2007年度の世界経済減速は避けられない見通しとなった。米国の消費がスローダウン、欧州も牽引車のドイツに減速感が出てきた。輸出に頼るアジア諸国とエネルギー需要減で資源国経済への影響が避けられそうもない。しかしここに来て米国経済の軟着陸が見えてきたのが救いだ。
経済回復基調が続いてきた日本経済も影響を受ける。国内消費拡大でカバーできるかが成長継続の鍵となる。その中で安倍内閣が摩擦を乗り越えて改革路線を進め内需を拡大できるか、モーメンタムをキープできるか重要な役割を演じることになる。予算前提の2.2%経済成長は楽観的に過ぎ足を引っ張られるというのが私の予測だ。
1. 改革相次ぐ妥協で支持率低下、参院選前に安倍首相開き直る 官僚・族議員の攻勢でチーム安倍が機能せず求心力を失い、改革法案が次々と骨抜きになり支持率が40%前半まで低下、安倍首相開き直り党内守旧派と対決色を強め参院選が決戦場となる。
2. 消費伸び悩みで日本経済低成長、GDP成長率1.8% 米国経済減速し輸出・設備投資が鈍化、雇用改善するも賃金上昇頭打ちで消費に力強さが戻らず実質成長率2%を切る。
3. 米国経済軟着陸、GDP成長率2.8%に留まる 原油価格上昇頭打ち、住宅価格下止まり、株価上昇で埋め合わせ消費減速は避けられないが、1Qに金利下げを視野に入れ軟着陸に成功、成長率3%に迫る。イラク戦争の行方が3%+-どちらになるか影を落とす。
4. 中国経済過熱抑制策が始めて機能し成長率10%を切る 故主席改革が地方に行渡り、預金準備率・金利引き上げ等による固定資産投資の減少、輸出抑制施策の効果が出始める。米国景気の動向次第で振れ幅が大きく変化する見込み。
5. 欧州、BRICs経済の好調続くが年後半頭打ち感出る 好調だったEUも各国の事情は異なるが全体として減速の兆しがでるが、米国と比べ相対的に強さが残る。インド経済は堅調だが、エネルギー価格頭打ちでロシア・ブラジルの急成長は落ち着く。
6. 日経平均18,000円突破、為替ユーロ>円>ドル安 オイルマネーなどが欧州経由の投資増で日経平均18000円を突破するも、足元の国内消費が弱く伸び悩む。日本の巨大な個人資産の動きに要注目。世界経済減速の中、欧州の多様性が相対的強さでユーロ高が進む(\160/euro, \110/$)。
7. サッカー:アジアカップ連覇ならず、オシム成果が出始める オシムの考えるサッカーが浸透し、アジアカップの連覇は逃すが、欧州の強豪とのテストマッチで好成績を残し続投の声が高まる。
8. 日本人MLB活躍続く、松坂一発病に悩むも活躍、日本プロ野球低迷 日本人メジャー・リーガーの誰か一人は毎日活躍する。松坂はホームランを打たれ悩むもののチームの勝利に貢献する。一方日本プロ野球はファン離れが進み構造改革が避けられない状況になる。
今まで強気予想だったが、一転して2007年度は大胆とは言えず弱気になった。何故なら人はそれ程利口じゃないし忘れる、今年は弾みで間違いが起こり景気循環論的に谷間に向かう順番だと、私はそういう気がする。
2007年は米国が内側に向かい、困難を抱えながらも経済的にはユーロが第2基軸通貨としての位置を固め、政治的には米国は欧州との連携を求め、相対的に欧州が中国インドの台頭とあいまって多極化する政治経済の世界で久しぶりに存在感を示す年となるであろう。■