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何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

正真正銘・日本一の落差を誇る称名滝(常願寺川物語③)

2022年08月10日 | 旅行記・まち歩き


今回紹介するのは、常願寺川水系の中でも「国内最大級」というあいまいな表記ではなく、間違いなく日本一のもの。それは「称名(しょうみよう)滝」で、四段の滝で形成され、その落差350メートル(m)というもの。
日本三大名瀑というと日光・華厳の滝、茨城・袋田の滝、熊野・那智の滝ということになるのだが、この中でも落差が一番大きい那智の滝でさえ133mだから、称名滝からすると「比べてもらっちゃ困る」というレベル。
立山の主峰・雄山、最高峰・大汝山(3015m)や弥陀ヶ原、室堂平などのアルペンルートの台地北側の降雪を含む年間6000ミリもの水を集めるといわれる常願寺川支流の称名川にある。



県道6号「富山立山公園線」で常願寺川上流へ、対岸に千寿ケ原を見ながら直進すると、すでに右手の川は称名川。立山有料道路の柱台料金所を過ぎると「国立公園・立山(中部山岳国立公園)に入る。
上流に向かい右手には「悪城の壁」という何とも奇妙な断崖絶壁がそびえ、谷底の道路は空が小さくなって暗くなり、寂しいというより恐怖感さえ感じる場所を走る。
途中、その壁の奥まった場所にある割れ目から、白く噴き出てくるものが見えてくる。滝だ。だたクルマで行けるのはレストハウスのある称名平までで、ここから滝までは1200mの道を歩かなければならない。



道は舗装されており、歩きやすいが上り坂。30分ほどは歩いたろうか、対岸の滝見台やそこへ渡るための橋、その他前に何やら建物が確認できるが、付近は水煙でおおわれている様子だ。
滝のすぐ下の橋を渡り滝見台にとりつくのだが、橋の付近は水しぶきで覆われているため、ここぞとばかりに持参したカメラ用レインコートを装着するが、それが写りこんでうまく撮影できない。
水しぶきが気にしながら見上げると、もの凄い迫力でこれまた怖くなるほど。もちろん滝つぼに落ちる音も地響きを伴うもので、この暑い時期には豪快・爽快と感じる方も多いかもしれない。



実はこの滝は、アルペンルートの台地を削りながら10万年をかけて今の位置にあるとか。10万年前は、以前紹介した本宮堰堤のあたり(富山市小見)にあって、1年間に10センチずつ浸食を続けていったそうだ。
計り知れない水量が火山によって堆積した土を削り取り、悪城の壁のような深い谷をつくりながら水源部に向かって後退していったとのこと。四段の滝も五段に進化中との調査報告も。もの凄い時間をかけるながら地球が生きていることを見てとれる場所でもあるのだ。
なお、称名滝の右手に見える細い滝は「ハンノキ滝」で、落差は500mと実は称名滝よりも高いのだが、年間を通して水が落ちていないことから正式には認められていない。まあ、ここに来て、日本一と隠れ日本一の二つ見れたのだから、ラッキー!
(道はこの滝まで。滝の上流部にも険しい渓谷が形成されているとのこと。なかなか人を寄せ付けない場所とのことである。)

コメント
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