かぶれの世界(新)

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不機嫌な2月

2006-02-20 15:03:01 | 国際・政治

2月に入り、いらいらする日が続く。デンマークの風刺漫画に対するイスラム諸国の暴動報道は心配だ。欧米諸国に移住したイスラムの多くは強く反発しているが、極めて民主的な方法で意思表示している。しかしイスラム原理主義とシリア・イラン等の国はこれを政治的に利用し関係のない米国にまで矛先を向けた。大半のイスラム穏健派は非常に迷惑し、宗教指導者はたしなめているが原理主義者に対して効き目が無いようだ。欧米市民はイスラムを一括りで厳しく見、イスラムは社会に益々受け入れられず孤立・先鋭化していく恐れがある。

このところ日本の株式市場はウォールストリートの上げにもかかわらず停滞し、後場更に値を下げ日経平均が15千円半ばまで低下した。1012月のGDPが驚きの年率換算5.5%成長のニュースにも反応しなかった。最近の量的緩和についての日銀総裁発言・小泉改革停滞の疑いによる外人投資家離れと東京証券市場の後場30分遅れ開始の影響が原因と見られている。

民主党の国会での“ライブドアから自民党武部幹事長子息への送金”追及には失望する。勿論事実なら事件だし捜査当局は徹底追及しなければならない。しかし、施設庁の談合や高速道路建設判断のほうが国の基本に関わる重要事項であり、政治はあるべき姿を徹底的に議論し正して行って欲しい、それが民意であることを忘れたのだろうか。テレビ受けのいいスキャンダル追っ掛けに堕するのは自虐的でさえある。

テレビといえば、火曜日にウォーターゲート事件を扱った映画「大統領の陰謀」のDVDが再リリースされるそうで著者のボッブ・ウッドワードとカール・バーンシュイタインのCNNインタビューを午前中見た。この事件とベトナム戦争は米国の報道のあり方を新しいレベルに高めた。その代表が両氏であり当時ウッドシュタインと呼ばれ今もジャーナリストを目指す人たちの目標となっている。

バーンシュタイン氏はカタリナ・ハリケーン時のホワイト・ハウスの対応を非難していた。未だに次々とハリケーン対応の詳細が暴露され徹底的に原因追及していく議会やメディアの姿勢を見ると、色々と失敗はしてもそれを糧にしてより短時間に強いシステムに作り上げていく米国の強さを感じる。日本では長年ガンとなっている「官」を正すことが超党派でさっさと取り組めないのだろうか。

久々に見たバーンシュタイン氏は舌鋒鋭かった。ニクソン大統領を真に追い詰めたのは与党の共和党の信頼を失った時であり、今ブッシュ大統領も同じ状況に陥ったと決め付けた。大量破壊兵器、アブグレイブ虐待、カタリナなどで真実が次々と暴かれた。今回チェイニー副大統領が友人を誤射した従来なら単純な事故でさえメディアが散々穿り返しているのは信頼を失った証左であると。

それにしても、何か好いニュースはないのか。オリンピックもダメだし。■

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トリノ五輪報道、大外れ

2006-02-17 11:12:02 | ニュース

トリノ冬季五輪が始まる前、ある民放で海外スポーツ誌の日本の獲得メダル数予測が2個と紹介したのを見て悪い予感がした。日本のメディアは概して海外オンチで、バランスの取れたものの見方が出来ず時に的外れのことを言う。経験から言うと意見が分かれた時、残念ながら信用出来るのは日本のテレビや新聞ではない。

日本のテレビはジャーナリストとして訓練されたキャリアのない素人をキャスターに採用し、薄っぺらで底の浅い根拠で過剰に扇情的な報道をするケースが実に多い。何故こう言わねばならないか、これを言ったら局の信頼を保てるか、職をかけ考え抜いていない。寂しいのは色々な領域の専門家や記者までその傾向があることである。

スポーツ報道では根拠薄弱な期待をして散々持ち上げ結果がでないと、一転して悪者探しをする姿勢が目立つ。残念ながらこれが我国のメディアのレベルである。さすがにこれだけ不成績が続くとまずいと思ったのか、昨日朝日新聞が「日本のメディアははしゃぎすぎ、滑っている」とデーブ・スペクター氏のコメントを取り上げ間接的に反省しているのを見た。苦戦の原因や悪者探しをする前に見る目がなかったと反省して欲しいものだ。

改善するのは難しくない。各国のオリンピック予測を調査し相違点とその理由を調べ、更に結果と照らし合わせることである。これを過去何年かにわたって履歴を取れば誰が信頼できるか分かり、更に原因に遡ることも出来るはずである。専門のスポーツ記者はその位やってキャスターにネタを見せ、馬鹿な事を言わせないようにして欲しい。

海外オンチは別に報道に限ったことではない。日本の半導体産業の低迷について昨年末「産業の米の凋落」と題して海外市場戦略の欠如が原因の一つと報告した。日立とソニーで半導体の責任者を歴任した牧本氏はもっと簡明に「半導体市場がグローバル化した時、海外市場を開拓出来なかった事を原因に挙げ、突き詰めると英語力が足りなかった」と指摘している。

日本の報道ビジネスは農業などと並び実は最も保護された田舎者で、グローバリゼーションの洗礼を受けていない残されたセクターであると私は思う。経営的には国内企業の参入すら容易に許さない仲間だけの緩い競争で、嘗ての護送船団に乗っかった金融機関と同じ様に気がつくと世界の趨勢から周回遅れの弱者連合になった。今回の的外れ予測は、「商品としての報道内容」も残念ながら経営レベルと五十歩百歩であることが如実に現れたということである。■

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パソコン販売戦線、春の異変?

2006-02-16 12:34:49 | 社会・経済

昨年のパソコン出荷は世界市場で当初低成長の予想に反してノ-トパソコン需要が市場を牽引し16%成長した。ノートパソコンの急成長は市場の力関係を変動させた。AMDが小売市場のCPUシェアを高め、Acerが欧州市場のシェアを伸ばし世界4位のパソコン・メーカーになった。Intelは予想通りの業績を報告し、Dellも若干シェアを上げたが製品値下がりに追いつかず将来が不透明と判断され株価が低迷した。

日本市場はDellHPなどの直販メーカーの低価格攻勢と液晶ディスプレイ等の部品価格低下を受け、大幅な商品価格下落が市場を刺激し久方ぶりに2桁成長した。しかし、総売上高は前年比を下回り依然厳しい状況が続いている。今年になって小売販売台数の伸びが徐々に軟化してきたように見える。2月第1週になって店頭では販売主力が春の新製品に切り替わり、昨年2桁以上の大幅下落した平均単価が前年同週比5.5%下落に落ち着いてきた。

春の新製品に切り替わりちょっとした異変が起こっている。東芝のノートパソコン販売が好調で2月第1週の店頭販売のトップになったらしい。私の記憶ではNEC、富士通、ソニー以外の商品が小売シェアトップになったことはない。一昔なら注目されたが今やパソコン販売は余りニュース価値が無いのかも知れないが、私は一体何が起こっているのか気になる。

昨日、近場の専門店巡りをしてパソコンの販売状況を見た。パソコン小売販売の大半は週末に集中するので、閑散期である2月の平日午後の売り場は予想通り買い物客が少なかった。ランキングトップの売れ筋商品は全て1416万円台のノートブック・パソコンで、どの商品も同じように見えた。現場を離れて3年近くになると主要な機能・仕様以外に商品の差が分からない。

どのメーカーも売れ筋は15インチ液晶ディスプレイ、スーパーマルチDVD100MB前後のハードディスク、インテル社のセレロンCPU512MB主記憶、無線LANが標準仕様。米国と異なりAMD社のCPUを使った商品は少ないのは意外だった。OSはマイクロソフト社以外に選択なし、各社夫々異なった名前のアプリは必要そうだが正直私にはどれが良い悪いと判断できない。

ベストセラーの東芝のAX/740LSは同じクラスの商品の中で店頭価格が最も安かった。言い換えると基本機能のコスト・パフォーマンスが最も良いから消費者の支持を受けたのだろう。西田社長就任以来、世界市場向け優先だった商品開発が日本市場にも同じように力を入れるよう方針転換し、その成果が出てきたと私は推測する。 

販売開始時点で計画を下回る販売が予測される事は大問題なはずで、当初計画した仕入れ在庫を売り切るか仕入れを減らすしか選択は無い。現実的に考えると競合他社は今後値下げして対応することは間違いないと考える。もし東芝がこれほど売れると考えず仕入れ計画数が少なければ、理屈上競争会社は玉切れになるのを待てばよい。しかし、事態はそれ程単純ではない。

