そう言えば最近、テレビドラマのことを何も書いていなかった。もともとあまりテレビを見る方ではない上に、4月からBSが見られない環境に逆戻りしてしまったが、なんとなく面白いドラマを嗅ぎ分けて、つねに1作くらいのペースで見ている。
■TBSテレビ60周年特別企画『天皇の料理番』(2015年4月26日~7月12日、全12回)
宮内省大膳職司厨長(料理長)を務めた秋山徳蔵(ドラマでは篤蔵)を描いた、杉森久英の同名小説が原作。私の同世代は、1980年に放映された堺正章バージョンを懐かしみ、比較している人が多かったが、私は旧作を全く見ていないので、ストーリーが全く分からず、新鮮な気持ちで楽しめた。
脚本が『JIN-仁-』『ごちそうさん』の森下佳子さんだと聞いたときから、面白くないはずがないと思っていたけど、期待以上だった。何も特別なことのない日常の描写から感動を呼び起こすところ、逆に本当に「涙と感動」が作れそうな絶好のシーンを脱臼させて、泣き笑いさせるところ、相変わらず心憎いほど巧い。平易な言葉なのに心に染み入る名セリフがいくつもあった。主演の佐藤健をはじめ、黒木華、鈴木亮平、みんな巧かったなあ。脚本の素晴らしさが役者魂に火をつけるんだと思う。脇役のひとりひとりまで、ドラマに描かれていない人生の厚みを感じさせるような人物造形だった。
そして、特筆しておきたいのは、放映から7日間(次の回が始まるまで)公式サイトで無料配信がされていたこと。私は全12回のうち2回くらい、本放送を見損ねて、この無料配信のお世話になった。もしこのサービスがなかったら、途中で見るのを止めていたかもしれないし、視聴を続けたとしても、見逃し回の不満と心残りを引きずっていたと思う。無料配信があるにもかかわらず(否、だからこそ)終盤の視聴率はどんどん上がった。ぜひ、こうしたサービスを拡大してほしいと思う。
■NHK土曜ドラマ『64(ロクヨン)』(2015年4月18日~5月16日、全5回)
横山秀夫原作。昭和64年(1989)D県警管内で少女の誘拐殺人事件が起きた。時は過ぎ、時効間近の平成14年(2002)、再び新たな誘拐事件が発生し、二つの事件は意外なかたちで収斂していく。ミステリーファンには評価の高い、有名な作品らしいが、私は全く知らなかったので、やはり新鮮な衝撃を受けた。個人的には脚本の大森寿美男さんが好きなので、長編を破綻なくまとめた(しかも緊張感を持って)脚本をホメたいのだが、音楽も映像も演出もカッコよくて、脚本が目立たなかったのは仕方あるまい。特に音楽(『あまちゃん』の大友良英さん!)は、日本のドラマだと思えないくらいカッコよかった。俳優陣もよかった。ほとんどオジサンばかりだったけど。そして、やはり主演のピエール瀧は群を抜いていた。
しかし、この作品は残念ながら視聴率は取れなかった。1時間、緊張の連続を強いるドラマって、受けないんだな。でも少数の視聴者に長く熱狂的に語り継がれるドラマだと思う。
■フジテレビ『デート~恋とはどんなものかしら』(2015年1月19日~3月23日)
古沢良太脚本によるオリジナル作品。数々の恋愛ドラマの名作を生んだ「月9」枠のドラマである。私が「月9」ドラマを見るなんて、一生ないだろうと思っていたが、ツイッターのTLにやたらと高評価が流れてくる。確か、初回~2回くらいまでは有料オンデマンドで見て、面白かったので、オンタイム視聴に切り替えた。年度末に異動と引っ越しを加えた多忙の中で、時間をやりくりして最終回まで見続けた。恋愛力ゼロの理系エリート公務員女子(杏)とニートでオタクの文学青年崩れ(長谷川博己)のドタバタ恋愛ドラマ。かつて「月9」が得意とした、お洒落でトレンディな恋愛ドラマのパロディのようでいて、実は王道の恋愛ドラマだった。最後は素敵なハッピーエンドで、自分の生きている世界が明るく見える感じがした。
