全文は、「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」。ばあちゃんが、手入れをしていた。ばあちゃんの娘から、三鉢頂いた。二鉢は、数年前に、屋外に置き、冷気に当ててダメになった。数日前、ばあちゃんを廊下に出し、花を見せたが、目をつぶっていた。おしゃべりができた頃は、指をさし、「きれいだなぁ」と、見ていた。「クンシラン」。誕生日の花ことばは、1月の19日で、「貴い」、「望みを得る」という。当のばあちゃんは、八月で、満107歳になる。在宅介護は、14年間になる。大腸腫瘍の除去手術の退院間際に、「家に帰りたい」と。退院後の、月に一度の定期の診察が終わり、帰り道が違うと、「あらっ、道が違うよぉ」と、車の窓越しでも、街並みを覚えていた。ほぼ一年後に脳梗塞で、退院になるころは、面会に行くと、「一緒に帰る」と、しきりに云っていた。ディサービスには、数回通わせた。そのあと、行く準備で、着替えは、効き腕で、上着をはぎ取り、朝食は口に、無理やり入れても、吐きだして、食べなくなった。「行って、お風呂に入れてもらいなぁ。風呂に入らないと、死んでしまうぞぉ」と、脅しても、「死んでも、かまわねぇ」だった。夜露をしのげるだけでも、住み慣れたのが、一番なのだろう。