◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「資格を入手しました」って?

2013-01-13 09:55:36 | 言葉についてあれこれ
                              ゲッツはいいんですよ

 前回、ナレーションについて少し書きましたが、「敬謙なキリスト教の国」「敵に裏切られ」「資格を入手しました」「資格をゲット」など、ほかにもいろいろおかしな例があります。要するに、言葉をちゃんと知らないディレクターが大勢いて、誤りをチェックすることもなく、そのまま放送されてしまうということです。きちんとした会社の印刷物にも変な日本語が堂々と並んでいるくらいですから・・・。
 「敬謙なキリスト教の国」は、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、「敬謙な」の意味を考えてみてください。なお、私は「敬虔な」のほうがピンと来るのですが、「虔」が常用漢字外なので「敬謙な」という表記になります。「敬謙」は、神や仏に誠意を持って帰依する様子、ということで、「敬謙なキリスト教徒」という表現がふさわしく、「国」なら、ましてや現代では、「敬謙なキリスト教徒が多い国」とでも言うしかありません。
 「敵に裏切られ」は笑えます。だって、裏切るもなにも、敵でしょ?! 裏切るのは味方ですよ、あるいは、味方だと信じていたけれど、その正体は敵の回し者だった、というような場合です。ひょっとして、「敵に裏切られ」と書いた人は、その敵はこちらを絶対に攻めないと信じていたのでしょうか?
 「資格を入手しました」と書いた人は「資格」を何だと思っているのかな? 一般的に「資格」というと、勉強して必要な知識を深め、経験を積み、必要な条件を備え、試験に合格する、あるいは社会的に認められる、そうしてようやく得られるものであり、「入手した」なんて言うものではありません。う~ん、ひょっとして、簡単に資格を「入手」できる巧妙な手でもあるのですかね(ーー゛?
 「資格をゲット」もちょっと違いますよね。ニュース番組の画面に映る若い女性たち、「いい福袋をゲットするぞ!」ですって。おぉ~っ、すごい争奪戦だ、買うというよりゲットするものなのですね、私は福袋を買ったことがないので売り場に突進する人たちの気持ちが分かりませんが、映像を見て納得しました。
 「入手」と「ゲット」は割と近い意味ですが、「取得」とは違いますね。資格は「取得」するものですが、いわゆるノリで「ゲット」ということもあるのかなぁ(~_~;)。でもね、万引きや窃盗まで「ゲットする」と言ってしまって罪悪感が薄れるという大変な問題がありますから、「ノリ」同様、実に厄介な言葉ですよ。
コメント (2)
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