2019年8月に見たい展覧会【美ら島からの染と織/円山応挙から近代京都画壇/加藤泉】

関東では長い梅雨が明け、一転して最高気温が35度を超えるなどの猛暑が続いています。連日、うだる様な暑さゆえに、体調など崩されていませんでしょうか。

7月に見た展示では、六本木の2つの展覧会、「クリスチャン・ボルタンスキー展」(国立新美術館)と「塩田千春展:魂がふるえる」(森美術館)、それに上野での「伊庭靖子展 まなざしのあわい」(東京都美術館)など、各現代美術家の個展が印象に残りました。

8月にスタートする展覧会はさほど多くありません。今月に気になる展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「山口蓬春展」 日本橋高島屋S.C本館8階ホール(8/7~8/19)
・「山種美術館 日本画アワード」 山種美術館(8/10~8/23)
・「唐三彩 ―シルクロードの至宝」 出光美術館(~8/25)
・「江戸のスポーツと東京オリンピック」江戸東京博物館(~8/25)
・「第8回 新鋭作家展 あ、これ、ウチのことです。」 川口市立アートギャラリー・アトリア(~8/25)
・「異世界への誘い ―妖怪・霊界・異国」 太田記念美術館(8/2~8/28)
・「谷中圓朝まつり 幽霊画展」 谷中・全生庵(〜8/31)
・「高橋秀+藤田桜――素敵なふたり」 世田谷美術館(~9/1)
・「日本の素朴絵」 三井記念美術館(~9/1)
・「MAY I START?計良宏文の越境するヘアメイク」 埼玉県立近代美術館(~9/1)
・「原三溪の美術 伝説の大コレクション」 横浜美術館(~9/1)
・「太田喜二郎と藤井厚二-日本の光を追い求めた画家と建築家」 目黒区美術館(~9/8)
・「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」 国立西洋美術館(~9/23)
・「モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち」 国立西洋美術館(~9/23)
・「マイセン動物園展」 パナソニック汐留美術館(~9/23)
・「日本のよろい」 東京国立博物館(~9/23)
・「1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと」 東京都庭園美術館(~9/23)
・「嶋田忠 野生の瞬間 華麗なる鳥の世界」 東京都写真美術館(~9/23)
・「美ら島からの染と織―色と文様のマジック」 渋谷区立松濤美術館(8/10~9/23)
・「みんなのミュシャ」 Bunkamura ザ・ミュージアム(~9/29)
・「みんなのレオ・レオーニ展」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(~9/29)
・「円山応挙から近代京都画壇へ」 東京藝術大学大学美術館(8/3~9/29)
・「大竹伸朗 ビル景 1978-2019」 水戸芸術館(~10/6)
・「しなやかな闘い ポーランド女性作家と映像 1970年代から現在へ」 東京都写真美術館(8/14~10/14)
・「あそびのじかん」 東京都現代美術館(~10/20)
・「MOTサテライト2019 ひろがる地図」 東京都現代美術館およびMOTスポット(8/3~10/20)
・「塩田千春展:魂がふるえる」 森美術館(~10/27)
・「虫展 デザインのお手本」21_21 DESIGN SIGHT(~11/4)
・「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」 ポーラ美術館(8/10~12/1)
・「加藤泉 – LIKE A ROLLING SNOWBALL」 原美術館(8/10~2020/1/13)

ギャラリー

・「風能奈々 触っても触っても遠い」 小山登美夫ギャラリー(~8/24)
・「第13回 shiseido art egg 小林清乃展」 資生堂ギャラリー(8/2~8/25)
・「宮島達男 Counting」 Akio Nagasawa Gallery Ginza(~8/31)
・「中村弘峰 SUMMER SPIRITS」 ポーラ ミュージアム アネックス(8/8~9/1)
・「中谷ミチコ 個展」 アートフロントギャラリー(8/9~9/1)
・「毛利悠子/David Horvitz 『summer rains』」 SCAI THE BATHHOUSE(~9/7)
・「川島小鳥 写真展:まだなまえがないものがすき」 キヤノンギャラリーS(~9/9)
・「αMプロジェクト2019 東京計画2019 vol.3 Urban Research Group」 ギャラリーαM(~9/14)
・「竹中大工道具館企画展 木工藝 清雅を標に―人間国宝 須田賢司の仕事」 ギャラリーA4(8/2~9/20)
・「青柳龍太|sign」 ギャラリー小柳(8/3~9/27)

まずは染色の展覧会です。渋谷区立松涛美術館にて「美ら島からの染と織―色と文様のマジック」が開催されます。



「美ら島からの染と織―色と文様のマジック」@渋谷区立松濤美術館(8/10~9/23)

これは琉球に花開いた紅型をはじめとする染色文化を紹介するもので、沖縄県立博物館・美術館の他、那覇市歴史博物館のコレクションなど、制作地が全て沖縄に由来する作品が一堂に介します。また古い時代の染色だけでなく、現代の人間国宝や名工らの作品も合わせて紹介されます。


琉球に関した展覧会といえば、2018年にサントリー美術館で「琉球 美の宝庫」展があり、そこでも多くの染色が出展され、朱やオレンジなどの色鮮やかな紅型に魅了されたものでした。今回もどこか涼しげで、また華やいだ琉球の染色を愛でることが出来そうです。

続いては日本美術です。東京藝術大学大学美術館にて「円山応挙から近代京都画壇へ」が行われます。



「円山応挙から近代京都画壇へ」@東京藝術大学大学美術館(8/3~9/29)

18世紀の京都では、写生画で名を馳せた応挙による円山派とともに、応挙に師事した呉春が四条派を形成し、円山・四条派として、近代へ至るまでの京都の中心的な画壇の地位を占めました。


その応挙や呉春にはじまる円山・四条派の系譜を近代まで引きつけて紹介する展覧会で、いわゆる江戸絵画のみならず、竹内栖鳳、山元春挙、上村松園らの作品なども出展されます。また兵庫県香美町にある応挙寺こそ大乗寺に描かれた、応挙や呉春らによる障壁画の空間再現展示も見どころとなりそうです。

ラストは現代美術です。独特な木彫の人物表現などで知られる作家、加藤泉の個展が原美術館にてはじまります。



「加藤泉 – LIKE A ROLLING SNOWBALL」@原美術館(8/10~2020/1/13)

1990年代より絵画を描き、2000年代に入ると彫刻を制作した加藤は、近年、木彫のみならず、石やソフトビニールなどの多様な素材を用いては、インスタレーションを手がけるようになりました。


その加藤の新作の絵画、彫刻約30点からなる展示で、意外にも東京の美術館としては初めての個展でもあります。おそらくは旧邸宅の建築空間とのマッチングにも注目が集まるのではないでしょうか。

全国各地では芸術祭シーズンに入りました。少なくとも8月には「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(8/1~10/14)、「リボーンアート・フェスティバル 2019」(8/3〜9/29)、「中之条ビエンナーレ」(8/24〜9/23)、それに「瀬戸内国際芸術祭 2019」の夏会期(〜8/25)などが開催されます。夏休みを兼ねて遠征される方も多いかもしれません。

今年で開館43周年を迎え、7月末で累計入館者数が600万人に達した東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館の移転、リニューアルオープンが発表されました。



2020年5月28日、「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」は、「SOMPO美術館」に生まれ変わります。(PDF)

新美術館は「SOMPO美術館」と名を変え、現在の損保ジャパン日本興亜本社ビル敷地内に建築中の新たな建物に移転します。それを祝し、開館記念展として以下の展覧会が行われます。

開館記念展Ⅰ:珠玉のコレクション 2020年5月28日(木)~7月5日(日)
開館記念展Ⅱ:秘蔵の東郷青児 2020年7月18日(土)~9月4日(金)

新しい美術館は6階建てです。展示フロアは3層に渡り、4メートルの天井高が確保されるなど、いかんせん空間に制約のあった現美術館よりもスケールアップします。詳しくは開館案内(PDF)をご参照下さい。


それでは今月もどうぞ宜しくお願いします。
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