◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「座れずに立っている」って?

2009-11-04 20:33:47 | 気になる言葉、具体例
                              う~ん、微妙だ
 前回、「座れずに立っている人たち」「東京は残念ながら選ばれずに」「東京が選ばれずに本当に残念でした」「人目を気にしなくて何でもできたり」「一酸化炭素を出さずにいいと思います」「そんな真剣に怒らないでも・・・」という例を挙げ、変な「~ずに」がすっかりまん延していると書きました。
 すっかりまん延し、どこがどう駄目なのか、なぜ誤りなのか非常に分かりにくくなっていますから、『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて- の「~ずに」の項目からポイントを抜粋して改めて書きます。それにしても・・・、「~ずに」だけでなく「~ないで」「~なくて」までみんなおかしくなってきて、変な日本語アレルギーが悪化するじゃないですくわぁ( ̄д ̄)!
 打消の助動詞「ぬ」の連用形「ず」に助詞「に」が付いて「~ずに」、意味は「~ないで」です。「手紙を読まずに捨てた」は、○○しなければならないのに、○○することが望ましいのに、○○するのが普通なのに、○○しないで△△する、手紙を読まないで捨ててしまった、普通、手紙をもらえば読みますよね、ですから、差出人の名前を見て、読みたくないから、あるいは、読む必要がないと判断したから捨てた、それは「手紙を読まずに捨てた」です。
 では、「座れずに立っている人たち」と聞いておかしいと感じますか? 「ずに」を「ないで」と言い換えると「座れないで立っている人たち」となり、誤りであることがはっきりしますね。椅子が足りなくて座れないからしかたなく立っている人たち、これは「座れなくて立っている人たち」です。「座れなくて」の「て」は接続助詞で、「~ので」という意味です。椅子があるのに座らないで立っているのではなく、「座れないので立っている」→「座れなくて立っている」→「座れず、立っている」です。
 このごろ、「~なくて」と言うべきところで「~ないで」と言う人がものすごく増えています。だいぶ前からそういう人はいたのですが、いかにも・・・という人たちに限られたことで、少なくともキャスターやアナウンサーの口から聞くことはありませんでした。でも、やはり小倉さんは「どうもピンと来ないで」なんて言うのですよ。笠井アナも「そんな真剣に怒らないでも・・・」なんて言うのですよ。( ̄д ̄)ダラケッ!
 「~ず」と「~ずに」の区別ができていない人たちは、同時に「~なくて」と「~ないで」の区別もできないわけです。「人目を気にしなくて何でもできたり」ではなく、「人目を気にしないで何でもできたり」が正しいのです。そして、「一酸化炭素を出さずにいいと思います」は、「一酸化炭素を出さないのでいいと思います」ですから、「一酸化炭素を出さなくて、いいと思います」「一酸化炭素を出さず、いいと思います」です。

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