○国立劇場 2月雅楽公演『舞楽』(2月27日、14:00~)
宮内庁式部職楽部の舞楽公演に行ってきた。レポートが遅れたが、書いておく。曲は、振鉾(えんぶ)/長保楽(ちょうぼうらく)/春鶯囀(しゅんのうでん)。「振鉾」は、はじめ左方唐楽の舞人が、鳥甲(とりかぶと)にオレンジの袍(裏は紫)で登場して舞う。退場すると、代わって右方高麗楽の舞人が渋い緑の袍(裏は水色)で登場して舞う。ピィーッと高い笛の音が耳に残っている。
「長保楽」は右方高麗楽の四人舞。緑(萌黄?)色に蛮絵の袍を右肩脱ぎして舞う。巻纓・老懸の冠なので、武官の舞なんだなと思う。しかし、ゆっくりと優雅な舞で、武官らしい激しい動きはない。ちょっと眠くなった。
最後は、大曲「春鶯囀」一具。「源氏物語」で光源氏が舞ったり「枕草子」に言及があったり(谷崎の「春琴抄」には同名の創作が登場したり)する有名な曲だから、私も一度くらい聞いているのではないかと思い、ブログ検索を掛けてみたが無駄だった。実は「幻の大曲」なのである。「大曲」というのは、遊声(ゆうせい)・序(じょ)・颯踏(さっとう)・入破(じゅは)・鳥声(てっしょう)・急声(きっしょう)という複雑な構成であること。「幻の」というのは「舞を秘する」曲であったため、伝承が途絶え、江戸・享保年間に再興されたものの、再び途絶え、国立劇場で「一具」としては上演されるのは、昭和42年(1967)の公演以来、50年ぶりなのだという。驚き! でも検索すると、鎌倉の鶴岡八幡宮などで、部分的には上演されているようだ。
とにかく装束がきれい。六人舞なので、舞台が狭く、長い下襲の裾を踏んでしまうのではないかとハラハラしたが、優雅に舞っていた。はじめは、ゆっくりした動きで、また睡魔におそわれかけたが、だんだんテンポが速くなり、変化があって面白かった。でも私は、勇壮な武の舞や走舞のほうが好きかな。
ついでだが、開演前に寄ってみた伝統芸能館の企画展示『新派の華-面影と今日-』(2016年2月6日~4月17日)が面白かったことを付け加えておく。あまり見たことのない、芝居関係の明治の錦絵がいろいろ出ていた。皇太子殿下(のちの大正天皇)が博物館の庭前で川上一座の日清戦争の祝勝劇を見る、という錦絵がものすごく面白かった。 帝室博物館は、震災で壊れる前の建物で、中東風の丸くふくらんだ屋根を載せている。そして、写真の残っている川上貞奴は、今見ても美人だった。
宮内庁式部職楽部の舞楽公演に行ってきた。レポートが遅れたが、書いておく。曲は、振鉾(えんぶ)/長保楽(ちょうぼうらく)/春鶯囀(しゅんのうでん)。「振鉾」は、はじめ左方唐楽の舞人が、鳥甲(とりかぶと)にオレンジの袍(裏は紫)で登場して舞う。退場すると、代わって右方高麗楽の舞人が渋い緑の袍(裏は水色)で登場して舞う。ピィーッと高い笛の音が耳に残っている。
「長保楽」は右方高麗楽の四人舞。緑(萌黄?)色に蛮絵の袍を右肩脱ぎして舞う。巻纓・老懸の冠なので、武官の舞なんだなと思う。しかし、ゆっくりと優雅な舞で、武官らしい激しい動きはない。ちょっと眠くなった。
最後は、大曲「春鶯囀」一具。「源氏物語」で光源氏が舞ったり「枕草子」に言及があったり(谷崎の「春琴抄」には同名の創作が登場したり)する有名な曲だから、私も一度くらい聞いているのではないかと思い、ブログ検索を掛けてみたが無駄だった。実は「幻の大曲」なのである。「大曲」というのは、遊声(ゆうせい)・序(じょ)・颯踏(さっとう)・入破(じゅは)・鳥声(てっしょう)・急声(きっしょう)という複雑な構成であること。「幻の」というのは「舞を秘する」曲であったため、伝承が途絶え、江戸・享保年間に再興されたものの、再び途絶え、国立劇場で「一具」としては上演されるのは、昭和42年(1967)の公演以来、50年ぶりなのだという。驚き! でも検索すると、鎌倉の鶴岡八幡宮などで、部分的には上演されているようだ。
とにかく装束がきれい。六人舞なので、舞台が狭く、長い下襲の裾を踏んでしまうのではないかとハラハラしたが、優雅に舞っていた。はじめは、ゆっくりした動きで、また睡魔におそわれかけたが、だんだんテンポが速くなり、変化があって面白かった。でも私は、勇壮な武の舞や走舞のほうが好きかな。
ついでだが、開演前に寄ってみた伝統芸能館の企画展示『新派の華-面影と今日-』(2016年2月6日~4月17日)が面白かったことを付け加えておく。あまり見たことのない、芝居関係の明治の錦絵がいろいろ出ていた。皇太子殿下(のちの大正天皇)が博物館の庭前で川上一座の日清戦争の祝勝劇を見る、という錦絵がものすごく面白かった。 帝室博物館は、震災で壊れる前の建物で、中東風の丸くふくらんだ屋根を載せている。そして、写真の残っている川上貞奴は、今見ても美人だった。