扇沢駅に午前3時半に到着、すぐにシュラフを広げ仮眠に入った。 6時に目覚め外を見たら濡れていた。 トロリーの始発は7時30分であり、再びシュラフにもぐった。 1時間前にそろそろ準備をしなくてはと思い起きたら外は雨、「エッ」と思い心は曇り、外で湯を沸かす事も出来ず、傘を差して扇沢駅へ様子を見に行く。 もう切符売場も営業開始で、何人かの登山者が切符を購入していた。
早くも駅舎内の改札には、利用客の列が出来ていたが、それを横目に私たちは売店に入り、温かい御そばを朝食とした。 自分は出発時点が雨だと、中々エンジンがかからない。 内心、もう始発の乗車は無理だと思い、コース取りをどうしようかと迷った。 予定のコースは黒部川から急登が続き、合羽を着ての登高は厳しいだろうと思った。
あまりノンビリも後が苦しくなるので、1時間遅れの8時30分発に乗車。 まず黒部ダムまで入ることにした。その間にお互いのエンジンが快調に回りだしたのか、「よし予定通りで行こう。」と言う事になり決定。
トロリーは16分でダムに運んでくれた。 アルペンルートに行く観光客の方々と別れ、下の廊下への登山者専用通路に向かう。 外は雨であり、通路内で合羽を着用した。
20分ほどでダム下に降りた。 この時期はダムが観光放水をしており、迫力ある様子が見学できた。
9時10分にダム下を通過。 黒部渓谷沿いの道はハイキングで、合羽を着ているので汗をかかぬように、そして内蔵助谷出合からの急登に直ぐ対応できるように、体調を整えながら歩いた。 行く手には黒部丸山の東壁が屹立し、来るなと言わんばかりに立ちはだかっていた。
今日のコースは黒部丸山の裾野を縫うようにして走る内蔵助谷を登るのである。 内蔵助谷出合着10時05分。 右は黒部下の廊下へ、自分たちは左の登山道に取り付く。
一呼吸入れてから下の廊下と分かれ内蔵助谷の右岸に取り付く。この付近は木々が鬱蒼として丸山の東壁は見えない。 傾斜のきつい山道を黙々と登る。汗が顎から滴り落ちる。 黒部の巨人
景色はほとんど見えず、地図の所要時間2時間30分を頼りに、2時間30分頑張れば内蔵助平に着くと自分に言い聞かせ、頑張った。 岩の様なカエルに遭い、疲れているとビックリも2倍である。 2時間ほど歩いたら傾斜が穏かになり、ホッとしていたら鉄の橋が見え内蔵助平に到着した。12時10分。
2度目の訪問であり辺りを見回したが、当時の記憶は草原の別天地「こんな素晴らしい所が有るんだ」とビックリしたが、今回の訪問では、その夢がグチャリとつぶされた。 管理されない庭園になっていた。
確かにこのコースはサブ的なコースであって、何時間歩いても1人の人に会うかどうか?と言うほど人が入らないコースなのである。 橋を渡り渓谷沿いの岩に腰掛け、休憩兼お弁当時間とした。
50分ほど大休止した後、最後の登りハシゴ谷(たん)乗越に向かった。 両側から木々に覆われた中、水の無い涸れ沢を進むのである。 一時雨が降り出し合羽を着るのかな と考えていたら止んでくれた。 最初は緩やかであったが、乗越に近付くにつれ傾斜がきつくなり、それも岩がゴロゴロした沢なので、非常に疲れた。 登りきった疲れの顔
ハシゴ谷乗越通過14時50分。 少し尾根を巻くように進んでから剱沢に向け下りになった。 この下りも木の梯子は朽ち果て、登山者の通行が少ないので整備が何もされていない状況でした。 下部の方は登り同様、岩がゴロゴロした涸れ沢の下りが延々と続いた。 下りでも汗が流れた。 ガスに煙る剱岳
剱沢出合着15時50分。 急に明るく開けた剱沢に出てホッとした。 もう真砂沢ロッジまでは30分程なので、ノンビリ荷を下ろして休憩とした。 剱沢に掛かる丸太橋は流されてしまったのか、アルミの橋に架け替えられていた。
ロッジまでの登山道ではアザミやほか沢山の花が出迎えてくれた。 真砂沢ロッジ到着16時45分。 お疲れ様。