英 |
国は議会に反対されシリア攻撃から手を引かざるを得なくなり、オバマ大統領は制度上承認を得る必要ない米議会の承認を求める事態になった。大量破壊兵器が確たる証拠もないままイラク戦争に踏み切ったトラウマが、オバマを不安にさせ議会と責任を共有する方針に転換した。
英国は介入断念、米世論は反対、国連では中ロの反対は間違いない。だが、米国は国益に従って介入するだろうと大方の専門家は見ている。国益とはシリア隣国の同盟国のイスラエル、ヨルダン、トルコを守ることだという。言い換えると、シリア政府を支援するイランやヒズボラを成功させることになり、反米勢力が勢いづきに中東情勢のバランスが変化する恐れがあるということだ。
今朝のニュース番組(TBSとテレ朝)を見るとゲスト出演の水口教授は明快な解説をしたと思う。シリア内戦で既に10万人が亡くなり、問題の化学兵器で女子供を含む1400人以上が死んだ。この惨状を止める為にどうするか、誰がやるかという問題からスタートする教授の捉え方が私には明快で新鮮に思えた。地政学的な力関係とかだけを議論すると判断を誤る。
国 |
連などの世界機関は全く役に立ってない。旧ユーゴ内戦では機能したNATOも今回ドイツ等一部が消極的だ。人道とか正義だと言葉は踊っても、米国がやらない限り世界の警察の役回りを誰もやらない。シリア内戦を長く放置した結果、現在は外国から色んな勢力が入ってきて訳が分からなくなっている。誰が勝っても戦後体制は他の「アラブの春」国どころではない混乱は間違いない。勝者のいない争いだ。
マスコミが大好きな国連は無力、今は一応あたってみたという言い訳にしか役に立たない。だが、現実に起こっている虐殺や化学兵器は何としても止めなければならない。軍事介入は米国の驕りだとか言う批判の声には、他に代案があるのか聞きたい。ほっとくのが良いのか、そんなことはない。私には国益云々の前に、効果がはっきりせず不人気な役回りを米国がよくやる気になってくれた(まだ決まって無いが)と感謝の念すら感じる。
今朝のニュース番組ではTBSは水口教授の解説を受けて、いつものコメンテーターが的外れの意見を述べていた。キャスターの関口氏には軍事介入を全て愚かと決めつける発想しかなく、その延長で番組が進行した。一方、その後に続いてテレ朝ではハシゴ出演した水口教授の解説が尊重され、そのうえで異なった議論や補足があった。だが、話題は情勢判断のみ。国内政治でいえば、政策を語らず政局を追う。普段出来ないことを期待しても無理なのかもしれないが。
間違ったデータに基づかない限り米国の判断を日本が支持するのは妥当だと思う。米国の国益だといっても、米国の同盟国を守るのが国益だというなら、同盟国の日本の対応は決まっている。そうしないと、北朝鮮の核の脅威や中国との領土紛争で、同盟国の米国に何かを期待する根拠をなくすようなものだ。シリア情勢の判断はどれだけPC(政治的に正しいこと)にかかっている。■