◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「お話しをしました」って?

2013-01-06 10:05:24 | 気になる言葉、具体例
                               顔を見せてください

 「お約束をしていただければ」「お会いをさせていただきたい」「国民の皆さんにお訴えをしていく」「この問題を前進をし」「お見せをさせてあげる」という政治家特有の言い回し、「会う」なら「お会いを」、「訴える」なら「お訴えを」という形に無理やりする、くどくどした、やたらと謙虚さを装った、その割に手抜きの変な言い方です。
 「お約束をしていただければ」だけ見ると別に誤りではありませんが、「お約束いただければ」「約束していただければ」と言えばいいところを「お約束をしていただければ」と言うのが政治家です。「お会いをさせていただきたい」「国民の皆さんにお訴えをしていく」は無理やりすぎますよ、「お会いしたい」「国民の皆さんに訴えていく」と言えばいいじゃないですか。
 「お会いする」と言えばいいのに「お会いをする」、同様に「お訴えする」は「お訴えをする」・・・? そもそも「訴える」が「お~する」という謙譲の形になじまない。なじまないのに、どうしても謙譲の形にしたい、そこで便利なのが「を」というわけですが、どうやったって、なじまないものはなじまないのですよ。
 「この問題を前進をし」「お見せをさせてあげる」はもはや訳が分からない。「この問題が前進する」なのか「この問題を前進させる」なのか。「前進をし」って、この問題を前進させる気があるのか、いや、ないから「前進をし」なのでしょうね。そのうちだれかが取り組み、前進するかもしれない、と思っているに違いない。「お見せをさせてあげる」は、まさか「店を持たせてやる」ではないですよねぇ、「お見せする」が何をどうしたらそうなるのかな( ̄~ ̄)?
 政治家のほとんどがこういう言い方をするので少し慣れてきました。もうしょうがないかなぁ(ーー;。それにしても、安倍さん、滑舌が悪いですね、「取り戻す」と連呼していましたが、「取り戻す」と聞こえない。それに、「~という話がまありました」というように、「ま」を意味もなくちょこちょこ挟むから余計に聞き取りにくい~(ーー゛。
 ところで、少し前に「~に即してお話しをします」という記述を見ました。文法について語れるほどしっかりした一般人の書いたものなのに「お話しします」ではなく「お話(を)します」で、しかも、「お話をします」の「お話」が「お話し」になっている、それくらい「お話」と「お話し」の区別ができなくなっているのかと思ったのですが、そこへまた「お話しをしました」というテロップを見たのですよ。
 TBSの「報道の日」で見たテロップですが、話し手はもちろん政治家です。政治家の「お話しをしました」は「お話をしました」ではなく、「お話ししました」に「を」が入る構造です。ということは、「お話しをしました」は、ある意味そのとおりであり、間違ってはいないのですが、それはあくまでも変な言い方なのであって、「お話ししました」と書くのが本当なのです。
 まさかねぇ、上記の一般人が政治家のように「~に即してお話しをします」と言っているのだとは思いたくありませんが、「お話しをしました」というテロップを見せられた視聴者はますます「お話」と「お話し」の区別をしなくなるでしょう。話し手がたとえ「を」と言っても、要らないものは要らないのですから、少しは正しい記述というものを心掛けてもらえないものでしょうか。
コメント (2)
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