◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「人は泣きながらに生まれてくる」って?

2012-06-10 09:38:39 | 気になる言葉、具体例
                                読まずに捨てたね

 前回、「に」が足りないテロップについて書きましたが、「に」が余計という例もあるのです。まず、「使い方が分からずに間違って情報が漏れてしまう」、これは以前何度か書きましたが、小倉智昭によって広められ、定着してしまったパターンです。アナウンサー、ドラマのセリフ、CM、しょっちゅう聞くので、もはやおかしいと思う人のほうが少ないかもしれませんが、誤りですからね。
 「力になれずに申し訳ありません」「タイミングが合わずに失敗」「標準記録に届かずに出場できない」「この基準以下のものは○○とは言えずに」「暑すぎずに、いいかもしれませんね」「スケジュールが合わずに、できなかったんです」「まな板が汚れずに食材がよく見える」「むれずにかぶれにくい」、羽鳥慎一も「恐怖が消えずに復帰することができない」なんて言いますよ。これらは全て「に」が余計です。
 使い方が分からない、分からないのに使う、当然、間違った操作をして情報が漏れてしまう、これは「使い方が分からず、間違って情報が漏れてしまう」です。「使い方が分からずに」ではなく「使い方が分からず」です。これが「使い方が分からずに使ってしまう」という文ならいいのですが、「間違って情報が漏れてしまう」と続くのですから、「使い方が分からず → その結果として → 間違って情報が漏れてしまう」わけです。
 「力になれず、申し訳ありません」「タイミングが合わず、失敗」「標準記録に届かず、出場できない」「この基準以下のものは○○とは言えず」「暑すぎず、いいかもしれませんね」「スケジュールが合わず、できなかったんです」「まな板が汚れず、食材がよく見える」「むれず、かぶれにくい」「恐怖が消えず、復帰することができない」ですよ。正しい「~ずに」は、「化粧を落とさずに寝た」「読まずに捨てた」「エアコンをつけずに過ごす」です。この違いが分かりますか。
 それから、ちょっと前に「人は泣きながらに生まれてくる」というテロップを見ました。親鸞がどうとか言っていたように思いますが、シェイクスピアの戯曲「リア王」にもこういうセリフがあるようです。でも、正しくは「人は泣きながら生まれてくる」で、やはり「に」が余計です。なぜこんなところにまで「に」が出てくるのか、それほど余計な「に」に毒されているのか( ̄ ̄)?
 泣きながら話す、テレビを見ながらご飯を食べる、話しながら歩く、別にどうということのない言い方ですが、書いた人は、もったいをつけたかったのでしょうか。「生まれながらにして尊く賢い」「生まれながらにして善良である」「部屋にいながらにして世界中の情報を得る」といった言い方がありますが、これが頭の片隅にあって中途半端に出ちゃった? もちろん、全く意味が違いますけどね。
 つい最近、「28日まで、△△までに」という一般人(△△さん)が書いた文を見てあ然としました。そのとき、ほかの人にも見せて変だと思わないかと聞いてみたのですが、その人(30歳ぐらい)は何がおかしいのか分からないと言いましたよ。うむぅ~~~(-_-)。あのね、「28日までに、△△まで」ですよ。△△さんは私より年上ですが、日本語について何も考えずに暮らしていたらこうなるのかなぁ( ̄_ ̄)?
コメント (2)
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