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野田首相を再評価する

2012-12-04 13:34:26 | 国際・政治

民主党政権の評価が争点のベース

今日4日に衆院選が公示され、第三極は離散集合して最終的に12党、約1500人が立候補者し激しい選挙戦に突入すると予想されている。この多党化の下で争点がぼやけてきたが、経済再生・エネルギー戦略・安全保障・社会保障が争点というのが大方の見方である。

これらの争点を議論するベースとなるのが、過去3年間の民主党政権、特に野田首相をどう評価するか、であろう。鳩山首相は余りに酷くて評価するに値しない、菅首相は東北大震災・原発事故に翻弄され目ぼしい成果を出せなかった。民主党政権は財源も無いのに公約を乱発して政権をとり挫折したと酷評されている。私はそれなりの成果を出したと思う、失敗の教訓も含めて。

野田首相は別格だった

3代目の野田首相は震災後のネジレ国会という逆境を乗り越えよくやったと私は評価する。国論が割れ鋭く対立する中、大飯原発を再稼動させ今年の暑い夏のエネルギー危機を乗り切った。いまや政治的大スターの橋下大阪市長の反対すら押し切った。世論に媚びて対応を誤れば関西地区の経済は酷いダメージを受けた可能性があった。

次に人気の無い消費税増税は、3党合意を取り付け党内外の反対を押し切って法案を成立させ、一体改革の検討をスタートさせた。それがどれほど大変だったかは、首相の決断が民主党を分裂させたことでも明らかだ。「増税の前に身を切れ」と反対派を含む批判的なマスコミ報道や世論に直面しても、財政破綻から日本を救う為に断固たる姿勢を貫いた。欧州とは違うという明確なメッセージを市場に送った。これほどの脆弱な政治状況でよくやれたと海外の識者も驚いたのだ。

海外も高く評価した!?

世論に迎合し「増税の前にやることがある」と言ってバラマキばかり約束するポピュリストが目に付く政界とマスコミの中で、あえて国民に苦い薬を処方する野田首相はまことに新鮮だった。彼は並みの政治家でも首相でもない、正に国宝級だった。6月に記事「野田首相は国の宝」を投稿したのは、そんな気持ちからだ。実際、野田首相を高く評価する記事は海外にも多かった。こんなことは滅多に無い。

残念だったのは、ネジレ国会で野党の自公が政策論議より衆院解散を優先させ結果的に国会審議が進まなかったことだ。その上、与党の民主党内には政権運営に預かりたい一心で考えが異なるにもかかわらず参加した連中が驚くほど多かった。それが無ければ、もっと色々な重要なテーマに取り組めたかもと思うと残念だ。

自公解散要求と民主党内反対は表裏一体

党内反対者は従って衆院解散は絶対反対だった、自分の議席を守るのが最優先だからだ。志が全く違う。今回の選挙でも次の勝ち馬を求めて離散集合しているが、国民の見る目は厳しい。殆どは戻ってくることはないだろう。民主党は風が吹いている時に擦り寄ってきた考えの異なる政治家の集まりで、野田氏が首相になるということは即ちボロ船の船長になる運命だった。

野田首相は負けるのが分っていて、赤字国債法案と議員定数削減を条件に解散を決めた。党内反対及びその裏返しとして自公の解散要求(私は同類と見ている)と首相の潔さを対比させると、夫々の政治家としての矜持の有無を感じさせる。

再登板の機会はあるか

従って3年間の民主党政権の評価は、民主党はノー、野田首相はイエス、と言うのが私の見方だ。100人近くが離党し現在残った民主党議員も厳しい選挙戦を戦うことになる。選挙互助会目当てに散っていった人達は一時的にしろマスコミが取り上げ知名度を上げたが、残った人は全く取り上げられず目立たないという皮肉な状況にある。次は選挙民の見方が問われる。

自公や維新の勢力がどうなるか次の国政の行方を決めることになるだろう。だが、私は個人的に民主党vs元民主党の選挙結果がどうなるか、そこに選挙民の考え方を知る手がかりを見つけられるような気がする。最後に野田首相の退陣は間違いない、だが彼にはもう一度別の機会を是非与えたい。選挙民はそういうメッセージを伝えて欲しい。■

コメント (2)
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