「かみ コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「かみ コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」 
8/29~10/22



日本の「かみ(紙)」をテーマにした展覧会が、銀座の資生堂ギャラリーで開催されています。

ただ単に「和紙」のサンプルが並ぶ展覧会かと思って行くと、やや意表を突かれるかもしれません。



というのも、ご覧の通り、暗がりの展示室内には、壺や水瓶、はたまた香炉や箸に皿、石斧が並び、さも古くから使われた道具、ないし工芸を紹介しているかのような趣きがあるからです。

実際、展示では、和紙を基調としながらも、和紙を作り出す「水」に着目し、お茶会に着想を得た「水会」や「お水え」による、しつらえや道具を並べて演出する手法がとられています。



その一つが「お水え堂」でした。机の上には、石菓子皿、それに隠岐の杉、隠岐の黒曜石で整形した玉の箱、さらには石見の白土で作った水碗などが置かれています。その下に敷かれたのが紙漉きの和紙でした。

お香や薬に利用される海浜植物、ハマゴウも素材の一つでした。ハマゴウは縄文以前より日本に分布し、浜で砂に埋もれては茎を伸ばし、青紫色の花をつけます。果実は生薬で消炎作用があるとされ、漢方薬にも利用されました。ユーカリに似た芳香を持つそうです。



アニミズムなども想起させるかもしれません。「縄文台」では雨乞いの壺のほかに、呪術具や、屋久杉で作った木偶なども並んでいます。枯れた植物の束も見えますが、これも浄浜香草、すなわちハマゴウでした。

会場を設営し、作品を出展したのは、2つの団体、コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎です。



コズミックワンダーとは、1997年、現代美術家の前田征紀により設立されたファッションブランドで、ファッションのみならず、美術などの領域でも幅広く活動しています。そのうちの1つとして、手漉き和紙を題材しにした、水会のパフォーマンスも行いました。

工藝ぱんくす舎は、同じく前田征紀と、工藝デザイナーの石井すみ子による美術ユニットです。「精神の空間を創造する」(解説より)ベく、様々な創作を行っています。

本展は、昨年、島根県立石見美術館で開催された「お水え いわみのかみとみず」展を再構成し、新作の「舟水会(ふなみずかい)」を加えたものです。



「かみ」には太古の「神」への思いも重ねたという「かみ コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」展。縄文の息吹を感じながら、和紙の美しさ、ないし新たな可能性について想いを馳せるのも良いかもしれません。


10月22日まで開催されています。

「かみ コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」 資生堂ギャラリー@ShiseidoGallery
会期:8月29日(火)~10月22日(日)
休廊:月曜日。
料金:無料
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )