◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

言葉の形と心ということ。

2007-10-01 18:56:27 | 電子書籍(でじたる書房)
                   日本語に未来はあるのだろうか?
 真心のこもった手紙というのは、たとえ文章が稚拙でも伝わるものがあって、極論すれば、誤字だらけだろうが、句読点の打ち方がおかしかろうが、形はどうでもよろしいということで、実際、大事なのは心だとか、ふだんのコミュニケーションだとか、伝えたいという熱意だとか、そういった話はよく聞きます。それはそのとおり、否定するつもりはないのですが、それはそれ、これはこれ、事実だけを淡々と伝えることが役目の人の場合はどうでしょうか。その瞬間に口から出た言葉がすべてですから、その言葉をもって要点が正確に伝わるということが大切なわけで、言葉の基本の形、誤解を招かない話し方が必要なのではないでしょうか。
 今、人前で話すことが職業の人たちですら非常に怪しい日本語を話しているのですから、もはや心がどうだとかいうような悠長なことを言っていられる場合ではないのです。形も発音もどんどん崩れ、たとえ伝えたい心があっても、熱意があっても、伝わらないものはやはり伝わらないのです。映像や資料の助けを借りてどうにかこうにか言いたいことだけは分かるということはもちろんありますが、聞いているほうは大変です。でも、いつもいつも分かるわけではありませんし、第一、聞き手は、話し手の真意をいつも正確にくみ取ることができる人ばかりでもありません。寛容な心で話をきちんと理解しようと努力する人ばかりでもありません。
 おかしな日本語で話していて、自分の話し言葉が誤解を招かないものであるかどうかを気にかけることもない人たちは、聞き手に甘えているのです。ずっと聞いていれば分かるだろう、表情を見ながら聞いているんだから分かるだろう、資料があるんだから分かるだろう、日本人なんだから分かるだろう、そんなふうに甘えているのです。でも、ほとんどの人がきちんと話せないということは、ほとんどの人がきちんと受け止められないということでもあります。ここを忘れていませんか?
 でじたる書房は http://www.digbook.jp です。
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