かぶれの世界(新)

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自助精神の復活

2006-10-29 22:49:05 | 社会・経済

今回は毎日のように報じられる教育や格差、犯罪等の問題に対する取り組みについて心の問題をミクロとマクロの視点から一言。

ご近所の底力

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杉並区のある町でそれまで年間約100件あった空き巣被害が、町ぐるみの対策が効果を上げこの2年間全くなくなったとNHKが報じている。NHKの番組「ご近所の底力」を通じて他の地域で実施されていた対策が以外な効果があったらしい。

その対策は1)更正した犯人の目から町を見直し空き巣の嫌がる街づくりをした、2)無理のないパトロールの徹底実施、3)会った人に必ず挨拶する - という簡単なことを「町ぐるみ」で着実にやるという内容であった。

解決策はセルフ・ヘルプ

全国的に見ると一般住宅の空き巣被害は増加傾向にある一方で検挙率は2割に留まっており、若者や外国人の犯罪を嘆き警察に対する信頼云々の声が聞かれる中この報道に私は救いを感じた。一言で言うとそれは警察だけに頼らない安全な町づくり、即ち「自助の精神」の発揮である。

昨今何か事件が起こると教育とか社会などの問題を指摘する声が大きく、報道がそれを煽っている場合が多い。そういう中でこのNHKの「ご近所の底力」とか報奨金的補助金に頼らず知恵と工夫で村づくりをしている自治体を紹介したテレビ朝日の「サンデープロジェクト」は高く評価していい。

急増する政府支出

私は苦境に陥ると直ぐ公の出動を要請する風潮のアンチテーゼとして、近年失われた「自助精神」を取り上げたい。マクロ経済で見るとGDPに占める先進諸国の政府支出比率は着実に増えている。第二次世界大戦後の平均30%弱が昨年は45%になり、許容可能な限界点に近づいているかどうかが専門家の間で議論になっている(MS:モルガン・スタンレー・リサーチ)。

国別に見ると2005年フランス・スエーデンが55%、日米が35%、英独は中間の45%前後である。国によって事情は異なるが欧州全体で見ると高負担で全体が縮小する自己破滅的な領域からそれほど遠くないという研究報告をMS社は引用して報告している。

政府支出が構造的に増加する日本

急速に老齢化が進む日本では、このままでも自動的に政府支出のGDP比率が高まることを理解しない議論がある。今も人口増が続く米国とは全く状況が異なる。経済システムとして政府支出の比率を安易に上昇させられない。言い換えると何かあるたびにお上にお願いして公に解決を求める姿勢(私はタカリの構造という)を改めるべきだ。

言い換えれば歯を食いしばって苦境を自ら乗り越える「自助精神」で日本人の誇りを取り戻す時が来た。そんなに難しいことではない、バブルの少し前まで皆ずっとそうだった。その経験のない若い人達には大変かもしれないが、年寄りに聞けば喜んで教えてくれる。現在までの繁栄は2000年の歴史のホンの数十年だけ、まだDNAは壊れていない。

ある英国人の予告

日本が戦後奇跡といわれた経済復興をとげ高度成長を続け、ジャパン・アズ・ナンバー・ワンといわれ、歴史上かつてない得意の絶頂にあった頃読んだある英国人のコラムが未だに忘れられない。成功しても規律正しく労働意欲を失わない日本人は素晴らしいが、日本が繁栄を長く続けられるとは思えないとあった。

言外に彼は豊かな生活下で子孫に規律を引き継ぎ伝えていくことは至難である、つまり日本人の国民性には産業革命後200年に亘り世界の主役であり続けた英国のような遺伝子がないといっているように感じた。当時これを聞いて英国病といわれ国難に瀕した負け犬の遠吠えと思ったが妙に引っ掛かった。

自助精神が復活の鍵

その後この英国人の予告はある意味当たった。小泉改革は規制を減らしたが財政出動を抑え企業の自助努力により日本経済を復活の道に乗せた。経済回復が一様でなくまだら模様でいまだ光の見えてない企業や個人に対して、厳しいようだが応分の才能と努力があったか、足りなければそれを埋め合わせる自助努力をしたか問わなければならない。

市町村合併による補助金を断り、知恵を絞り工夫して立派な運営をしている小さな村と、公務員にでたらめな給与やベネフィットを与え厚遇している赤字都市に対し同じように扱ってはいけない。今後の構造改革のキーワードは「自助精神」を育て、取り組みを見極めて推進すべきと信じる。■

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