八十路徒然なるままに

すざまじきものにして見る人もなき月の寒けく澄める、廿日のあまりの空こそ、心ぼそきものなれ。徒然草より

お元気で

2012年03月04日 00時42分26秒 | Weblog
二月の海、この海の奥深くで、発生した大地震、原発の事故。避難をしていた知り合いのばあちゃんが、老人施設に入居するので、寝具を取りに、立ち寄った。家業を継いだ息子が、おくって行く。家族が一緒に住めなくなり、面倒をみられないとのことだ。家族が離れ離れになってしまつたという。長い間のお付き合いだつた。昭和30年頃か、車の免許を取得する前だった。汽車で、いわゆる仕事の出張していた頃だった。帰り道で、寒い最なか、夜の汽車がくる待ち時間に、休ませてもらい、その上、なぜか湯豆腐をご馳走になったのを、憶えている。家の中の、夜の明かりは、電灯の時代のことだ。ずうぅっと記憶をしていた。もう、このばあちゃんとは合う機会はない。別れ間ぎわの言葉は、「元気でねえ」ってしか、云えなかった。袋菓子だが、二袋、「お茶のときにねぇ」って、あげた。にこにこ顔だったが、ちょっと、寂しげに見えた。同じ年頃の知り合いが、年賀はがきを、おくってくれる。今年のは、たどたどしい文字だった。まあ、元気でいるなぁって、思っている。いろいろと、その家その家の、事情がある。はるか六十年前にご馳走になった、湯豆腐のことは、忘れないことにしよう。
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