
『metroに乗って』その25。今回は東京メトロ丸の内線と都営大江戸線本郷三丁目駅の周辺をめぐる。

本郷三丁目駅は丸の内線開業の1954年に開設、その後2000年に大江戸線が開通して乗換駅となった。ただ、乗換とはいえ地下で繋がっておらず、実は隣の後楽園・春日で乗り換える方が便利である。

また、駅の名前は本郷三丁目で確かに開業時には『本郷三丁目』にあったが、その後1965年の住居表示実施により現在では『本郷二丁目』に駅がある。


出口を出て本郷通りと春日通りの交差点には『かねやす』という江戸時代から続く小間物屋がある。この店は元禄年間に兼康祐悦(かねやす ゆうえつ)という口中医(現在の歯科医)が歯磨き粉である乳香散を販売したところ評判となり、この地に店を出した。


その後、享保15年に大火事があり、本郷のかねやすより南側は防火建築である塗屋・土蔵造りを奨励したため、かねやすが江戸の北限と認識され、『本郷も かねやすまでは 江戸の内』との川柳が生まれた。今はビルとなってはいるが、今もかねやすの看板はかけられており、当時を偲ばせている。

本郷通りをしばらく行くと右側一帯が東京大学になる。最初の信号が有名な赤門であるが、赤門自体は加賀藩前田斉泰が徳川家斉の息女を正室に迎えた際に建立された御守殿門で現在では国指定の重要文化財である。

それから2つ目の信号に正門があり、ここから構内に入るが、この辺りには法学部の校舎が立ち並ぶ。

入り口すぐを左折し、しばらく行くとテラスというか四阿があり、そのあたりに梅謙次郎追慕植樹碑が建っている。梅謙次郎は日本の民商法の父であり、切手の世界では最初の文化人シリーズに名を連ねている。


戻ってまっすぐ歩くと安田講堂、安田講堂事件以降長く封鎖されていたが、1989年に改修、地下には大食堂も作られた。その威風堂々とした姿は中々素晴らしい。


また、その周囲の建物も時代を重ねたものが多く、銀杏並木とともに日本最高学府としての権威を感じさせられ、夏休みということもあり、地方から来たのか制服を着た高校生たちが記念写真を撮っていた。

