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「人類資金」 阪本順治監督 × ☆
敗戦直前旧日本軍によって隠蔽された金塊などのいわゆるM資金を巡るサスペンスドラマです。詐欺師の真舟(佐藤浩市)はM資金をネタにした詐欺を仕掛けていましたが、あるとき“財団”から誘われ日米の秘密機関の存在を知ります。初めは半信半疑でしたが、“財団”と関わりだしたことで様々な事件に巻き込まれ、次第に世界を相手にした闘いをすることになるのでした。
金を増やすためではなく「人を良くするために使われる人類資金」は、人口の3割のために7割の人々が貧しい暮らしを余儀なくさせられている資本主義のグローバリズムに対し、別の世界もあるのではないかという提案をしています。あえてドラマで社会の矛盾を描くことにこだわっている監督の渾身の一作です(☆)。ロシアやタイ、国連などでのロケが作品をより重厚にしました。アクションシーンに真実味があり、好感が持てました。観月ありさが特によかったです。
タバコは、冒頭の敗戦直前の場面でアメリカ人(豊川悦司)がなぜか意味不明の喫煙を思わせぶりにします(×)。「お金のために生きるのではなく、人は良くなりたいと思っている。」それならタバコは止めよう。みんなに迷惑です。それともやっぱり広告・宣伝料が欲しいのかな。