○サントリー美術館 『着想のマエストロ 乾山見参!』(2015年5月27日~7月20日)
尾形乾山(1663-1743)については、かなりまとまった展覧会を見た記憶がある。調べてみたら、2007年、出光美術館の『乾山の芸術と光琳』の記憶らしい。このときお気に入りになった作品には、オランダのデルフト陶器の写しや、「氷裂文」に豊かな色彩を添えた『色絵石垣文角皿』などがある。
それから、五島美術館の特別展『向付(むこうづけ)』や畠山記念館の『懐石のうつわ』展でも乾山の皿をたくさん見た。乾山は50歳から工房で大口の注文に応じ、向付や茶碗のセットをたくさん製作しているのだ。本展では、会場の後半に、これらの名品が集められていた。『色絵石垣文皿』も1点ではなく5点セットで残っているんだな。贅沢! 『銹絵百合形向付』は大胆で人目を引くデザイン。『色絵春草文汁次』は女子好みの愛らしさ。汁次(しるつぎ)は、醤油やお酢を入れる小さな土瓶形の容器だが、文様変わりでちゃんと5点セットになっている。ひとりひとりが大事にされていて、しかも大勢で会食する楽しさが感じられる。
会場前半は、たぶん若い頃の作品なのだろう、色紙のような四角い平皿に銹絵+淡彩で、花鳥風月などを描いた作品が目立った。裏面には定家詠十二ヶ月の和歌が記されていたり、能の演目を集めたものだったり、漢詩の章句が書かれていたり、これらの器を使った人々の教養の高さに感心する。能の「安宅」は海の岩場、「道成寺」が一面の桜に寺らしき門(鐘までは描かない)とか、これだけで分かる(分からなければいけない)のだな。また四季の絵柄に「狩野派ふう」と「琳派ふう」が混じっているという指摘も面白いと思った。
乾山の作品だけでなく、乾山が参考にしたさまざまなやきもの、楽や織部や志野・鼠志野などの名品もあわせて見ることができる。また乾山の作風の後継者たちの作品もあって、興味深かった。最後に富本憲吉やバーナード・リーチの名前もあった。
尾形乾山(1663-1743)については、かなりまとまった展覧会を見た記憶がある。調べてみたら、2007年、出光美術館の『乾山の芸術と光琳』の記憶らしい。このときお気に入りになった作品には、オランダのデルフト陶器の写しや、「氷裂文」に豊かな色彩を添えた『色絵石垣文角皿』などがある。
それから、五島美術館の特別展『向付(むこうづけ)』や畠山記念館の『懐石のうつわ』展でも乾山の皿をたくさん見た。乾山は50歳から工房で大口の注文に応じ、向付や茶碗のセットをたくさん製作しているのだ。本展では、会場の後半に、これらの名品が集められていた。『色絵石垣文皿』も1点ではなく5点セットで残っているんだな。贅沢! 『銹絵百合形向付』は大胆で人目を引くデザイン。『色絵春草文汁次』は女子好みの愛らしさ。汁次(しるつぎ)は、醤油やお酢を入れる小さな土瓶形の容器だが、文様変わりでちゃんと5点セットになっている。ひとりひとりが大事にされていて、しかも大勢で会食する楽しさが感じられる。
会場前半は、たぶん若い頃の作品なのだろう、色紙のような四角い平皿に銹絵+淡彩で、花鳥風月などを描いた作品が目立った。裏面には定家詠十二ヶ月の和歌が記されていたり、能の演目を集めたものだったり、漢詩の章句が書かれていたり、これらの器を使った人々の教養の高さに感心する。能の「安宅」は海の岩場、「道成寺」が一面の桜に寺らしき門(鐘までは描かない)とか、これだけで分かる(分からなければいけない)のだな。また四季の絵柄に「狩野派ふう」と「琳派ふう」が混じっているという指摘も面白いと思った。
乾山の作品だけでなく、乾山が参考にしたさまざまなやきもの、楽や織部や志野・鼠志野などの名品もあわせて見ることができる。また乾山の作風の後継者たちの作品もあって、興味深かった。最後に富本憲吉やバーナード・リーチの名前もあった。