今年は私にとって運の悪い年になるかもしれない。久し振りの家族揃っての海外旅行が没になった。というのも、10年以上貯め込んでいたマイレージの値打ちが半分にもならなかったからだ。なんだ、その程度で運が悪いと思われるかもしれないが、私の失望の程度はとても大きい。
90年代前半まで私は会社勤めで海外ビジネスを担当し、多いときは毎月海外出張した。行き先は殆ど米国で、東海岸と西海岸を交互に行き来すると瞬く間にマイレージが溜まった。ユナイテッドを主に使い、行き先によってノースウェストを利用した。気がつくと両社のゴールドカードのフリーケントフライヤーだった。
今はどうか分からないが、その頃は社用の出張で貯めたマイレージでも個人利用出来た時代だった。エアラインも自由に選べた。お陰で、マイレージを利用し家族5人を連れてビジネスクラスでハワイに行き、エアラインと提携している有名ホテルに半額で泊まるなんてことも出来た。
退職後はユナイテッドと提携している日本のエアラインを利用し、実家のある田舎を行き来してマイレージを消化した。一方、ノースウェストは11万マイル余り残っていたのだが、行き先が限られており家族も海外旅行に乗り気でなくなりそのままになっていた。
ところがノースウェストがデルタ航空に合併吸収され、無期限だったマイレージが今年10月で無効になる通知を受けた。これだけのマイレージを利用しないで捨てるのはもったいないと家族を説得し、暖かくなったらハワイに行こうとなった。
ところが、特典旅行を予約すべくネットで調べると、手持ちのマイルでは一人分の航空券の値打ちもなかった。私の記憶ではハワイへは4万マイル、米国本土へは6万マイルでラウンド・トリップ・チケット(往復航空券)が手に入ったはずだ。理由は幾つも思いつく。
9.11や原油高騰と格安航空との競争、その後の世界同時不況が重なり、航空会社は軒並み経営が悪化し再編が進んだ。厳しい競争でばら撒いたマイレージも借金であり、航空会社の重荷になっていたと報じられた。ノースウェストが経営破たんしたと聞きある程度覚悟はしていた。
しかし、退職後の10年間ずっと私の心のどこかで、残ったマイレージを利用していつか海外旅行に行こうと夢見て楽しみにしていた。とは言っても航空会社に文句言うより、運が悪いという諦めの気持ちの方が強い。
いずれにしても家族を説得した手前後に退けなくなって、旅行会社のサイトを調べ代替案を探した。すると格安ツアーは思ったより安く、仮に無料航空券を手に入れてもホテルやレンタカーの費用とかを総合すると、どちらの旅行費用もそれほど違わなかった。
ということで、格安ツアーを家族に提案すると「もういい」とつれない返事。それより「国内でいいから美味しいものを食べたい」と言われて、新春海外旅行の夢はあえなく潰えた。■