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「鑑定士と顔のない依頼人」 ジュゼッペ トルナトーレ監督 伊 ○ ☆☆☆
天才オークション鑑定士ヴァージル オールドマン(ジェフリー ラッシュ)のもとに資産家の両親が残した美術品の鑑定をしてほしいと言う依頼が電話でありました。依頼主は時間を守らなかったり、屋敷を訪れても鍵がかかっていたりします。ヴァージルは依頼を断ろうとしますが、なぜか気になって再度屋敷を訪れます。依頼人は「広場恐怖症」で人前に姿を現すことができず、言葉を交わすだけでその上美術品には大したものもなかったのです。しかしながら、床に落ちていた古い歯車にヴァージルは心を引かれます。美術品修復師ロバート(ジム スタージェス)に見せると彼も「これは18世紀の機会人形のものだ。もっと部品があればいいが・・・」と興味を示すのでした。屋敷を訪れるたびに歯車を集め、同時にヴァージルは姿を見せない依頼人の女性に少しずつ近づいていくのですが・・・。
孤児で育ち本当の愛を知らず(ヴァージル=童貞)絵画の中の女性だけを愛して高齢(オールドマン)になってしまった主人公のこころのすきまに入り込んでいく騙しのテクニックがたいへん計算されていてお見事です。見終わってから「はたして誰が仕組んだのか。」いつまでも余韻を味わえる秀作です。2013年の洋画ベストワンです(☆☆☆)。
タバコはなし。無煙です。ラストのプラハのレストランの場面ではドアに禁煙マークがありました。
印象に残った場面は、なんといっても秘密の部屋に飾られた女性の肖像画の数々。すべてが彼を見つめるように配置されています。どんなに多くの美人画もひとりの美女にはかなわなかったようです。