〇三井記念美術館 特別展 創建1250年記念『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』(2017年4月15日~6月11日)
西大寺の公式サイトを見ると、天平神護元年(765年)孝謙上皇が重祚して称徳天皇となり、金銅製の四天王像を鋳造されたのが西大寺のおこりと説明されている。よって、2017年は、ピタリ創建1250年ではないようだが、奈良の西大寺+真言律宗の諸寺院の名宝を集めて展観する企画である。わりと最近、真言律宗関係の展示があったような気がして調べたら、2016年に叡尊の弟子・忍性を主役とする展覧会が、奈良博と金沢文庫で開かれていた。私は、叡尊も忍性も好きなので、連続して真言律宗の展覧会が開かれるのは大変うれしい。
最初の展示室は密教法具が中心。暗い空間に金色の法具が浮かび上がり、神々しい。ほとんどが西大寺の所蔵品だったが、小さな厨子入りの金銅製の愛染明王坐像は称名寺(金沢文庫)の所蔵とあった。しかし、あまり記憶にないものだった。西大寺の金銅透彫舎利容器(鎌倉時代)は、繊細な細工にためいきの出る逸品。ちょっと日本製とは思えない。六花形の屋根を持ち、円筒形の釣り灯籠のようなかたちをしている。
西大寺の瓦と塼(せん)、茶室には大茶盛式の大茶碗に微笑んで、展示室4に進むと、仏像と肖像彫刻がたくさん! 西大寺に伝えられる興正菩薩(叡尊)坐像も来ておいでだった。八の字の垂れ眉毛が特徴だが、解説を読んで姿勢のよさにも気づいた。それから太い血管の浮き出た大きな手が、いかにも実務家である。そのほか西大寺からは、愛染明王坐像(善円作)、文殊菩薩坐像、善財童子立像、最勝老人立像などもいらしていて驚いた。獅子がいないのは残念だったが、三井記念博物館の展示ケースだと入らなかったかもしれない。
仏画では、西大寺の『十二天像』(平安時代)から、目の大きい白象に乗った「帝釈天像」と羊に乗った「火天像」(前期)。東寺の十二天像と違って、やや素朴絵ふうで生命力にあふれていて、また別の魅力がある。宝山寺の『愛染明王像』は、宝瓶から少し浮き上がった円相の中に、赤を基調とした色鮮やかな愛染明王が浮かび上がっている。美しい。
また舎利容器などの繊細な工芸品をはさんで、最後の部屋は、入った瞬間に「見たことのある仏像」の集団に目がとまった。「真言律宗一山の名宝」「忍性と東国の真言律宗」をテーマとした展示室で、奈良・百毫寺の太山王坐像(閻魔王)(大きい!)と司命・司録像、鎌倉・極楽寺の忍性菩薩像、称名寺の頭の大きい釈迦如来立像、十大弟子立像の一部などがいらしていた。後期には、浄瑠璃寺の吉祥天立像(!)や極楽寺の釈迦如来坐像など、秘仏もおいでになるようだ。そして図録を見ると、どうやら東京展には出陳されず、大阪展(あべのハルカス)か山口展(山口県立美術館)だけに出陳されるもののありそうなのが気になる。
西大寺の公式サイトを見ると、天平神護元年(765年)孝謙上皇が重祚して称徳天皇となり、金銅製の四天王像を鋳造されたのが西大寺のおこりと説明されている。よって、2017年は、ピタリ創建1250年ではないようだが、奈良の西大寺+真言律宗の諸寺院の名宝を集めて展観する企画である。わりと最近、真言律宗関係の展示があったような気がして調べたら、2016年に叡尊の弟子・忍性を主役とする展覧会が、奈良博と金沢文庫で開かれていた。私は、叡尊も忍性も好きなので、連続して真言律宗の展覧会が開かれるのは大変うれしい。
最初の展示室は密教法具が中心。暗い空間に金色の法具が浮かび上がり、神々しい。ほとんどが西大寺の所蔵品だったが、小さな厨子入りの金銅製の愛染明王坐像は称名寺(金沢文庫)の所蔵とあった。しかし、あまり記憶にないものだった。西大寺の金銅透彫舎利容器(鎌倉時代)は、繊細な細工にためいきの出る逸品。ちょっと日本製とは思えない。六花形の屋根を持ち、円筒形の釣り灯籠のようなかたちをしている。
西大寺の瓦と塼(せん)、茶室には大茶盛式の大茶碗に微笑んで、展示室4に進むと、仏像と肖像彫刻がたくさん! 西大寺に伝えられる興正菩薩(叡尊)坐像も来ておいでだった。八の字の垂れ眉毛が特徴だが、解説を読んで姿勢のよさにも気づいた。それから太い血管の浮き出た大きな手が、いかにも実務家である。そのほか西大寺からは、愛染明王坐像(善円作)、文殊菩薩坐像、善財童子立像、最勝老人立像などもいらしていて驚いた。獅子がいないのは残念だったが、三井記念博物館の展示ケースだと入らなかったかもしれない。
仏画では、西大寺の『十二天像』(平安時代)から、目の大きい白象に乗った「帝釈天像」と羊に乗った「火天像」(前期)。東寺の十二天像と違って、やや素朴絵ふうで生命力にあふれていて、また別の魅力がある。宝山寺の『愛染明王像』は、宝瓶から少し浮き上がった円相の中に、赤を基調とした色鮮やかな愛染明王が浮かび上がっている。美しい。
また舎利容器などの繊細な工芸品をはさんで、最後の部屋は、入った瞬間に「見たことのある仏像」の集団に目がとまった。「真言律宗一山の名宝」「忍性と東国の真言律宗」をテーマとした展示室で、奈良・百毫寺の太山王坐像(閻魔王)(大きい!)と司命・司録像、鎌倉・極楽寺の忍性菩薩像、称名寺の頭の大きい釈迦如来立像、十大弟子立像の一部などがいらしていた。後期には、浄瑠璃寺の吉祥天立像(!)や極楽寺の釈迦如来坐像など、秘仏もおいでになるようだ。そして図録を見ると、どうやら東京展には出陳されず、大阪展(あべのハルカス)か山口展(山口県立美術館)だけに出陳されるもののありそうなのが気になる。