見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2014大阪で花見

2014-04-11 23:35:42 | 行ったもの(美術館・見仏)
先週、文楽4月公演(住大夫さんの引退公演)を見るために大阪に行ったときの余話。夜の部開演まで時間があったので、噂の「あべのハルカス」に行ってみる。

あべのハルカス美術館 開館記念特別展『東大寺』(2014年3月22日~5月18日)

印象的だったのは、国宝『誕生釈迦仏立像・灌仏盤』の灌仏盤の浮彫が、非常に見やすかったこと。むかしの奈良博でも、いまの東大寺ミュージアムでも、あんなによく見えたことはないと思う。室町時代の絵巻や仏画がたくさん出ていた。最高級の名品とは言いがたいが、ふだん見ることが少ないので、珍しかった。『木造重源上人坐像』は、ここでも「勧進」の象徴みたいに静かに座っていらした。

■大阪・水上バスクルーズ

翌日、ホテルの近くの「難波宮跡」を見にいく。曇り空の下で、満開の桜が風に揺れていた。



 さざなみや志賀の都は荒れにしを 昔ながらの山桜かな(千載66)

いや、ここ難波だけどね。旧都の遺跡に桜花はよく似合う。

 さざなみの志賀の唐崎さきくあれど 大宮人の船まちかねつ(万葉30)

というわけで(?)八軒家浜船着場に行って、水上バスクルーズ(アクアライナー)に乗ることにする、予約して、カフェで朝食にしていたら、乗船時間には満席になっていた。早めにチケットを購入しておいてよかった。



ポツポツ小雨が降り始めたが、屋根が付いているので安心。車窓ならぬ船窓は、ずっと桜並木。大阪造幣局の横も通っていく。春の名物「通り抜け」を体験できるのではないかと思っていたが、一週間後(4/11~)だと聞いて、ガッカリ。遅いんじゃないかと思ったが、造幣局の見どころは八重桜なので、ソメイヨシノより花期が1週間ほど遅いのだそうだ。下は、一瞬だけ見えた大阪城。楽しいな、このクルーズ。



■東寺・食堂 『漫画家による仏の世界展』(2014年3月20日~4月6日)

京阪線で京都へ。時折、強い雨が通り抜ける不思議な天気だったが、青空も見えた。東寺の庭で、天女の羽衣みたいに美しい桜花に見とれる。ついでに『漫画家による仏の世界展』では、江口寿史画伯の『魚藍観音』に見とれる。確か、北斎の鯉をお手本にしたとつぶやいていらしたけど、ダイナミックで、国芳を思い出した。



そして、自分がどんなにサクラ好きかを思い知らされつつ、東山~洛中を散策して、旅を終わる。

北海道に戻ってみれば、今日も春の雪。桜はいずこ。
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アイスショー「スーパースターズ・オン・アイス in 札幌」

2014-04-11 00:15:53 | 行ったもの2(講演・公演)
スーパースターズ・オン・アイス in 札幌/Superstars on Ice in Sapporo2012(2014年4月9日、19:00~)

 昨年、札幌に引っ越してくるにあたり、いろいろ不安を感じた一方で、フィギュアスケートを生観戦する機会は増えるに違いない、というのは楽しみのひとつだった。ところが、めぼしい機会もなくて1年間が過ぎてしまった。あれ~と思っていたら、ようやくめぐってきたチャンス。年度初めの月火水の、平日3日間限定ってひどいなあ、と思いながら、S席チケットを取った。会場は真駒内アイスアリーナ。地下鉄の終点駅から、さらにバスに乗るというので、仕事帰りに間に合うか気を揉んだが、シャトルバスがどんどん来てくれて、問題なかった。

 会場の第一印象は「思ったより狭い」。そのわりに客席は3階まであって、私は2階席だったが、リンクが遠い気がした。あと全体に作りが殺風景で、アイスショーの会場というより「体育館」の雰囲気だった。オープニングは、はっきり判別できなかったけど、海外スケーターたち(だけ)の群舞。日本人スケーターはいつ出てくるんだろう?と思っているうち、彼らがサッと捌けて、個人演技が始まる。

