かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

シリア情勢:オバマは逡巡、迷走或いは巧妙な・・・

2013-09-11 15:21:33 | ニュース

この記事は何度か投稿しようとして、大雨で実家の近くを流れる川の氾濫注意報騒ぎになり、母の一時帰宅と娘夫婦などで考えを纏めようとしているうちに状況がドンドン変化して今日まで来た。その間に見えてきたのはオバマ大統領の威信の低下だ。

迷走するオバマ大統領の決意

その間に米上院外交委が90日以内・地上軍抜きという条件付で軍事介入を認める決議案を纏めたというニュースが入った。だが、下院では圧倒的に介入反対の議員が多く、世論調査でも60%が反対でオバマの議会と軍事介入決断の責任をシェアする作戦は裏目に出ていた。

その後のG20首脳会議でも米ロ対立で軍事介入の多数派工作がままならず、賛否相半ばする結果となって国際的な支持で米国内の空気を変えようとする作戦は失敗した。そこへプーチン大統領がシリアの化兵器を国際管理する提案をして日本を始め国際的な支持を受けた。

米国は国際的に支持を集めたロシア提案を無視できない状況になった。当面、米ロは連携してロシア提案実現の可能性を探り、米英仏は国連調査団の結果を待って化兵器の国際管理後に廃棄する国連決議を探り、その間米議会採決延期を要請したと今朝方報じられた。

迷走はオバマの性格がもたらした?

この一連のやり取りはオバマ大統領の威信を著しく傷つけたといわれる。オバマ大統領の「軍事介入ありき」の姿勢が米国内外の反対を受け頓挫のコースを迷走しているように私には見える。オバマが振り上げたこぶしをどうやって収めるか、これがシリア軍事介入の裏テーマになった。

元々オバマは一方的に言いっ放しになる演説は上手いが、意見を交換する交渉ごとはそれ程得意ではないとの評価がある。オバマが議会対応に苦労するニュースを見るにつけ、彼の説得下手が又出たと思った。ネジレ構造では難しいのが当然の議会との関係だが、同じ環境におかれた大統領が成果を出した例はいくつもある。

安倍首相との建前はともかく個人的には冷めた関係も私には気になる。訪米時や国際会議等の機会あるたびに、オバマ大統領にビジネスライク(素っ気ない)扱いを受け、首相と大統領が個人的に親密な関係を築けたとは思えない。ロシア提案の安倍首相は躊躇なく賛意を示した。他国の首脳もそういう感情的なものがあるのかもしれない。

誰が世界の警官をやるか?

オバマがシリア軍事介入を言い出したのはアメリカ特有の理想論的で“世間知らずな”ものだった。シリア内戦で既に10万人以上が死に、化兵器が原因と思われる1400人余の犠牲者が出ても、国連が機能しなかった。オバマは米国兵の犠牲を出しても止めさせるという考えだったはずだ。自国の都合と言われようが、米国は世界の警察の役割を果たす決意だったはずだ。ファイナンシャル・タイムズ(FT)は9/2に以下のような論評をした(日本経済新聞の抜粋)。

 米国主導の国際的な軍事行動を起こす根拠はいっそう強まっている。8月にサリンガスで少なくとも1000人の市民を殺害したアサド政権は、最も基本的な人道上の規範に背いており、再度使用する可能性もある。非難と積極的に行動する姿勢を世界が示さなければ、アサド政権とその支持者をつけあがらせるばかりだ。キャメロン氏の不手際とは対照的に、オバマ政権は限定的かつ懲罰的な攻撃を一貫して力強く主張してきた。オバマ氏が声明に用いた言葉だけを見ても、現実的なスピードで(できれば来週中にも)米議会の支持を取り付けるのに値するだろう。

だが、欧米の世論はアフガニスタン・イラク戦争疲れでうんざりしており、米英仏とも圧倒的な差で軍事介入に反対した。世論を反映して英議会は介入に反対決議し、米国下院も多分そうなるだろう。日本は世論もマスコミも大勢は他人事のように扱っていると私は感じる。

やっぱりアメリカしか警官になれない

一方、世界で最も信頼されているといわれるFTの以下の記事(抜粋)で、良くも悪くもアメリカが世界の警察官を止めたら日本も大変なことになると警告している。ポピュリズムにおもねることなく一段高みからあるべき姿を述べている。日本にもこの「クオリティ・ペーパー」と呼ばれる高級紙のような大局を失わない見識が是非とも欲しいと思う。

For better or worse, Mr Obama drew such a red line over Syria. As he suggested over the weekend, America’s adversaries will draw conclusions if the US fails to act over Syria, and the same would be true of its allies. The governments of Japan, Israel and Poland ? to name just a few ? will all feel less secure if Congress votes against military action in Syria. The world relies on the American policeman more than it realises.9/2 Gideon Rachman chief foreign affairs commentator FT)

米議会はもうすぐ議論を再開し、オバマは今夜シリア軍事介入の必要性について国民に向かって演説をぶつという。今までの成り行きを見ると私は悲観的だ。Bディラン風に言うと後何人死んだらシリア内戦を止められるだろうか。それとも、オバマは議会承認無に軍事介入に突っ走るのだろうか。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする