かぶれの世界(新)

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苛立つ市場

2006-11-23 22:44:27 | 社会・経済

米国株式市場が記録的上昇を続けているのに、日本の株式市場はこのところ一進一退が続き投資家は苛立っているように感じる。誰かというと、どうも外人投資家のようだ。何故かと言うと、上期(49月)実績が好調だったのに非常に慎重で下期業績予測を据え置く企業が多い為だといわれている。安倍政権に対する信頼も100%ではない。

マクロデータを見ると前期GDP成長率は予想を上回ったが、内訳を見ると55%を占める消費が依然低調で、景気は輸出と設備投資に頼る構図が続きその持続性が不透明になってきた。裏返すと米国経済頼みの構図から抜け出せていないのである。

米国は住宅市場低落の影響で経済成長が鈍化したもののハイテック等が予想以上に好調で先の中間選挙結果も蹴散らして株式市場は史上最高値をつけている。余談だが、この株高はやや根拠に欠けると感じる。例の議論好きな米友人はかつて政府や家計が深刻な問題を抱えた時ウォールストリートは最終的には必ずそれを反映したといい不安を感じているようだった。

その意味ではイラク戦争の次の展開と年末商戦の行方が年初までの短期的な株価市場の行方を決定する。今年の年末商戦は11月には既に本格化した、早いところでは9月から始めた、と例のLA在住レポーターのフジモトさんが報じていた。蛇足だが、昨年と異なり今年はどこも堂々と「メリー・クリスマス」と宗教色のある展示をしているとのこと。

報道ではウォール・マートは昨年値下げを待って土壇場まで売れ行きが不調だった反省からか、先週早くも値下げしサンクス・ギビング商戦に備えたという。貯蓄率が赤字になり財源の住宅価格が低下し始めたが、ガソリン価格の低下で今年も年末商戦を楽観視する報道が多い。

国内的には安倍政権が改革続行内閣と宣言しそれを裏付ける人事を実行、中韓首脳外交を復活、とりあえず市場の信頼を繋ぎとめた。しかし、その後具体的な政策や姿勢を見せず、郵政造反組の復党問題などで曖昧な姿勢を見せ、改革を進める強いメッセージを打ち出してない。

先に報告したように賃金のグローバル裁定が続く中、経営者は労働分配率の改善には依然消極的で、急速に民間消費が上向く可能性は低い。史上最長の好景気は2000ITバブル崩壊以降、経営者の慎重な姿勢と棚卸管理技術の進歩により達成された。世界経済成長がスローダウンする中、低レベルの経済成長は続くが給与は上がらない構図が今後も続く可能性が高い。

マクロ的には、来年から団塊世代の退職が始まり低賃金世代の雇用が進み、その結果生産性の改善が更に進むと労働分配率は上がらずとも、パート・フリーター等の正社員化を含む世代の給与アップによる家計の改善から消費を刺激する漢方薬的な期待効果がある。しかし、より即効薬としての成長部門に人材がダイナミックに流れるような仕組み(年金移行等)はない。

このような状況で専門家の見方も割れている。11月というと金融機関のアナリストが今年のGDP成長率の最終予測と来年の経済見通しを出す時期である。今まで見た予測では楽観・悲観両論があり市場の苛立ちそのままに一致した見方が出てきてない。

このような霧の中で安倍政権がいつまでもうやむやな姿勢を続ける訳には行かない。安倍政権が積極的に改革に取り組むという明確なメッセージで市場を説得しなければならない。それはポピュリズムといわれようとも前首相がしたように、ハンセン病判決で官僚の言いなりにならず上訴せずという劇的な判断のようなものが良い。市場はそれを待っている。■

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