◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「痛みを改善させる効果」って?

2012-02-22 20:01:18 | 気になる言葉、具体例
                              世界に通じるカイゼン

 「(壁面に取り付けられたガラスの装飾品が)窓から差し込む光を反射させ室内を明るくした」というのは「日曜美術館」のナレーションですが、「光を反射させ」ではなく「光を反射し」です。皆さんも「光を反射する」と言うでしょう? 「反射させ」と言ったナレーターはベテランの森田アナですけどね。
 「がっちりマンデー!!」では、研究者が「ストレスを緩和するような作用がある」と言っているのにテロップが「ストレスを緩和させる作用がある」となっていました。司会者も「ストレスを緩和させる」と言ったのですが、「緩和する」でいいのですよ。でも、先日たまたま医学博士のM先生が「緩和させる」と言うのを聞きましたからね、やはりいましたよ、スーパースプレッダーが。
 それから、何の番組だったか忘れましたが、ナレーションが「痛みを改善する効果」なのにやはりテロップが「痛みを改善させる効果」だったことがあります。でも、これも「改善する」でいいのです。テロップ入力作業者はなぜわざわざ「~させる」に変えるのでしょうか、「~する」のほうが簡単なのに( ̄_ ̄)。
 「反射」「緩和」「改善」は、自動詞・他動詞、両方の意味がありますから、「反射する」「緩和する」「改善する」をわざわざ「~させる」にする必要はないわけです。どっちの意味でも大差ない、偏りもない、ですから、「~が」に続けるか「~を」に続けるか、そこで区別すれば十分で、特に誤解を生じない、「光が反射する」でも「光を反射する」でもいいということです。
 比べてみてください。「窓から差し込む光を反射し室内を明るくした」と「窓から差し込む光が反射し室内を明るくした」、「ストレスを緩和するような作用がある」と「ストレスが緩和するような作用がある」、「痛みを改善する効果」と「痛みが改善する効果」。ね、言っていることは同じでしょう?
 自動詞として使う頻度と他動詞として使う頻度が同じなら、「○○が~する」でも「○○を~する」でもいいと思いますが、偏りがある場合はちょっと違ってきます。ほとんど自動詞として使われ、それで聞き慣れている場合、「○○を~する」と聞くと違和感を覚え、「○○を~させる」、あるいは、別の言い方をしているのではないでしょうか。
 例えば「実現」は、自動詞・他動詞、両方の意味がありますが、「夢が実現する」「夢を実現させる」のように、「○○を」のときは「実現させる」と言う人が多いような気がします。「夢を実現する」でもいいのですが、「夢をかなえる」とも言いますしね、いや、むしろこっちかな。まぁ、どれもありですね(~_~;)。
コメント
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