東芝は昨年1012月の米国市場の販売が好調だった。パソコン事業で利益を計上するまでに構造改革したと発表しており、相対的に値下げ体力が高まったと予想される。23月は各社のサプライチェーンと価格決定力(費用構造)が試される興味ある時期となった。東芝の躍進が春の椿事で終るかどうか今後のパソコン販売動向が注目される。■

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Googleの二枚舌(続)

2006-02-15 12:11:39 | 国際・政治

再度「グーグルの二枚舌」について。米国IT企業が中国政府の要求を受け入れネット検閲に手を貸した問題が尾を引いている。議会や市民団体の厳しい非難を受け、ヤフーは13日米中政府間で協議して決めてくれと放り投げたと報じられている。私は報道に関わる資格のない規律に欠けた姿勢であると指摘したい。

検索エンジンの巨大ビジネス化

検索エンジンは誠に便利で世界中のウェブサイトから瞬時に求める情報を調べてくれる。パソコンをネットに繋ぐだけで誰でも情報を手に入れることが可能な革新的な道具を提供した。従来に比べ情報アクセスが格段に公平になったといえる。

特にグーグルは卓越した技術で次々と画期的なサービスを打ち出し、検索エンジンのシェアは50%、2位ヤフーの25%を大きく引き離している。IPO以来株価はうなぎ上りで、遂にインテルの株価価値を超えマイクロソフトに次ぐ巨大企業になった。

検索エンジンはメディアか

しかし、検索エンジンは情報を生み出してはいない。あくまで他人が創造した情報を拾い集めてくれる道具である。検索エンジンは革新的なビジネスモデルを実現し、従来の新聞・テレビ等のメディアを圧倒するビジネス規模になった。その結果、報道機関など情報を創造する側の効率化(リストラ)を迫り、読者に提供する記事の内容に影響を与え始めた。(具体的なデータは無いが、職を失ったプロの記者のブログが増えているという説がある)

本来、報道のあるべき姿とか言論の自由という視点から言うと、検索エンジンは水道管のように情報を流す透明な存在であるべきである。検索エンジンが情報を検閲し選別するなら、報道機関が守るべき規律を遵守することが求められる。仮にワシントン・ポスト紙が検閲を求められてビジネスのため経営陣が同意したとしたら、読者は離反し記者は抗議・退社が相次ぐだろう。(新聞社にはそういうことは起こらないという信頼が読者との間に確立されている。)

IT会社の基準は利益のみか

技術的には検索エンジンが記事を検閲し読者に提供するかどうか決めることが可能になった。しかし、検索エンジンを提供するIT会社は報道機関に求められる規律が無く、その判断基準は利益最大化のみである。グーグルは‘Dont be evil.という他のIT企業とは異なる理想を掲げて起業したが、結局他のグローバルIT企業と同じであると今回証明したと見做されている。

検索エンジンのビジネスモデルには新聞社などのメディアに求められる規律が必要無いように見える。だとすれば、歯止めは別の価値観・規律を求める議会や人権団体しかなさそうである。実際のところマイクロソフトやヤフーが中国でやったことはグーグル以上に酷いが、グーグルの悪いことはしないという‘純白’のイメージが損なわれた影響は容易に回復できないかもしれない。

歯止めはメディアが果たせ

内外の新聞社は検索エンジンの閲覧を拒否もしくは有料化する動きがあるのはこのような背景がある。しかし、これはこれで諸刃の剣になる可能性があると私は指摘しておきたい。寧ろメディアは将来更にIT企業との関連が高まると考え、情報を扱う者としての規律を求めて行くべきである。決して対岸の火事ではない。

ビル・ゲイツが世界一の金持ちになった時、金儲けだけで社会貢献しないつまらない男という批判に応え、その後巨額の私財を投じて世界に貢献し夫妻でタイム誌の2005年の人に選ばれた。グーグルの創設者にも同様のことを期待したい。

万里の長城とアリの一穴

中国政府は多くの矛盾を抱える国内事情に対応するため昨年頃から情報統制の強化が目立っている。小泉首相の靖国参拝・歴史認識に端を発した反日暴動は中国政府の暗黙の支持のもとインターネットで組織化し予想以上の広がりを見た。この時中国政府はインターネットの威力を思い知り、一層の検閲強化をすると決意したといえよう。

