口は鉄条網です。まるで規制されたエリアに立ち入るかのようでした。中も迷路のようで順路はありません。シリーズは全部で「光影」、「悪夢」、「不穏な自然」、「パックショット」、そして「回顧」の5つ。各々のテーマに分けて展示されています。

「不穏な自然」
「不穏な自然」、それは全てが草に覆われた異様な光景でした。人が立ち去り、誰も手入れすることが出来なくなったため、至る所で伸び放題となった草むら。車や建物はおろか、道や電柱までを飲み尽くさんとばかりに茂っています。もはや人の居場所はありません。原発事故は街を一変させました。
「パックショット」は避難区域で採取したものを写した作品です。かつて商品であった食品のパッケージや鳥の亡骸などがあります。青い「やさい」のラベルの貼られた野菜は干からびて原型を留めていません。2人はそれらをポンペイの遺物になぞらえて撮影しました。
単なる記録写真ばかりではありません。チラシ表紙に掲載された「悪夢」はどうでしょうか。小さな畳店の前の道路です。右奥の赤いトタン屋根の建物が地震によって倒れ、そのまま放置されています。手前を透明なセロハンの帯が横たわっています。境界線です。もちろん2人の手によるもの。放射線による脅威を視覚化して表現しました。

「回顧」
ただ一つ、人が登場するシリーズがありました。「回顧」です。暗がりの店内でカートを押す一人の女性。とは言え、商品は散乱し、床にはカビが生えています。酷い悪臭が立ち込めていることでしょう。避難区域のスーパーです。5年前のまま。おそらくはかつてこのスーパーの利用客でした。つまり買い物客を演じているわけです。
ほかにも事務所や理髪店、それにCD店などで被災者が震災前の日常を振舞っています。このシリーズの制作には賛否もあったそうです。中には「思い出したくない。」として協力を断る方がいたとするのも致し方ありません。

「光影」
それでも2人は福島の現状と被災者の置かれた複雑な状況を見るべく取材を重ねました。解説に「ジャーナリズムとアートの境目」との言葉がありました。事故により時が止まり、さらに変容した避難区域の現状。しかしながら災害は未だ続いています。その今の有り様を知ることが出来ました。
会期中は無休です。7月24日まで開催されています。
「Retrace Our Stepsーある日人々が消えた町 カルロス・アイエスタ+ギヨーム・ブレッション写真展」 シャネル・ネクサス・ホール
会期:6月24日(金)~7月24日(日)
休廊:会期中無休。
料金:無料。
時間:12:00~20:00。
住所:中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A13出口より徒歩1分。東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅5番出口より徒歩1分。
「Retrace Our Stepsーある日人々が消えた町 カルロス・アイエスタ+ギヨーム・ブレッション写真展」
6/24~7/24

2011年の東日本大震災に伴う原発事故により、今もなお立ち入りの出来ない地域が残る福島県。そうした避難区域を度々訪ねては写真に記録するアーティストがいます。
パリを拠点に制作を続けるカルロス・アイエスタと、震災の2か月前に東京へ移住してきたパリ生まれのギョーム・ブレッションです。
2人は2009年よりユニットとして活動。震災後は福島県に入り、ともに被災地域を撮り続けました。
会場の入口は鉄条網です。まるで規制されたエリアに立ち入るかのようでした。中も迷路のようで順路はありません。シリーズは全部で「光影」、「悪夢」、「不穏な自然」、「パックショット」、そして「回顧」の5つ。各々のテーマに分けて展示されています。

「不穏な自然」
「不穏な自然」、それは全てが草に覆われた異様な光景でした。人が立ち去り、誰も手入れすることが出来なくなったため、至る所で伸び放題となった草むら。車や建物はおろか、道や電柱までを飲み尽くさんとばかりに茂っています。もはや人の居場所はありません。原発事故は街を一変させました。
「パックショット」は避難区域で採取したものを写した作品です。かつて商品であった食品のパッケージや鳥の亡骸などがあります。青い「やさい」のラベルの貼られた野菜は干からびて原型を留めていません。2人はそれらをポンペイの遺物になぞらえて撮影しました。
単なる記録写真ばかりではありません。チラシ表紙に掲載された「悪夢」はどうでしょうか。小さな畳店の前の道路です。右奥の赤いトタン屋根の建物が地震によって倒れ、そのまま放置されています。手前を透明なセロハンの帯が横たわっています。境界線です。もちろん2人の手によるもの。放射線による脅威を視覚化して表現しました。

「回顧」
ただ一つ、人が登場するシリーズがありました。「回顧」です。暗がりの店内でカートを押す一人の女性。とは言え、商品は散乱し、床にはカビが生えています。酷い悪臭が立ち込めていることでしょう。避難区域のスーパーです。5年前のまま。おそらくはかつてこのスーパーの利用客でした。つまり買い物客を演じているわけです。
ほかにも事務所や理髪店、それにCD店などで被災者が震災前の日常を振舞っています。このシリーズの制作には賛否もあったそうです。中には「思い出したくない。」として協力を断る方がいたとするのも致し方ありません。

「光影」
それでも2人は福島の現状と被災者の置かれた複雑な状況を見るべく取材を重ねました。解説に「ジャーナリズムとアートの境目」との言葉がありました。事故により時が止まり、さらに変容した避難区域の現状。しかしながら災害は未だ続いています。その今の有り様を知ることが出来ました。
会期中は無休です。7月24日まで開催されています。
「Retrace Our Stepsーある日人々が消えた町 カルロス・アイエスタ+ギヨーム・ブレッション写真展」 シャネル・ネクサス・ホール
会期:6月24日(金)~7月24日(日)
休廊:会期中無休。
料金:無料。
時間:12:00~20:00。
住所:中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A13出口より徒歩1分。東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅5番出口より徒歩1分。
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