八十路徒然なるままに

すざまじきものにして見る人もなき月の寒けく澄める、廿日のあまりの空こそ、心ぼそきものなれ。徒然草より

思い出の

2022年09月06日 15時56分35秒 | Weblog

画像は、ばあちゃんの思い出の品。アルバムに挟んであった。尋常高等小学校高等科第二学年、昭和四年とある。帝国普通教育会とあるので、全国の展覧会に出品した時のもの。ばあちゃんが、旅立ってから、ひと月になる。下記は、百歳の時の記念の小冊子に綴り込んだものです。題は、「世話かけるねぇ」九十五才のころ。「ばあちゃん、ご飯だょお」と、お盆を持っていくと、「おれは いい、おれは いい」と、手でも遠慮する。「これは、ばあちゃんの分、皆ぃんなは、あっちで食べっから」と、言い聞かせる。スプーンを使い口いっぱいに、頬張る。「ゆっくり食べんだょお」と声をかけると、「世話掛けるなぁ」という。食べている間、ずうーっと、目をつむっているときがある。「眠むてぇのげぇ」と聞くと、首を横にふる。「何か考えてぇんのげぇ」と聞くと、「いろいろ」と、ぽつり。ある時は、口をへの字に、泣きべそをしていて、ほおばったまま。口を、とんがらかして、こらえていた。ぽろぽろぽろと、涙が頬をつたわって落ちる。「泣くさんなぁ、大丈夫だから」と、肩をとんとんとんとしてやると、うっうっうっって、泣き出してしまう。自分の不甲斐なさを、悔やんでいるのかも。食べ終わり、「器、下げっかんねぇ」というと、「ごっつぉさん」と。「お粗末さま」で、器をさげた。ーー脳梗塞のあとのことーー全介護になった自分を、考えていたのかも。

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