根津美術館にて「企画展 優しいほとけ・怖いほとけ」が開催中です

古くから人々は、特に厳かであり、また慈悲や忿怒の相を見せるなど、様々な表情をした仏に祈りを捧げてきました。



その仏の表情に着目したのが根津美術館の「優しいほとけ・怖いほとけ」展で、飛鳥時代から江戸時代へと至る仏教絵画、彫刻の約35件を、「やさしい」、「きびしい」、「おそろしい」などに分類し、表情の意味や信仰のあり方について紹介していました。

その「優しいほとけ・怖いほとけ」について、pen-onlineのアートニュースに書きました。

仏の表情から信仰のあり方を知る、根津美術館『優しいほとけ・怖いほとけ』展。
https://www.pen-online.jp/news/culture/nezu-hotoke/1


今回の展覧会で特に印象に深かったのは、修復を経て初めて公開された「愛染明王坐像」でした。赤々とした身体で3つの目を開きながら、髪を逆立てては忿怒の相をしていて、確かに怒りを帯びながらも、さも見る者を笑い飛ばすような豪放な面持ちにも目を引かれました。

この「愛染明王坐像」をはじめ、同じく仏像の「菩薩立像」、あるいは「毘沙門天立像」が、いずれもガラスケースなしの露出展示であったのも興味深いところでした。うち「菩薩立像」は、目をやや伏しつつ、口元には穏やかな笑みをたたえた、まさにやさしい表情をした仏像で、薄く整った着衣の細かな表現も充実していました。



また展示では如来、菩薩、明王、天などの諸仏の特徴などにも触れていて、仏像の表情の性質などについても知ることが出来ました。ともすると、普段、何気なく見てしまう仏に新たな視点をもたらす展覧会と言えるかもしれません。


同時開催の「鍋島の小品」や「納涼の茶」も魅力的な展示でした。青みを帯びた鍋島をはじめ、いずれも涼しげな器が並んでいて、まさに目で涼を感じ取れるような作品ばかりでした。



館内も海外のお客さんを中心に盛況でした。8月25日まで開催されています。

*写真はいずれもロビー内で撮影したものです。展示室内の撮影は出来ません。

「企画展 優しいほとけ・怖いほとけ」 根津美術館@nezumuseum
会期:2019年7月25日(木)~8月25日(日)
休館:月曜日。但し8月12日(月・祝)開館し、8月13日(火)休館。
時間:10:00~17:00。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1100円、学生800円、中学生以下無料。
 *20名以上の団体は200円引。
住所:港区南青山6-5-1
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A5出口より徒歩8分。
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