 最初は織田信成の「ラストサムライ」。心が晴れるような、のびやかな滑りが美しい。続いて、鈴木明子は今季のSP曲「愛の讃歌」。彼女は、ハードボイルドな曲も清楚で女性らしい曲もこなす、幅の広いパフォーマーだけど、私はこのプロで初めて好きになった。紫の衣装もよく似合っていて、堂々としていた。

 三番手はハビエル・フェルナンデスで、やはり今季のSP曲(Satan Takes a Holiday というのか)。しばらく海外スケーターが続く。アイスダンスのシブタニ兄弟、一見してファンになってしまった。マイアちゃんのツイッターの写真や動画がまた楽しい。フィギュアスケーターって、みんな可愛いなあ。それから、デニス・テン君の軽快な「雨に唄えば」、チン・パン&ジャン・トンのしっとりと情熱的な「ロミオとジュリエット」など。

 第1部の最後には日本人スケーターも登場。小塚崇彦の帽子プロ。村上佳菜子ちゃんは今季Ex(King of Anything)で、狭いリンクから飛び出すんじゃないかと思ったくらい、元気いっぱい。くるくる変わる顔の表情が遠目にもはっきり感じ取れて、こちらも楽しくなる。濃いピンクのドレスも素敵。

 休憩を挟んで、第2部オープニング。色ちがいの原色Tシャツで登場した男子スケーターの群舞。あれも海外組だったのかな? よく判別できなかった。第1部もかなり豪華メンバーだったが、第2部は、さらに近年のメダリスト、スーパースターが相次ぎ登場。町田樹のSP曲「エデンの東」で大歓声。町田くん、王子様路線で行くのかと思っていたのに、最近の変人キャラで固定していいのか…とちょっと思っている。ジェフリー・バトルは初めて見たけど、なるほどカッコよいわ~。そして、見れば見るほど、スルメを噛みしめるみたいに好きになっていくP.チャン。

 女性陣は、ジョアニー・ロシェット(ノートルダム・ド・パリ?)、カロリーナ・コストナー(シェヘラザード、青のキラキラ衣装)が登場。手足の長い西洋人の女子選手の美しさは、飛んだり跳ねたり、小回りの利く日本人選手とは全く「別物」という感じがする。ソトニコワは長い髪を振り乱しての「白鳥の湖」(文楽人形みたい)。

 そして、浅田真央登場(スマイル)。私は見ているだけでも競技会の緊張感が苦手なので、こういう笑顔の見えるショープログラムのほうが好きだ。そして、観客の異様な盛り上がりに驚いてしまった。トリは羽生結弦。名プロ「花になれ」は、ようやく初見で、嬉しかった。そしてフィナーレ。

 選手がリンク北側の入退場口に引っ込んだあとも、手拍子が鳴りやまず、暗転した照明がもう一度、明るくなると、入退場口に集まった選手たち(主に日本人選手)が何か話している様子。やがて羽生が、ほかの選手を煽るような仕草を見せながら、ひとりでリンクに進み出ていく。期待にどよめく客席(もちろんみんな、スタンディング状態)。すーっと南側に滑っていった羽生が、見事にジャンプを決める。よ、4回転だよね?とは思ったけど、4回転ループ(4Lo)だとは分からなかった。それであんなに、胸を撫ぜ下ろす仕草を見せたり、嬉しそうだったのか。

 そのあと、もっと誰か行けよーという煽りポーズを見せるのだが(女子にも)みんな引いていたら、織田信成くんが引っ張り出され(というか、搬入荷物みたいにリンクに押し出され)、果敢に挑戦するも、見事に失敗して、ごめんなさいポーズで戻ってきた。織田くん、いい人だなあ。社会(集団)には羽生くんも必要だが、織田くんみたいな人も必要だよ。こういうスケーターの一面を見られるのが、アイスショーの楽しさ。

 アリーナ席はずっと盛り上がっていたが、私のまわり(2階席)は、やや盛り上がりにかけた。アイスショーが初めてのお客さんが多かったのだろうか。拍手や手拍子を義務でする必要はないけど、もう少し乗ったほうが楽しいのに。そして、日本人選手にしか関心がない雰囲気のお客さんが多かったな。今回のショー観戦をきっかけに関心が広がってくれたらいいと思う。
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