都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「詩情の森ー語りかたられる空間」 KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場
「詩情の森ー語りかたられる空間」
4/30~5/28

KAAT神奈川芸術劇場で開催中の「詩情の森ー語りかたられる空間」を見てきました。
日本画と彫刻を制作する6名の作家が、劇場内のスタジオ内に「現代美術の森」(公式サイトより)を作り上げています。
スタジオの内部に入って思わず息をのみました。想像以上のスケールです。会場な劇場内の3階中スタジオ一室。とはいえ、縦横15メートル超の広いスペースです。天井高もあります。しかし作品も負けてはいません。

三瀬夏之介「ぼくの神さま」 2013年
まず行く手を遮るかのように吊るされたのが三瀬夏之介の「ぼくの神さま」でした。何やら荒ぶる大画面。奇岩なのか雲なのかも分かりません。全ては爆発的に増殖し、渦を巻き、事物を飲み込んでいます。奥に神と思しきシルエットが見えました。さらに塔などの建築物も見え隠れしています。時折輝くエメラルドグリーンの色彩も美しい。迫力は十分でした。

三瀬夏之介「日本の絵」 2016年 ほか
三瀬はほかにも「日本の絵」や「遠野考」などの数点を出品。一部は今年の作品です。逆さ吊りの日本列島は何を意味するのでしょうか。まるで天体を表したかのような「Exchangeability」も印象に残りました。

藤堂「o.T.-31 Basalt」 2017年
その三瀬の作品の足元で特異な存在感を見せていたのが藤堂のオブジェでした。素材は石でしょうか。いずれも直立です。一部は刃物のように鋭い面を見せています。石は切断され、再び接着されたのでしょうか。中には透明のガラスもはめ込まれていました。
石柱の並ぶ独特の景観は、何やら古代の祭祀の場を呼び起こしたかのようです。その意味ではプリミティブな印象も受けました。

手前:金子富之「くらみつはのかみ」 2017年
奥へ進みましょう。圧巻なのが金子富之でした。昨年のドマーニ展でも記憶に新しい方も多いかもしれません。本年の新作、「くらみつはのかみ」を出品しています。

金子富之「くらみつはのかみ」(部分) 2017年
クラミツハ、すなわち日本の神話の神です。イザナギがカグツチを殺した際に生まれたと言われています。龍神として水や雨を司る神として尊ばれているそうです。
それにしても凄まじく凶暴な目です。もはや狂気に取り付かれていると言っても良いかもしれません。さらに牙が触手のようにのびています。大規模な作品ながらも筆は緻密。細かな線で表しています。しかし恐ろしい。思わず仰け反ってしまうほどでした。

田中望「潮つ路」 2016年
田中望の「潮つ路」も魅惑的でした。兎の大船団です。しかも船が神楽のように担がれて進んでいます。お祭りでしょうか。中には太鼓を打ち鳴らしている兎もいます。樽や俵がたくさん積まれていました。

田中望「潮つ路」 2016年
これは田中が東北の町や村の姿を「船絵」にして表した作品だそうです。タイトルの「しおつち」とは日本書紀に登場するシオツチノカミに由来します。海の知識があり、製塩を司る神です。その姿を投影しているのかもしれません。

長沢明「Mother」 2015年 ほか
長沢明の動物を描いたパネルの作品も存在感がありました。木のパネルの質感も荒々しく趣深い。小さな動物を描いた木片をたくさんぶら下げています。獣たちはギョロリとした目を光らせては場内を見渡していました。

角文平「空中都市」 2012年
照明を落とした暗室に浮かび上がる魑魅魍魎な生き物たち。思いの外に濃密な空間が広がっていました。
会期中のイベントの情報です。最終日の5月28日には「オープンシアター2017」を開催。劇場の各所を開放し、新たな映像展示のほか、ギャラリートーク、ないしパフォーマンスなどが実施されます。

宮永亮「In Between」 2017年
うち特に注目したいのは「De-tale-映像インスタレーション×ダンス」です。映像作家の宮永亮が三瀬夏之介の日本画世界を映像表現に再構築。大スタジオ内に投影した上、舞踏家の松岡大やダンサーの辻本知彦がパフォーマンスを行います。
この日だけの特別プログラムです。あえて最終日に出かけるのも良いかもしれません。
5月28日まで開催されています。
「詩情の森ー語りかたられる空間」 KAAT神奈川芸術劇場(@kaatjp)
会期:4月30日(日)~5月28日(日)
休館:会期中無休
時間:10:00~18:00
料金:一般600円、学生・65歳以上500円、高校生以下無料。
*10名以上の団体は100円引き無料。
住所:横浜市中区山下町281
交通:みなとみらい線日本大通り駅3番出口より徒歩約5分。JR線関内、石川町両駅より徒歩約15分。
「詩情の森ー語りかたられる空間」
4/30~5/28

