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デルの先行きに暗雲

2005-11-13 13:18:16 | 社会・経済
デルの第3四半期決算は市場の期待を裏切り販売高は前年同期比で11%成長したものの大幅に利益が低下、夏場から下がり始めた株価が遂に30ドルを切った。デルは常に市場の成長率を上回りハイテック企業のシンボルであったが、マクロで見ると6期連続成長率が低下し1桁台に落ち込むと見られている。パソコン世界トップ企業に何が起こっているのだろうか。今やアップル以外のパソコンメーカの株価にかつての面影は無い。これは一時的な傾向だろうか。私はパソコン市場に対して新たなシグナルが発せられたと考える。

製品別で見るとサービス事業やサーバ・ストレージ事業は順調に成長した一方で、肝心の主力のノートパソコンは販売が急増したが35%も価格下落し利益増に貢献せず、デスクトップが不調で業績の足を引っ張った。大雑把に言うと価格下落についていけなかったということである。売り上げを上げるため大口ユーザに対し300ドルから400ドルに値引きしたと報じられている。デルのビジネス・モデルは最も効率が良く常に価格優位性を持ってシェアを高めてきたはずなのに。

投資家はHP等のコンペティターがこの数年の間に徹底的にビジネス・モデルを改革しデル並に効率が良くなり価格優位性が崩れたという構造変化が起こったと判断した。現在最も成長している市場はアジアであり、成長が見込まれる残された市場では更に価格下落が進行するのは間違いない。デルは対応策として高価格シリーズの投入(9月にXPS投入済み)、原価低減(AMD製CPUの採用が予想される)、リストラの実施などが予想されている。

デルの成長神話に陰りが出てきたことはパソコン市場全体に対する警告である。他社がデル並になったといっても市場を変化させる新しい提案が出てきたわけではない。期待されたデジタル家電との連携やホームサーバなどのコンセプトが新市場開拓に繋がらず主力の箱売ビジネスの拡大になっていない。パソコン市場はゼロサムゲームの道を着実に辿っている。フラットテレビが出てくる前のテレビ業界みたいになるとは思えないが、収益性の高い商品か異なるビジネス・モデルが開拓されないと(可能性は30%程度でかなり低いと予測)リストラと業界再編は避けられない見込みである。■


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