以上、どれも終了して、ますます記憶の中で輝くドラマ。いまは、先週、初回を視聴した『ど根性カエル』が気になっている。これらと並んで、記憶に残る作品になるかどうか。
■TBSテレビ60周年特別企画『天皇の料理番』(2015年4月26日~7月12日、全12回)
宮内省大膳職司厨長(料理長)を務めた秋山徳蔵(ドラマでは篤蔵)を描いた、杉森久英の同名小説が原作。私の同世代は、1980年に放映された堺正章バージョンを懐かしみ、比較している人が多かったが、私は旧作を全く見ていないので、ストーリーが全く分からず、新鮮な気持ちで楽しめた。
脚本が『JIN-仁-』『ごちそうさん』の森下佳子さんだと聞いたときから、面白くないはずがないと思っていたけど、期待以上だった。何も特別なことのない日常の描写から感動を呼び起こすところ、逆に本当に「涙と感動」が作れそうな絶好のシーンを脱臼させて、泣き笑いさせるところ、相変わらず心憎いほど巧い。平易な言葉なのに心に染み入る名セリフがいくつもあった。主演の佐藤健をはじめ、黒木華、鈴木亮平、みんな巧かったなあ。脚本の素晴らしさが役者魂に火をつけるんだと思う。脇役のひとりひとりまで、ドラマに描かれていない人生の厚みを感じさせるような人物造形だった。
そして、特筆しておきたいのは、放映から7日間(次の回が始まるまで)公式サイトで無料配信がされていたこと。私は全12回のうち2回くらい、本放送を見損ねて、この無料配信のお世話になった。もしこのサービスがなかったら、途中で見るのを止めていたかもしれないし、視聴を続けたとしても、見逃し回の不満と心残りを引きずっていたと思う。無料配信があるにもかかわらず(否、だからこそ)終盤の視聴率はどんどん上がった。ぜひ、こうしたサービスを拡大してほしいと思う。
■NHK土曜ドラマ『64(ロクヨン)』(2015年4月18日~5月16日、全5回)
横山秀夫原作。昭和64年(1989)D県警管内で少女の誘拐殺人事件が起きた。時は過ぎ、時効間近の平成14年(2002)、再び新たな誘拐事件が発生し、二つの事件は意外なかたちで収斂していく。ミステリーファンには評価の高い、有名な作品らしいが、私は全く知らなかったので、やはり新鮮な衝撃を受けた。個人的には脚本の大森寿美男さんが好きなので、長編を破綻なくまとめた(しかも緊張感を持って)脚本をホメたいのだが、音楽も映像も演出もカッコよくて、脚本が目立たなかったのは仕方あるまい。特に音楽(『あまちゃん』の大友良英さん!)は、日本のドラマだと思えないくらいカッコよかった。俳優陣もよかった。ほとんどオジサンばかりだったけど。そして、やはり主演のピエール瀧は群を抜いていた。
しかし、この作品は残念ながら視聴率は取れなかった。1時間、緊張の連続を強いるドラマって、受けないんだな。でも少数の視聴者に長く熱狂的に語り継がれるドラマだと思う。
■フジテレビ『デート~恋とはどんなものかしら』(2015年1月19日~3月23日)
古沢良太脚本によるオリジナル作品。数々の恋愛ドラマの名作を生んだ「月9」枠のドラマである。私が「月9」ドラマを見るなんて、一生ないだろうと思っていたが、ツイッターのTLにやたらと高評価が流れてくる。確か、初回~2回くらいまでは有料オンデマンドで見て、面白かったので、オンタイム視聴に切り替えた。年度末に異動と引っ越しを加えた多忙の中で、時間をやりくりして最終回まで見続けた。恋愛力ゼロの理系エリート公務員女子(杏)とニートでオタクの文学青年崩れ(長谷川博己)のドタバタ恋愛ドラマ。かつて「月9」が得意とした、お洒落でトレンディな恋愛ドラマのパロディのようでいて、実は王道の恋愛ドラマだった。最後は素敵なハッピーエンドで、自分の生きている世界が明るく見える感じがした。
以上、どれも終了して、ますます記憶の中で輝くドラマ。いまは、先週、初回を視聴した『ど根性カエル』が気になっている。これらと並んで、記憶に残る作品になるかどうか。