KAAT神奈川芸術劇場で開催中の「詩情の森ー語りかたられる空間」を見てきました。
日本画と彫刻を制作する6名の作家が、劇場内のスタジオ内に「現代美術の森」(公式サイトより)を作り上げています。
スタジオの内部に入って思わず息をのみました。想像以上のスケールです。会場な劇場内の3階中スタジオ一室。とはいえ、縦横15メートル超の広いスペースです。天井高もあります。しかし作品も負けてはいません。

三瀬夏之介「ぼくの神さま」 2013年
まず行く手を遮るかのように吊るされたのが三瀬夏之介の「ぼくの神さま」でした。何やら荒ぶる大画面。奇岩なのか雲なのかも分かりません。全ては爆発的に増殖し、渦を巻き、事物を飲み込んでいます。奥に神と思しきシルエットが見えました。さらに塔などの建築物も見え隠れしています。時折輝くエメラルドグリーンの色彩も美しい。迫力は十分でした。

三瀬夏之介「日本の絵」 2016年 ほか
三瀬はほかにも「日本の絵」や「遠野考」などの数点を出品。一部は今年の作品です。逆さ吊りの日本列島は何を意味するのでしょうか。まるで天体を表したかのような「Exchangeability」も印象に残りました。

藤堂「o.T.-31 Basalt」 2017年
その三瀬の作品の足元で特異な存在感を見せていたのが藤堂のオブジェでした。素材は石でしょうか。いずれも直立です。一部は刃物のように鋭い面を見せています。石は切断され、再び接着されたのでしょうか。中には透明のガラスもはめ込まれていました。
石柱の並ぶ独特の景観は、何やら古代の祭祀の場を呼び起こしたかのようです。その意味ではプリミティブな印象も受けました。

手前:金子富之「くらみつはのかみ」 2017年
奥へ進みましょう。圧巻なのが金子富之でした。昨年のドマーニ展でも記憶に新しい方も多いかもしれません。本年の新作、「くらみつはのかみ」を出品しています。

金子富之「くらみつはのかみ」(部分) 2017年
クラミツハ、すなわち日本の神話の神です。イザナギがカグツチを殺した際に生まれたと言われています。龍神として水や雨を司る神として尊ばれているそうです。
それにしても凄まじく凶暴な目です。もはや狂気に取り付かれていると言っても良いかもしれません。さらに牙が触手のようにのびています。大規模な作品ながらも筆は緻密。細かな線で表しています。しかし恐ろしい。思わず仰け反ってしまうほどでした。

田中望「潮つ路」 2016年
田中望の「潮つ路」も魅惑的でした。兎の大船団です。しかも船が神楽のように担がれて進んでいます。お祭りでしょうか。中には太鼓を打ち鳴らしている兎もいます。樽や俵がたくさん積まれていました。

田中望「潮つ路」 2016年
これは田中が東北の町や村の姿を「船絵」にして表した作品だそうです。タイトルの「しおつち」とは日本書紀に登場するシオツチノカミに由来します。海の知識があり、製塩を司る神です。その姿を投影しているのかもしれません。

長沢明「Mother」 2015年 ほか
長沢明の動物を描いたパネルの作品も存在感がありました。木のパネルの質感も荒々しく趣深い。小さな動物を描いた木片をたくさんぶら下げています。獣たちはギョロリとした目を光らせては場内を見渡していました。

角文平「空中都市」 2012年
照明を落とした暗室に浮かび上がる魑魅魍魎な生き物たち。思いの外に濃密な空間が広がっていました。
会期中のイベントの情報です。最終日の5月28日には「オープンシアター2017」を開催。劇場の各所を開放し、新たな映像展示のほか、ギャラリートーク、ないしパフォーマンスなどが実施されます。

宮永亮「In Between」 2017年
うち特に注目したいのは「De-tale-映像インスタレーション×ダンス」です。映像作家の宮永亮が三瀬夏之介の日本画世界を映像表現に再構築。大スタジオ内に投影した上、舞踏家の松岡大やダンサーの辻本知彦がパフォーマンスを行います。
この日だけの特別プログラムです。あえて最終日に出かけるのも良いかもしれません。
昨日から「KAAT EXHIBITION 2017詩情の森―語りかたられる空間」が3F中スタジオではじまりました。アトリウムのKAATのロゴに配置された作品(藤堂さん)などが皆様をお出迎えします。5/28(日)まで10:00~18:00、会期中無休で皆様をお待ちしております! pic.twitter.com/eHNUtJ4rG4
— KAAT神奈川芸術劇場 (@kaatjp) 2017年5月1日
5月28日まで開催されています。
「詩情の森ー語りかたられる空間」 KAAT神奈川芸術劇場(@kaatjp)
会期:4月30日(日)~5月28日(日)
休館:会期中無休
時間:10:00~18:00
料金:一般600円、学生・65歳以上500円、高校生以下無料。
*10名以上の団体は100円引き無料。
住所:横浜市中区山下町281
交通:みなとみらい線日本大通り駅3番出口より徒歩約5分。JR線関内、石川町両駅より徒歩約15分。
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