昨日の日本経済新聞が掲載した記事「消費財も再利用する時代」(Financial Times 2/7)は示唆に富んだ内容だった。技術や経営の革新的な進歩で製品が安くなり「使い捨ての消費習慣」を引き起こしたが、その持続可能性が疑問視して再利用する動きが出て来たと指摘している。
世界は地球規模で「良い商品を安く作って安く提供する」競争をし、消費者に安価な商品を提供してきた。これが経済成長を促し人々が豊かになるシンプルで基本的な考え(或いは信仰)であった。今も変わらないビジネスの基本だ。
だが、人々が豊かになる一方で商品が一線を越えて安価になった時、多くの人々は次々と商品を買い使い捨てするようになった。記事によると世界は毎年1000億着(一人当たり15着)の衣料品を生産し15年前の半分の期間で使い捨てされるという。1人当たり年間約10トンの原材料が全世界の消費・生産活動に使われ、製品の大半は再利用されずに捨てられるという。
欧米企業にはこの消費行動の持続可能性に疑問を抱き始め、例えばイケアは家具のリサイクルに加え今年から机や椅子などのレンタル事業も始めるという。こうした一連の動きはインターネットを活用した自動車や自転車のレンタルや民泊などの循環型経済の一環として捉えるべきだろう。
ファストファッションの表側は常に最新の衣服を安価に購入して着る、一方その裏側は去年まで着た古い衣服はタンスの肥やしになりやがて捨てられる、いわゆる「使い捨て」消費の典型的な例だ。上記のように廃棄されるまでの期間が短縮され、メーカーは売り上げを伸ばしていくビジネスモデルだ。
上記の新たな循環型経済トレンドはファストファッションの様な「使い捨て」消費のビジネスモデルに大きな影響を与え見直しを強いることになるだろう。既に彼等はその日が来ることを認識して準備しているだろうが、何時実行に移すか走りながら考える難しい対応を迫られると予測する。
私はこのような世の中の変化から、多分2周遅れの生活をしている。子供の時から「良いものを買って長く使う」よう躾けられた。私自身徹底して「無駄な買物を絶対にしない」と心がけて来たので、安価になっても不要なら買わず衣類に限らず子供達の「お上がり」を擦り減るまで着ている。
子供達がどういう消費スタイルなのか私は良く知らないが、二人の息子は必要な時のみ車を借りて利用し、女性達も子供服や礼服などは融通し合って利用している。私の節約した分は結局のところ子供や孫達に先送りされる。彼等がどう使うかは彼等の価値観に基づいた消費スタイルに依存するだろう。
本題に戻ると安価になったが故に世界的な問題が起こるというのは、現代から未来への逆説的な警鐘であるとともに昔気質の私には本末転倒の様に感じる。進歩必ずしも進歩ならずとまでは言わない。今後どのような展開を見せるか注目していきたい。■
世界は地球規模で「良い商品を安く作って安く提供する」競争をし、消費者に安価な商品を提供してきた。これが経済成長を促し人々が豊かになるシンプルで基本的な考え(或いは信仰)であった。今も変わらないビジネスの基本だ。
だが、人々が豊かになる一方で商品が一線を越えて安価になった時、多くの人々は次々と商品を買い使い捨てするようになった。記事によると世界は毎年1000億着(一人当たり15着)の衣料品を生産し15年前の半分の期間で使い捨てされるという。1人当たり年間約10トンの原材料が全世界の消費・生産活動に使われ、製品の大半は再利用されずに捨てられるという。
欧米企業にはこの消費行動の持続可能性に疑問を抱き始め、例えばイケアは家具のリサイクルに加え今年から机や椅子などのレンタル事業も始めるという。こうした一連の動きはインターネットを活用した自動車や自転車のレンタルや民泊などの循環型経済の一環として捉えるべきだろう。
ファストファッションの表側は常に最新の衣服を安価に購入して着る、一方その裏側は去年まで着た古い衣服はタンスの肥やしになりやがて捨てられる、いわゆる「使い捨て」消費の典型的な例だ。上記のように廃棄されるまでの期間が短縮され、メーカーは売り上げを伸ばしていくビジネスモデルだ。
上記の新たな循環型経済トレンドはファストファッションの様な「使い捨て」消費のビジネスモデルに大きな影響を与え見直しを強いることになるだろう。既に彼等はその日が来ることを認識して準備しているだろうが、何時実行に移すか走りながら考える難しい対応を迫られると予測する。
私はこのような世の中の変化から、多分2周遅れの生活をしている。子供の時から「良いものを買って長く使う」よう躾けられた。私自身徹底して「無駄な買物を絶対にしない」と心がけて来たので、安価になっても不要なら買わず衣類に限らず子供達の「お上がり」を擦り減るまで着ている。
子供達がどういう消費スタイルなのか私は良く知らないが、二人の息子は必要な時のみ車を借りて利用し、女性達も子供服や礼服などは融通し合って利用している。私の節約した分は結局のところ子供や孫達に先送りされる。彼等がどう使うかは彼等の価値観に基づいた消費スタイルに依存するだろう。
本題に戻ると安価になったが故に世界的な問題が起こるというのは、現代から未来への逆説的な警鐘であるとともに昔気質の私には本末転倒の様に感じる。進歩必ずしも進歩ならずとまでは言わない。今後どのような展開を見せるか注目していきたい。■