◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「人目を気にしなくて何でもできたり」って?

2010-01-10 09:13:11 | 気になる言葉、具体例
                             かぶりもんでしょ
 以前、△△という商品の通販CMのセリフに「○○を気にしなくて外出できる」というのがありました。もちろんこれは誤りで、正しくは「○○を気にしないで外出できる」です。私は、小倉智昭のせいですっかり定着した感のある「~ずに」の誤用と「~なくて」「~ないで」の誤用との間には関連性があると考えています。
 この「気にしなくて外出できる」を聞いたとき、「~なくて」「~ないで」の区別がますます不明確になると思いましたが、案の定、出ましたね。「人目を気にしなくて何でもできたり」もCMのセリフですが、言っているのは一般人の男性で、はっきり言って非常に幼稚です。残念なことに、一般の人にもすでに感染が広がっているようですね。
 「~なくて」についてちょっと考えてみてください。「気にしなくて外出できる」は、気にしない、だから、外出できる、つまり、気にしないので外出できる、わざわざ△△を買う必要はないということになります。「~ないで」の「で」は状態を表す格助詞で、「○○を気にしないで外出できる」なら、外出できる → どういう状態で? → ○○を気にしない、そういう状態、ということで、これが正しい表現です。
 言い換えれば「○○を気にせずに外出できる」「人目を気にせずに何でもできたり」ですが、小倉智昭の言う「~ずに」は「~なくて」と「~ないで」の区別が全くできていませんから気をつけないといけません。何でもかんでも「~ずに」で、「東京が選ばれずに残念でした」などと平気で言いますが、正しくは「東京が選ばれず、残念でした」です。
 ちょっと前までは、放送業界の人が意味も考えずに「ないで」を「なくて」と言い換えているだけ、響きが「ないで」より「なくて」のほうが硬いから、要するにかっこつけてるだけでしたが、それに慣れてしまい、そこへさらにこれですから、テレビCMの影響は非常に大きいので、これで完全に「気にしなくて」は定着します。まだ幾らか「○○を気にしないで外出できる」と言う人のほうが多いのではないかと思いますが、これも時間の問題です。
 ですが、ちょっとびっくりですよ、1月7日の「とくダネ!」をご覧になったかた、お気づきですか? あの、変な「~ずに」のスーパースプレッダーである小倉智昭が、なんと、「長身を生かしきれず」「記者会見もやらず」と言ったのです。いつもの「ずに」はどうした? たまたま? それとも、間違いに気づいたのか( ̄_ ̄)?
コメント
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