◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「○○さんの父」って?

2011-12-25 09:39:33 | 気になる言葉、具体例
                                 あ、笑ってる!

 「父」を ̄_と発音する人、増えましたねぇ。本当は_ ̄でしょ、ちょっと前まではみんな_ ̄って言っていましたよね。それが、このごろはCMでもナレーションでも ̄_、しかも、「ちち」というより「ちっち」に近いのですから、私は「チッチとサリー」を思い出してしまいます。
 また、他人のお父さんのことを「父」と言うのをよく聞きます。「男親」という意味ですから間違いではないのですが、そこは「お父様」でしょ、と思うような場面でも「父」ですから、何かがおかしいと感じるのです。また、「私の父は公務員です」というように「自分の男親」のことを言いますから、いい年して「お父さんは公務員です」などと言うのを聞くと、「父」って言えよぉ~と思いますよね。
 では何と言えばいいのかというと、これがね、ちょっと困りました。父君(ふくん、ちちぎみ)という言葉がありますが、このごろの父親像に合わないような・・・(ーー;)ウ~ン。そうなると、「お父さん」もしくは「お父様」、尊敬や謙譲の意味を持たせず簡潔にということなら「父親」というのもありますが、どうですか?
 もちろん「母」も同様ですが、「○○さんの母が頂いていたそうです」というナレーションを聞いたときはあきれました。こんな原稿を書いた人、そのまま読んだナレーターも( ̄д ̄)ダラケッ! 「○○さんの母」に加えて「頂いていた」ですからね、敬語に尊敬と謙譲があることすら分かっていないようです。
 「食べる」の意味なら、謙譲は「頂く」、尊敬は「召し上がる」、これははっきりしています。「もらう」の意味なら、謙譲は「頂く」、そして、尊敬は「おもらいになる」なのですが、正直言って「おもらいになる」は言いにくい、若い人ならなおさら言いにくいと感じるでしょう。でも、「もらっていた」ですから、「○○さんのお母さんがもらっていらっしゃったそうです」と言えばいいですね。
 え? 「もらった」だったらどうするのかって? そんなの簡単ですよ、「○○さんのお母さんがもらったそうです」でいいのではないでしょうかね、無理することなんかありません。あるいは、個々の場面に応じ、「お受け取りになった」や「確保なさった」など、言い換えることができるならそれもいいでしょう。
 さて、先日、スポーツ関係のニュースで担当アナが「最愛のお母様」と言うのを耳にしました。ニュースで「お母様」は珍しいですね、「お母様」自体、久しぶりに聞いたような気がしますが、自然な口調の「お母様」はやはりいいものですね。

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