◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「表面をみつくろっても」って?

2017-06-04 10:20:47 | 言葉についてあれこれ
                                  毛繕いは念入りに

 「どんなに表面を見繕っても人は隠したところに本性が見えるってなぁ」は「名探偵コナン」で毛利小五郎が言ったセリフです。「大将、何かおいしいもの見繕って」なんて一度言ってみたいものですが、「表面」は「繕う」か「取り繕う」でしょ! なお、「取り繕う」だと、「ごまかす」という意味合いが強くなります。
 「あさチャン! あさトク」で「お店に何度も通ううちに○さんに一目惚れ」と言った夏目三久アナ。台本を読んでいるような場面で、書いたのは誰だか分かりませんが、おかしいですよ。何度も通っている店なら○さんに何度も会っているはずで、何度も通ううちに○さんを好きになっていった、それは一目惚れではない・・・ですよね?
 「あさチャン! あさトク」からもう一つ。寒い中で露店を回って取材している人が、お店の人から店先に置かれた暖房器具で手足を温めるように勧められ、少しやり取りをして、直後に「ひと時の暖を頂きました。気を取り直して・・・」というナレーションが流れたのですよ。もしかして、ありがた迷惑だったのか?
 「信勝のほうが織田家の嫡男にふさわしいと」は「知恵泉」のナレーションで、言ったのは2代目店主の近田雄一アナ、NHKのアナウンサー( ̄д ̄)! この「信勝」は信長の弟、信行のことで、「信勝のほうが織田家の跡継ぎにふさわしいと」もしくは「信勝のほうが織田家の当主にふさわしいと」と言うべきだったのです。
 信長はうつけとか何とか、あまり評判がよくなかったというのは皆さんご存じですよね、だから「信勝のほうが・・・」と思う人が少なくなかったようですが、正室の産んだ男子のうち最も年長の子が「嫡男」ですから、信長が織田信秀の嫡男として生まれたのなら誰が何と言おうと嫡男は嫡男であって、ふさわしいとかふさわしくないとか、そんなの関係ないですよ。
 「YAHOO! ネットで話題の無料動画」で車がフェリーから海に滑り落ちる映像を見たのですが、画面に出た文字が「運が良く、人は乗っていなかった」で、何となく気持ち悪い感じがしたのですが、どうですか? 「運が良く」って何ですかね、車が落ちるなんてかなり運が悪いですよ、それでも、人が乗っていなかったのが不幸中の幸いということなら「運が良く」ではなく「運よく」ぐらいにしておいてよ。
 「YAHOO!」で「母と一緒に入院している人が図々しい」という見出しを見て、一般の人が書いた本文を見てみたら「入院中の母と親しくしている人がずうずうしさに困ってます」と書いてあり、もやぁ~( ̄_ ̄)。最後まで読んで整理したところ、「入院中の母と親しくしている人」は同じ病棟の入院患者でした。それを「母と一緒に入院している人」と書くのはおかしいですね、書いたのは「YAHOO!」のスタッフですよね、そこは「母と同じ病棟の患者さん」とでも書くべきでしょ。
 それで、その人がずうずうしいという話のはずが、本文ではその人がずうずうしさに困っているという話になって、よくよく読めば、「母と同じ病棟に入院していて親しくしている患者さんがずうずうしくて、困っています」という内容なのです。ですから、「ずうずうしさに困っています」と続けるのなら、「入院中の母と親しくしている人のずうずうしさに困っています」でしょ。
 「会社を続けることに疑問を感じて」と書いたのは、これも一般の人ですが、職場で理不尽な目に遭い、辞めようかどうしようか迷っているようです。「会社を続ける」なんてまるで経営者の言葉のようですが、この人は社員ですから、「その会社で働き続けることに疑問を感じて」ですね。文章をぱぱっといいかげんに書くことが常だと、そういう文章しか書けなくなるのではないでしょうか。

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