◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

二重敬語について、補足説明。

2007-10-30 19:09:54 | めちゃくちゃな敬語
                安心して散歩にいらっしゃって
 10月27日に、「経営されていらっしゃいます」や「そういうふうに座られてらっしゃると」について、二重敬語だからよくないということを書いたのですが、「二重敬語」の意味を厳密にいうと「一つの動詞を二重に尊敬語化すること」で、その意味からいくと、例文を「二重敬語」とするのは正確さを欠きました。「経営している」は、「経営する」+「いる」で、「経営する」は本動詞、文法的に動詞本来の働きを持つ動詞、「いる」は、「~ている」の形で、動作・作用が進行中であることを表す補助動詞です。つまり、例文は、一つの動詞を二重に尊敬語化しているのではなく、本動詞と補助動詞の両方を尊敬語化しているというわけです。
 それだけなら、「召し上がっていらっしゃる」がおかしくないように、別におかしくはないのですが、「経営されて」「座られて」という「れる・られる」を付けた形の尊敬語と「いらっしゃる」という尊敬語はなじまない、くっつけるな、という意味で、「合わないのに無理やりくっつけて二重になっちゃったような、くどくて変な敬語」とでも言うべきだったのです。私は、このごろの話し方がとにかく「くどい」ということが気になっています。たびたび書いている重複表現もそうで、「いちばん最初」「第1回目」などはすっかり定着し、「シェアは、約20%ぐらいのシェアを占めています」なんていう言い方を10人中9人がしているという印象です。そんなこんなで、頭の中で「二重」と「くどい」がイコールになってしまいました。 m(_ _)m。
 敬語は、いかにも聞きかじりの付け焼き刃、そこだけ取って付けたようにくどいですよね。「経営なさっていらっしゃる」という言い方の似合う人が少ない、ほかの部分とバランスがとれない、私がふだん主張している「シンプル」「スマート」から遠い、よって、本動詞と補助動詞の両方を尊敬語化するより、片方、「経営なさっている」もしくは「経営していらっしゃる」がよいのではないか、私自身も含め、そういうレベルなのではないかと思うのです。ちなみに、私は、話す訓練をしたことは一切ないうえに、人と話す機会さえほとんどないという環境で、下手すると話し相手はハムやんだけ、「ちゅりぃちゃーん、ご飯でちゅよぉ」ですから(^^;)ゞ、自分がすらすら素晴らしい敬語を話せるかどうかというと、全く自信なし!← 威張るな!
 それから、「安心して旅行に行かれていただいて」について、「これは尊敬語と謙譲語の合体した形ですね、めちゃくちゃです」と書いたのも全く説明不足でした。「ごらんいただく」や「召し上がっていただく」のように、「尊敬語と謙譲語の合体した形」自体はおかしくありませんが、「行かれて」と「いただく」がなじまない、「れる・られる」を付けた形の尊敬語と謙譲語の合体した形がおかしい、ということになります。もちろん、「れる・られる」を付けた形の尊敬語が適切である場合も多いのですが、何でもかんでも「れる・られる」、それ一辺倒になってしまうという傾向があり、そういうところが好ましくないのです。ほかの尊敬語の形を忘れているから、合わない「いただく」をくっつけて変な言い方になってしまうのではないでしょうか。
 また、「いただいて」も非常に多用される言い方ですが、どうしても「いただいて」と言いたいのなら、「安心して旅行に行っていただいて」と言えばいいのです。「行く」の尊敬語は「いらっしゃる」ですから、「安心して旅行にいらっしゃっていただいて」となりますが、どうですか、こんなふうに言えますか? こんなふうに言おうと思いますか? 私は、正直いって抵抗(照れ)があります。やはり「安心して旅行に行っていただいて」ですね。シンプルに、スマートに、です(^‐^)v。

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