「棚田康司 全裸と布」 ミヅマアートギャラリー

ミヅマアートギャラリー
「棚田康司 全裸と布」
8/1〜9/1



ミヅマアートギャラリーで開催中の「棚田康司 全裸と布」を見てきました。

1968年に兵庫県で生まれ、一木にて少年少女の像を作り続けてきた棚田康司は、今回の「全裸と布」に際し、以前とは異なった大人の裸婦像を出展しました。



ぐるりと空間を一周、取り囲むように並ぶのが、一連の裸婦像で、木の豊かな質感を露わにしていました。しかし、目を凝らすと、細部に小さな金属板のような欠片で、装飾がなされていることも分かりました。



その多くは、タイトルが示すように全裸で、一部には布をまとっている像もありました。また、中にはトルソーであったり、木の表面に絵具のような液体が塗られていることも見て取れました。さらに、爪にはマニュキュアのように色がついている像もいました。



「力強く世界を立ち上げる」(*)という言葉が、心に響きました。祈りや平穏とともに、何とも言い難い生命感を感じたのは私だけでしょうか。やや誇らしげな面持ちで、上を見据える裸婦の姿からは、どこか内面の強い意思が滲み出ているようにも見えました。



棚田の展覧会で思い出すのが、2012年に練馬区立美術館で行われた「棚田康司 たちのぼる。展」でした。

「棚田康司 たちのぼる。展」 練馬区立美術館(はろるど)

旧作から新作の木彫、またスケッチを交えた、大規模な個展で、明暗のある空間を効果的に用い、各々の木彫が、どこか関係し合うかのように置かれていたのが、とても印象に残りました。青幻舎より作品集も刊行されました。



棚田は、昨年夏に伊丹市立美術館で開催されたO JUNとの二人展で、「結果的には辟易するほどに自分自身と向き合う機会になった」(*)と振り返っています。



新たな展開を示す展覧会と言えるかもしれません。あどけない少年や少女とはまた違った、美しい裸婦の姿にも魅力を感じました。


9月1日まで開催されています。おすすめします。*「」内はギャラリーサイトより

「棚田康司 全裸と布」 ミヅマアートギャラリー@MizumaGallery
会期:8月1日(水) 〜 9月1日(土)
休廊:日・月・祝。夏季休廊:8月11日(土)〜15日(水)。
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2階
交通:東京メトロ有楽町線・南北線市ヶ谷駅出口5より徒歩5分。JR線飯田橋駅西口より徒歩8分。
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