都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「河口龍夫ー時間の位置」 川口市立アートギャラリー・アトリア
川口市立アートギャラリー・アトリア
「河口龍夫ー時間の位置」
10/8~11/26

川口市立アートギャラリー・アトリアで開催中の「河口龍夫ー時間の位置」を見てきました。
鉄や鉛といった金属から、光、また植物の種子などを用いて、「世界を捉えなおす」(解説より)現代美術家、河口龍夫。2009年には東京国立近代美術館でも大規模な個展を行いました。

河口は「闇を閉じ込める」ことに挑戦します。名付けて「DARK BOX 2016」です。シリーズの第1作が発表されたのは1975年。半ばライフワークと言えるのでしょうか。方法は独特です。まず完全なる暗室、つまり光が全く届かない場所に、鉄の鋳物で出来た箱を置き、蓋を密閉。今度は光のある空間へと持ち出します。
河口の閉じ込めた見えない闇が、金属の箱という形をとって可視化しているわけです。しかも今回は会場のアトリアという場所に着目。すぐ横で建設中の雨水調整池の地下水槽の闇を閉じ込めました。
深さは地下30メートル。ちょうどギャラリーの床材に採用された古材と同じ地点にあるそうです。もう1点の「1975年の円筒形の闇」は「DARK BOX」の試作です。それが今回の「DARK BOX 2016」の構想段階のドローイングに似ていたことから、新たに持ち込まれました。さらに奇しくも川口は鋳物の街でもあります。諸々の要素が重なります。単なる偶然とは言い切れないかもしれません。

河口は時間に触れようとも試みました。「石になった森」、ないしは「石になった動物」などのシリーズです。自身の収集した化石をフロッタージュ、つまり紙の上で鉛筆で擦り込み、写し取っています。そこで「時を止めた生命の時間に触れられる」(解説より)。そのように河口は考えています。

天井近くに浮いた船から多く蓮がぶら下がっていました。「命の蜃気楼」です。蓮も河口がよく使うモチーフです。色は鈍い。鉛で封じ込めています。舟は緩やかに川を流れるようにも見えます。一体どこへ向かうのでしょうか。

浮いているといえば椅子も同様でした。その名は「椅子の成長」です。手前から階段状に椅子が5脚、ほぼ等間隔で浮いています。徐々に高く連なる椅子を成長に見立てたのかもしれません。

さらに椅子は屋外へと展開しました。「塀の上の椅子」です。隣の工事用のフェンスの上に並ぶ椅子。誰も座れない椅子の上には人の気配がしなくもありません。あるいは誰かが降りてくるのを待っているのでしょうか。地下に潜り、闇を閉じ込め、今度は屋内から空へと向かう河口の意識。自由な感覚で見入りました。

11月26日まで開催されています。
「河口龍夫ー時間の位置」 川口市立アートギャラリー・アトリア
会期:10月8日(土)~11月26日(土)
休館:月曜日。但し7月18日は開館。翌19日は休館。
時間:10:00~18:00。
*土曜日は20時まで開館。
料金:300円。(パスポート制。会期中何度でも再入場可。)高校生以下無料。
住所:埼玉県川口市並木元町1-76
交通:JR線川口駅東口から徒歩約8分。
「河口龍夫ー時間の位置」
10/8~11/26

川口市立アートギャラリー・アトリアで開催中の「河口龍夫ー時間の位置」を見てきました。
鉄や鉛といった金属から、光、また植物の種子などを用いて、「世界を捉えなおす」(解説より)現代美術家、河口龍夫。2009年には東京国立近代美術館でも大規模な個展を行いました。

河口は「闇を閉じ込める」ことに挑戦します。名付けて「DARK BOX 2016」です。シリーズの第1作が発表されたのは1975年。半ばライフワークと言えるのでしょうか。方法は独特です。まず完全なる暗室、つまり光が全く届かない場所に、鉄の鋳物で出来た箱を置き、蓋を密閉。今度は光のある空間へと持ち出します。
河口の閉じ込めた見えない闇が、金属の箱という形をとって可視化しているわけです。しかも今回は会場のアトリアという場所に着目。すぐ横で建設中の雨水調整池の地下水槽の闇を閉じ込めました。
深さは地下30メートル。ちょうどギャラリーの床材に採用された古材と同じ地点にあるそうです。もう1点の「1975年の円筒形の闇」は「DARK BOX」の試作です。それが今回の「DARK BOX 2016」の構想段階のドローイングに似ていたことから、新たに持ち込まれました。さらに奇しくも川口は鋳物の街でもあります。諸々の要素が重なります。単なる偶然とは言い切れないかもしれません。

河口は時間に触れようとも試みました。「石になった森」、ないしは「石になった動物」などのシリーズです。自身の収集した化石をフロッタージュ、つまり紙の上で鉛筆で擦り込み、写し取っています。そこで「時を止めた生命の時間に触れられる」(解説より)。そのように河口は考えています。

天井近くに浮いた船から多く蓮がぶら下がっていました。「命の蜃気楼」です。蓮も河口がよく使うモチーフです。色は鈍い。鉛で封じ込めています。舟は緩やかに川を流れるようにも見えます。一体どこへ向かうのでしょうか。

浮いているといえば椅子も同様でした。その名は「椅子の成長」です。手前から階段状に椅子が5脚、ほぼ等間隔で浮いています。徐々に高く連なる椅子を成長に見立てたのかもしれません。

さらに椅子は屋外へと展開しました。「塀の上の椅子」です。隣の工事用のフェンスの上に並ぶ椅子。誰も座れない椅子の上には人の気配がしなくもありません。あるいは誰かが降りてくるのを待っているのでしょうか。地下に潜り、闇を閉じ込め、今度は屋内から空へと向かう河口の意識。自由な感覚で見入りました。

11月26日まで開催されています。
「河口龍夫ー時間の位置」 川口市立アートギャラリー・アトリア
会期:10月8日(土)~11月26日(土)
休館:月曜日。但し7月18日は開館。翌19日は休館。
時間:10:00~18:00。
*土曜日は20時まで開館。
料金:300円。(パスポート制。会期中何度でも再入場可。)高校生以下無料。
住所:埼玉県川口市並木元町1-76
交通:JR線川口駅東口から徒歩約8分。
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