◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「左遷させられた菅原道真の怨霊が」って?

2008-12-17 20:59:38 | 気になる言葉、具体例
                          はるな忘れそ
 14日の記事の最後にちょっと書いたことなのですが、NHKが放送した時代劇の中のセリフ、「大宰府に左遷させられた菅原道真の怨霊が」というもの、本当にもぉ~、だらけっ( ̄д ̄)! じゃぁ、大宰府に「左遷された」のはだれなんだ? このセリフどおりなら、道真が怨霊になるなんて筋違いですよぉ~~~。
 そういえば、前に「左遷をさせられた○○さんの」というのを書いた記憶があるなぁと思い、以前の記事を見てみたら、2007年7月2日に投稿した記事がそうでした。このときに添えたハムやんの写真、人工呼吸するハムやん、すっごくかわいくて~(⌒・⌒)ブフフ、お時間のあるかたはぜひ見てください。
 さて、「左遷をさせられた○○さんの」ですが、これも、このときの話の流れからいくと「左遷された○○さんの」なのです。随分違うじゃないか、って? このくらいの間違いがちょいちょい聞こえてくるのですよ。電子書籍『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて- にはほかにもいろいろ例を挙げてあります。「さ入れ言葉、『座らさせていただきます』がダントツ1位」という項目なのですが、もぉ~おっかしくってぇ~(⌒o⌒)笑ってしまいました。
 では、まず、基本を押さえておきましょう。動詞「~する」について、「○○が~する」は自動詞、「○○が△△を~する」は他動詞、例えば、「私はその映画を見て感動した」の中で、「見て」は他動詞、「感動した」は自動詞です。「泣かせる」「感心させる」「読ませる」「伝えさせる」など、「~せる・~させる」は使役表現、「泣かれる」「感心される」「読まれる」「伝えられる」など、「~れる・~られる」は受身表現です。
 「左遷をさせられた」は、普通は「を」なんて入りませんね、「左遷する」という他動詞です。社長に命じられてしかたなく部長が課長を左遷したのなら、「左遷させられた○○さんの」自体は成立しますが、使役+受身、○○は部長ということになり、左遷された課長はとっくにどっか行っちゃいました。「左遷された○○さんの」なら受身ですから、○○は左遷された課長ということになります。任地で頑張って実績をあげ、本社に戻ってきてくださーい(^^)/~。
 おっとっと、今日の例文ですね、はい、正しくは「大宰府に左遷された菅原道真の怨霊が」です。あることないこと言って道真を陥れたのは藤原時平(ときひら)、道真を左遷させられたのは醍醐(だいご)天皇、そのとき、醍醐天皇は17歳で、左大臣である時平の言葉を疑わなかったわけです。左遷された道真は大宰府で2年後に病死、その魂は都の方へ飛んでいって雷神になった、らしいです。そういううわさです。それにしても、「怨霊」は言いすぎですよ( ̄_ ̄)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする