見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

ぬいぐるみも公文書/公文書の世界(国立公文書館)

2011-10-05 22:26:48 | 行ったもの(美術館・見仏)
国立公文書館 平成23年度秋の特別展『国立公文書館創立40周年記念貴重資料展II 公文書の世界』 (2011年10月1日~10月20日)

 春秋恒例の国立公文書館特別展。春の『貴重資料展Ⅰ 歴史と物語』に続き、秋は近現代の公文書を特集する。「鉄道」とか「発明」といったテーマではなく、公文書の形態や来歴、作成者などに着目している点が異色。たとえば「会計検査院の文書管理」「文部省の文書管理」「農林省・農林水産省の文書管理」等を並べてみると、門-部-類のツリー構造の分類を徹底している文部省の文書は異色。大分類が、総務・教育・図書・会計の4門であるあたり、漢籍の四庫分類からきているんじゃないかな?なんて思ったりする。

 「民事判決原本」は、1992年の法改正によって、明治期から1943年までの民事判決原本が廃棄対象になったとき、国立大学の法学部教授たちによる「判決原本の会」が結成され、10の国立大学が移管受入れを行ったもの。その後、再び法改正により、国立公文書館への再移管が行われ、昨年度末に完了した。国立大学の教授たちも、たまにはいいことをするものだ。

 「諸雑公文書」は、国立公文書館が設置された1971年、内閣・総理府から未整理のまま移管されたもの(明治期~昭和30年代の文書。岩倉具視の個人宛書簡もあり)で、2002年にようやく全て目録化されたという。気の長い話。でも、短気を起こして捨てられなくてよかった。

 1995年の阪神・淡路大震災の記録は、2007年の総理大臣決定により、通常では保存されないような文書(地方における対応など)も保存されているのだという。今年の東日本大震災、特に福島第一原発関係の記録はきちんと後世に残してほしい。日本に後世があればだけど。でも、動画とかtwitterとかホームページのログとか、形態がバラバラで残しにくいものもあるだろうなあ…。

 形態といえば、写真や地図、木材見本が付録についているなんていうのはかわいい方で、笑ったのは「修善寺温泉みやげ」のタオル。裸体の女性が描かれているのが「風俗壊乱」の一例として、文書に添付されている。さらに、献血推進マスコットの「けんけつちゃん」ぬいぐるみ(!)も。中性紙の保存箱に入れて、文書棚に整理されているらしい。文書館も大変だな~と思った。
コメント
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