見もの・読みもの日記

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サインもお勉強/皇室と御修学(宮内庁書陵部展示会2011)

2011-10-17 22:33:32 | 行ったもの(美術館・見仏)
○宮内庁書陵部 特別展示会『皇室と御修学』(2011年10月13日~19日)

 今年はたまたま書陵部の方とお仕事をさせていただく機会があり、特別展示会の案内状をいただいた。やった!という感じで、久しぶりに見に行った。前回が2004年だったので、7年ぶりである。以前も書いたが、この特別展示会に入場するには、書陵部からの招待状を手に入れなければならない。昨年、三の丸尚蔵館で行われた展覧会『皇室の文庫(ふみくら) 』と違って、あくまで「関係者限り」のイベントなのである。

 参観者の多くは、大学の先生に引率された学生さん。あと、よく分からないおじいちゃん、おばあちゃんが多かったのは、皇居で勤労奉仕とかすると招待して貰えるのかな?と疑っている。

 展示品は超一級である。冒頭から、おおお『中右記』だ~『玉葉』だ~と思って、目がくらみそうになる。展示ケースには詳しい解説はついていないので、受付で貰った図録を読みながら鑑賞する。あ、そうか、どちらも自筆本ではないのか、自筆本は伝わっていないのか、と少し冷静になる。でも最善本であることは間違いない。冊子体で、版型が大きく、ずっしり重たそうだった。

 『花園院宸記』(これは巻子)正中2年条の巻末に「今年所学目録」として、三国志など13部の書名を挙げる。『学道之御記』も花園天皇の宸筆で、展示箇所は、いたずらに多識を誇る態度を戒める箇所。図録を見ると、それに続く書物の抜き書きメモ(?)みたいな部分も、全く他人に見せることを意図していない筆跡で、よく読めないけど面白い。

 ぐっと時代が下って、明治・大正・昭和天皇の御修学に関する資料も出ている。明治天皇については、木戸孝允の手記(木戸家文書)も。大正天皇については、満11歳のとき、明治天皇の皇后(昭憲皇太后)から賜った『日本外史』版本の冒頭を展示。朱筆で、幼い文字が版面いっぱいに書入れされている。「昭陽」は昭憲皇太后の蔵書印だという(覚えておこう)。たぶん書陵部の方だと思うが「でもこれ、ごく最初の方しか書入れはないんですよ」と解説しているのが耳に入って、可笑しかった。

 昭和天皇関連は「東宮御学問所資料」と一括される資料群。学習院初等科を卒業後、東宮御所に設けられた御学問所で使用された教科書だという。全80冊。もちろん非売品。和綴じだが、活字本である。習字の練習帳に「裕仁、裕仁、裕仁」とびっしり名前を練習してあるのが可笑しかった。でも、公文書等にサインするのは、天皇の重要な任務だからね。
コメント
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