しかし、検索エンジンで検閲すれば情報統制すれば何とかなると思ったら大間違い、インターネットはそれ程甘くない。先週号のタイム誌によれば北京当局がひた隠しに隠したSARS勃発は中国人医者達の告発メールで暴露されたという。3万人いるという検閲官といえども、検閲を潜り抜ける情報交換は止めることは難しいと報じている。■

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米国貿易収支が歴史的な赤字に

2006-02-11 17:35:31 | 国際・政治

米貿易赤字、人民元は悪者か

米商務省は102005年の貿易収支が初めて7000億ドルを突破、GDP5.8%の7258億ドルに達したと発表した。2005年の対中国の赤字は前年比24.5%増の2016億ドル、2001年の2.4倍に急増、貿易赤字全体の4分の1に達し、中国の為替政策等に対する米議会の不満が高まる一方と報じられている。

確かに自由貿易のルールに従わない中国の為替政策には問題があるが、私は人民元の為替制度をいじくっても米国の貿易赤字は解決しないという説を支持する。輸出の60%は日欧米および東アジア諸国の企業が中国に投資した工場からであることを考えねばならない。中国が貿易赤字の原因と決め付けられ時、強く反論するのはこれが為である。利益を得てるのは貴方たちでしょうという訳だ。

グローバリゼーションの勝者と敗者

グローバリゼーションは世界で最も安価な商品を作る工程(グローバル・サプライ・チェーン)を作った。グロ-バル企業は自国から中国に組立工場を移転し巨額の利益を上げ、輸入国の消費者は低価格の商品を買うことが出来た。彼らはグロ-バリゼーションの勝者である。勝者はグローバル企業と先進国消費者、及び生産の過程で中国に落ちるお金の受益者である。

一方、敗者は工場が移転した日欧米の労働者達である。例えば松下電器は中国の工場で7万人、三星は5万人を雇用し、台湾のコンピュータ会社は72%のノート・パソコンを中国で生産している。ここに中国企業の名前は出てこない、中国は世界の生産工場であっても世界の中国企業ではないのである。(この点、中国政府はかなり長いレンジで物を考えているように思える)

歴史的赤字、実は心地よい現状

今までの議論で言えることは、米国の記録的な貿易赤字の原因を、即、中国の為替政策に求めるのは拙速であるということである。サプライチェーンの一部を取り出してイン・アウトのギャップを議論しても意味がない。北海道と東京の収支不均衡は米中間の貿易ギャップより遥かに酷いが、当然の事として誰も文句言わないのと似ていないだろうか。

何度も議論してきたように、貿易収支と資本収支を合わせて考えたほうが今起こっていることをうまく説明できる。昨年丁度今頃、米国の歴史的な貿易赤字にドル安が加わり「ドル離れ」の危機が囁かれた。しかし、1年経った今世界の余剰資金は経済好調な米国に投資されドル高が続いている。議会の反発はあるものの物価上昇・消費停滞・貿易赤字減少のシナリオより、米国は好調な経済の下全体として現在の構図のほうが心地よさそうに見える。

持続性、いつまで続くか誰も分からない

モノやサービスの貿易と資本投資の収支がトータルとしてバランスが取れ、米国が世界経済を引っ張っていく現在のグローバル経済システムの持続性があるのかどうかについては専門家の意見が分かれている。双子の赤字の一方である財政赤字が更に悪化すると微妙なバランスが崩れるという説がある。長期的な貿易赤字の影響が何時か表面化するという説もある。

資本・生産・消費が密接に連携したサプライチェーンをベースとするグローバリゼーションの元では米国経済と世界経済はリアルタイムで一体化した。従って米国景気動向に関わらず、ニューヨーク証券市場を通じて世界の余剰資金を吸収し再投資する経済システムが透明かつ健全に機能することが持続性を保つ必須条件の一つである。

余談

余談ながら中国への直接投資は続いても株式市場は全く不調なのはその不透明・不健全性の為である。スキャンダル後の日本の法整備がどうなるか注目を受けているのも同じ理由である。今のところ日本の証券市場は中国に比べ圧倒的に透明かつ健全であるが、東証や大証の無能力には失望したのも事実である。■

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