◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「来られます 来られます」って?

2010-01-31 09:11:57 | 言葉についてあれこれ
                                  おいおい^^;
 Aさんから「一人で来れるの?」と言われ、Bさんが「来れます、来れます」と言っている場面で、テロップはわざわざ「来られます 来られます」と書いてありました。話し手が「ら」抜きでもテロップは「ら」を入れてあるというのをしょっちゅう見ますが、このように、要らぬおせっかいだなぁと感じることもあります。
 ら抜き言葉のことは一時期さんざんいわれたので気にしている人は多いでしょうけれど、ケース・バイ・ケースではないでしょうか。「いられる」「得られる」「受けられる」「認められる」などは、「ら」を抜くと訳が分からなくなりますし、幼稚な感じもしてとても受け入れられません。こういうのはちゃんと「ら」を入れてもらわないと困りますが、「食べれる」「起きれる」などはあまり抵抗感がありません。
 「来る」に関しては、可能表現は「来れる」だと書いてある辞書もあり、「来れる」でも「来られる」でもいいのでしょうが、「来られる」は尊敬表現として使う場面が多いので、可能表現なら「来れる」がいいのではないでしょうか。ちなみに、Aさん、Bさんに続いて画面に出てきたCさんが「これまでやってこれて」と言いましたが、全く違和感はありませんでした。
 それから、話し手が「父は眠れない日々を過ごしてたんじゃないか」と言っている場面でテロップが「父は眠られない日々を過ごしてたんじゃないか」となっているのを見たこともあるのですが、やはり要らぬおせっかいですよね。
 「眠る」は五段活用なので、「眠れる」という下一段活用の可能動詞になります。「行く」が「行ける」になるのと同じです。ということは、「眠れない日々」はら抜きでも何でもないわけで、わざわざ「ら」を入れる必要などありません。また、「眠られぬ日々」というような、古風な、ちょっと詩的な言い方をする場面でもないので、これは作業者の誤りと言えるでしょう。
 テロップ入力作業者の皆さん、狭い業界の中の流れを見て右へ倣えで「ら」の補充をやっているのでしょうが、何でもかんでも「ら」を入れればいいというものではありませんよ。テロップは多くの人に大きな影響を及ぼすものなのですから、やっつけ仕事でいいなんて思わないで、いつでも素早く判断して適切に表記できるよう、ふだんからいっぱい勉強しておいてくださいねぇ~。(⌒_⌒)/
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする